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水深800メートルのシューベルト|第346話

「え……と、ナージフさんはどうしてこんな朝早くから? 学校は土曜日なのに……」
 話題を変えようと、先ほどから浮かんでいた疑問を口にした。学校の授業はほとんどないので、ここに来て勧誘しても無駄だと思ったのだ。


「君だって来てるだろ?」
 彼はポケットから取り出したタバコを銜えて、くぐもった声で言った。
「いや、僕はここで降ろされたから……」


「ああ……、さっき派手なエンジン音がしていたな」
 煙を吐き出すと、彼はバス停の方を見やった。

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