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#写真
あの氷が溶けきる前に
どうしてもやらなきゃいけないことがある
あの氷が溶ける前に、やらなきゃいけないこと
時間が無い
焦燥感と共に氷はどんどん溶けていく
水に変わる氷を横目に
私はやらなきゃいけないことがある
氷を気にしながら
迅速にやらなきゃいけないことがある
切れる息、汗ばむ手
不安がよぎる
あの氷が溶けきる前に終わらなかったら
やれなかったら私は
涙が出てくる
目の前が見えにくくなって慌てて目を拭いた
慌
ビジネスライクな氏名の2人
「これラミしといて」
会社の上司に1枚の紙を渡された蘭美は少しムッとした。
「違う違う、わざとじゃないって~」
「わかってます」
「ラミ、しといてよろしく清水蘭美ちゃん」
「……」
清水蘭美は今年23の現役バリバリキャリアウーマン(死語)。
彼氏はいないが、趣味を充実させ、
公私ともに順調な何不自由なく生きてきた女性だ。
ただ、両親から頂いた宝であるこの名前だけは22年間気に入っていない。
とある奇人の指針 #1 「鍵のあるドア」
さて、ここで質問です。
今、あなたの目の前に
沢山の鍵穴がついたドアがあります。
そして、あなたの手元には1つの鍵が。
どれも同じ鍵穴に見えますが、
全て違うドアのものです。
あなたの手元の鍵はマスターキーのようなもので、どのドアでも開けることができます。
1回差したらもう戻すことは出来ません。
そのまま右に捻って鍵を開けてください。
あなたなら、どのドアを開けますか。
急に聞かれても
死ぬことを恐れない男
ある昼下がり、俺は駅に立っている。
未曾有のウイルス災害によりテレワーク続きだった会社も、徐々に出勤となった。
しかし時差出勤とやらで俺はこの時間に会社に向かうことになったのだ。
午前にリモート打ちが無ければ昼前まで寝れることは嬉しいが、逆にそんなに長く寝てしまうと今度は起きることがしんどくなる。
それが俺にとっての最近辛いことだ。
瞼が重い。欠伸が出る。
電車はまだ来る気配がない。
ポカポ