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怠惰の中に映るもの


何も考えたくない日は
何も考えないでやろうと思った

何もやりたくない日は
何もやらないでやろうと思った

でも そうはいかなかった

何も考えたくない日でも
何も考えたくないって考えなきゃいけなかったし

何もやりたくない日も
ダラダラして寝付くまで寝転がってなきゃいけなかった

生きていることは素晴らしいと
生きているだけで幸せだと
死にたいと思えるだけで幸せじゃねーかと
そう言って笑うあなたは神か何かですか

別に馬鹿にされたわけでもないし
虐められたわけでもない
そこら辺の人より幸せな自信あるよ
でも 何故だろう
とてつもなく 辛いんだ

何かがプツンと切れた感じがして
地上7階のベランダに来て下を見る
沢山車が走っている中に
飛ばして走るウーバーイーツの自転車

上を見ても星も月もない

いまこの空間 この瞬間は
私は私の世界にいて
誰も私を気にかけてなんかいないんだ

何だか寂しくなった
同時に 面白くなった
私はかまってちゃんか何かですか

夜風を浴びて泣きたくなった頃
ふと前を見たら向かいのマンションの窓の中に人がいて目が合った

なんだか気まずくて目を離せずにいたら

向こうもずっと ずっとこっちを見ていた

瞬きせずに ただ ずっとこっちを見ていた

だから私もずっと見ていた

ふと夏が来る匂いがして

インターホンが鳴った

頼んでいたウーバーイーツが届いた

今は言葉を出したくなかったけど
言葉を出して受け取った

料理を持って外に戻ると その人はまだいた

その人も料理を持っていた

だから私はその窓をまたずっと見ていた

何も考えることなく ただ ずっと見ていた

なんてことない 幸せな時間

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