「おい、あんな岩場のごつごつした海で泳いだのか? 危ないな。しかも、君、海の匂いがするぜ。まさか服のまま泳いだんじゃないだろうな?」
ナージフさんは、口元を上げて呆れたような顔をして、言い添えた。
「で、水泳は簡単だったか? 誰かに教わったのかい?」
僕は海に投げ込まれて、ロープで引き上げられた話をした。彼は、それを聞いて苦々しい顔をした。
「……、まったく、君の友だちは危なっかしい遊び方をするもんだな」
「いきなり、海軍の水泳訓練だと言って……」
メイソンと親しい彼に言っても仕方がないと思い、口をつぐんだ。
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