水深800メートルのシューベルト|第344話 5 吉村うにうに 2022年10月25日 12:47 「え……えと。君は確か……」 彼は、僕が明らかに身近な人間だが、名前だけはどうしても思い出せないといった笑みを浮かべた。日焼けした目元に皺が寄っていた。僕が名前を告げると、皺はこめかみにまで広がった。「そうそう。確か、海に行ったことがないんだったよな?」 彼は人懐こい表情を浮かべた。「実は夕べ、海に行ってきたんです。マーシャルズビーチに……。今、帰って来て……」 座り込んでいる彼に目線を合わせようと、僕はしゃがみ込んだ。 第343話へ戻る 第345話へ戻る ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 #連載小説 #長編小説 #連載長編小説 #潜水艦 5