MIMU

「大人の読み聞かせ」を目指しています。 鬱持ちのわたしと、夫のなおさんと、猫のまるの日…

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「大人の読み聞かせ」を目指しています。 鬱持ちのわたしと、夫のなおさんと、猫のまるの日常。それから小さな創作。 絵本みたいな感覚でみていだければ。

最近の記事

あたらよ『おいしいミッドナイトを』

深夜、という時間帯の認識に多少のズレはあると思うから、ここで言う深夜は労働基準法で定められた22:00以降のこととしてみる。 我が家の夕飯というか晩ごはんは、いつもその深夜になるのだ。 夫のなおさんの仕事の都合上、帰宅するのが22:30近くや23:00を過ぎることもあるから。ごく稀に早番だったりして早く帰ってくる時も、お休みの日も、いつもの生活リズムをなるべく崩さないように晩ごはんは遅めにとる事を意識している。 深夜にご飯を食べるなんて、と思われるかもしれないけれど、言葉

    • あたらよ『夜のかくれんぼ』

      猫が、白いカーテンの向こうに潜んでいる。 かくれんぼが今夜もはじまった。 辺りが暗くなると防犯も兼ねて、リビングの窓は二枚重ねのレースカーテンと、シャッターまでも閉じてしまう。 昼間はカーテンを開けると、窓越しに鳥をみたり空を見るのが好きな我が家の猫。シャッターをおろして、シャラシャラという軽やかな音とともに白い膜で窓を覆うと、今度は彼にとっての秘密基地になる。 わたしたちは人間の大人だから隠れられない。何度か隠れてみたことがあるけれど、案の定猫にすぐ見つかってしまうのだ

      • カクリヨに金木犀が届く頃

        体力作りのため、それから今のメンタルを試すため。 激混みであろう土曜日に、家からいちばん近いショッピングモールへ行った。ひとりで。 バッグの中には勿論頓服薬が常にあるんだけれど、こういうときはいつも出かける前に1回飲む。 この日はそれをせずに行ってみようと思った。 「母ちゃん正気?」 準備中、猫が白のダイニングテーブルの上でお座りをしながら、まん丸い双眸を向けてくる。 「まる的にはやっぱり無理そう?」 「無理そう!帰ってきてからバタンってなって、遊んでくれなさそう!!」 ひ

        • 共依存と心のコンポスト

          承認欲求は生ゴミ、共依存は粗大ゴミだと思っていた。 つまりゴミで、捨てるかコンポスティング……堆肥化するか。 肥料にするときは生ゴミになってないといけない。承認欲求で痛い思いを己の身で味わって出たゴミを、今後の教えとして自分の肥料にするのだ。 いつからそう思ってたんだろう? たぶん記憶を飛ばす前からこの捻くれたよくわからない格言はわたしの中にあって。でも、誰が言っていたとかそういうのは分からないまま。 概ねはそれで合っているところもある。 若い頃や独身時代なら尚更、この

        あたらよ『おいしいミッドナイトを』

        マガジン

        • あたらよ
          4本
        • アトリエ
          8本
        • アルバム
          8本
        • 創作『猫と魔女の花屋』
          6本

        記事

          ひつじ雲の月夜の下で

          「今年は秋がない」と度々耳にするけれど、わたしは心の中で「いいえ」と首を横に振る。 ちゃんとそこにある秋を、わたしは知っている。 17:00を過ぎたらもう夜ははじまる。 なおさんの入院先の病棟までバスと歩きで一緒に行ったのが朝。 少ないんだけれどまとめると案外重い、入院時の荷物。そうだよね数泊の旅行と考えれば当たり前だよね、なんて思いながら案内された4人部屋の一角。 彼はこの日のために新調した端末の充電器とワイヤレスイヤホンを取り出して、コンセントを探す。わたしは、健康診

          ひつじ雲の月夜の下で

          うつと食と靴と約束

          【うつ】と【食】の関係性は、個人の身心や環境によって症状が様々で。ごはんが喉を通らず痩せる人もいるし、薬の副作用で太る人もいる。 わたしの場合はうつ以前。20歳そこそこで患った摂食障害から始まっている。 拒食と過食を繰り返す日々、いつからか「誰かと一緒じゃないとまともに食べられない」体になってズドンと痩せた。 理解してくれるひと達はちゃんといて、誘いに付き合ってくれたり向こうから声をかけてくれたりして、一緒にご飯を食べてくれたことへは今でも感謝している。 それがわたしにと

          うつと食と靴と約束

          創作:夕焼けと海と黒の鱗

          「大事な存在って、こんなに怖いものなんだな」 青く短い髪の彼がこちらを向いて言う。 夕暮れのひとときだけ空に現れる紫を閉じ込めたような、切れ長の瞳がきれいだった。 ぽたん、ぽちゃん。 足元のコンクリートの壁に緩やかな波があたる音だ。生温い空気が海の匂いを運んでくる、ここは「釣れない」ことで有名なスポット。 まだこの町に移り住んで浅い青年は、仕事を終えて逃げるようにここへ来ていた。もうすぐ宵がくる。 彼の名前はポンムといって、少しだけ垂れ目な瞳は青りんごのように爽やかなグ

          創作:夕焼けと海と黒の鱗

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          陽の母とのお出かけで見つけたバッグと中身

          陽の母とのお出かけで見つけたバッグと中身

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          陰のわたしは陽のあなたに憧れる

          人の中には『陰』と『陽』があって、自分は陽だと思ってたら実は逆だった、なんてこともある。 個人的にこの二分は、メンタル面で言えば血液型とかより重要性が高いんじゃないかって、時々思ったりしていた。 昔の中国の考えから、この2つは対極で、かつ互いに必要としているのだとか。難しいことはわからないけれど。 【うつ】になると、余計にそんなことを深く考えてしまうんだ。 シャインマスカットを届けに行くから、ついでにドライブしよう ある朝、夫を送り出して地道に家事を進めていたときに、母

          陰のわたしは陽のあなたに憧れる

          病めるときも病めるときも

          なおさんが休みのこの日、彼が1日寝込むことになった。 天気が晴れということは、頭上の半端に開いたカーテンから入るミルク色の光で伝わる。9月も中旬に入っているのに残暑はまだまだしつこくて、生き物から力を静かに吸い取っていく。 夫がダウンした理由は何となくわかる。 色々あるんだ。人一倍頑張っているひとだから。 昨晩のいつもより遥かに遅い帰宅。 スーパーウルトラハイパーロング接客で営業を終え。閉店作業後にも、休み前の引き継ぎや責任者故のいろんな事務方に追われ。 以前から患って

          病めるときも病めるときも

          対岸の火事

          助けてほしいと思っていても、声に出来ない人がいる。 「ちゃんと伝えればいいじゃん」で片付けられない人がいる。 この日わたしはそんな人を見かけて、一度無視した。 空気を入れ直した自転車はよく弾みながら軽い踏み心地で進む。 9月とはいえ太陽の照りつけは未だ容赦なくて、アスファルトの熱も真夏そのもの。けれどペダルを漕いで、自身で作る風は心地良い。 家にある自転車の空気入れは、今のタイヤの空気口には何かハマらなくて、「減ったな〜」と思ったらパンクとかのトラブルを起こす前に、サイク

          対岸の火事

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          撮りすぎた写真たち④

          撮りすぎた写真たち④

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          わたしの犬猫遍歴

          夫や子供が保護して連れ帰ってきた犬や猫を育てることになって、 「拾ってきたものは仕方ない、それは良いけどお世話は誰がやるのよ」 結局わたしじゃない。みたいに妻、母が呆れつつ世話を甲斐甲斐しくしていったり。 気づいたらお世話してくれる人だいすきっ子に成長しているというパターンがあるあるだと思っていた。 両親は昔は共働きみたいなもので、父が運営している運送会社を手伝う形で母も4トントラックを乗り回す日々だった。 彼女が現役のときは犬を数匹飼っていて、共働きの親の代わり子供たちが

          わたしの犬猫遍歴

          夕マヅメ、蚊に刺された夫

          夕マヅメ、蚊に刺された夫

          創作【最後の涙を流すとき】

          黒猫の友人は、少し気弱だけどとても優しい青年だった。自然に囲まれ佇む水色の屋根の小さな家で、共に住んでいる。 木枠の窓が多くてあたたかな白い日差しの昼と、埃みたいな星がひろがる夜空の下でランタンやキャンドルを灯して過ごす夜。 猫はどちらもだいすきだった。 キッチン横にある出窓の台にお気に入りのスローを置いてくれて、最近はここで日向ぼっこをする時間が多くなっている。 正午を過ぎた頃。青年が作業部屋の扉を開けて、エスプレッソを作るためにキッチンに向かってきた。髪はマロングラッセ

          創作【最後の涙を流すとき】

          満身創痍夫婦と父

          「『猫と釣り好き』に悪いやつはおらん」 結婚の挨拶にわたしの実家に行ったとき、父が言った言葉だ。 後日、本当は「お前に娘はやらん」などと鉄板な台詞を言いたかったんだけどなぁ、ひと目で彼がいいひとって分かっちゃったもん。って、少し嬉し寂しそうに笑っていた。 連日猛暑が続く中で、わたしの【うつ】は良い方向へ向き始め、初期化していた体力も少しずつつけていこうね、というくらいまでになっていた。 暑すぎて釣りのデイゲームや夕マヅメにはなかなか付いて行けないけれど、なおさんの休日にはい

          満身創痍夫婦と父