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アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示

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アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示に関する情報や鑑賞記録など。
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#本

『レオ・レオーニ 希望の絵本をつくる人』松岡希代子著

『レオ・レオーニ 希望の絵本をつくる人』松岡希代子著

美術館学芸員として、デザイナーや絵本作家として活躍したレオ・レオーニの展覧会を企画した著者がつづる、レオ・レオーニとの関わりや、その作品、魅力についての本。

レオ・レオーニの絵本としては、『あおくんときいろちゃん』『スイミー』『フレデリック』などがよく知られている。

『自分の中に毒を持て』岡本太郎著

本気で生きよう、というような話。うなずけることも多い。タイトルは過激だが、ごくまっとうな生き方だと思う。

『青春ピカソ』岡本太郎著

『青春ピカソ』岡本太郎著

アーティストの岡本太郎が若き日にフランス・パリでピカソの作品に出会ったことから、ピカソを超えようとする。そう聞くと、無理ではないかと思ってしまうが、無理と思うのが駄目なのだ、という認識らしい。

ピカソの芸術、作品、若い頃のエピソード、晩年のピカソとの会話について記述した、短い本。

『孤独がきみを強くする』岡本太郎著

『孤独がきみを強くする』岡本太郎著

芸術家、岡本太郎の言葉を集めた格言集のような本。

人に流されず、自分のままの自分で、挑戦し続けよう、という内容。

ほとんどどの言葉もいたってまともで、岡本太郎はむしろ謙虚な人間という印象を受けた。

「男は~、女は~」という記述には、時代の限界を感じるところもある。

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

能面の種類が大きな写真付き(大半はカラー写真)でわかる。能面の見分け方、略史、世襲面打家系図、作り方、表現の意味するところ、鑑賞できる美術館・博物館リストなども掲載。狂言面についての解説もある。

能面は、写真を見るだけでも生きているようだ。芽のところに小さな穴が開けられているようだが、能面を着けると視界がかなり狭まると聞いたことがある。どんなふうに見えるのだろう。視力でない部分(身体全体の感覚?

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『絵画空間の哲学―思想史の中の遠近法』佐藤康邦著

『絵画空間の哲学―思想史の中の遠近法』佐藤康邦著

美術にも長年親しんでいるという哲学者による絵画論の本。

ざっと読みだが、「第四部 近代日本における西洋体験―岸田劉生の場合」など興味深い。白樺派の後期印象派への傾倒に関する、西洋美術史研究で知られる高階秀爾氏の『日本近代の美意識』の論を批判してもいる。

『未来のアートと倫理のために』山田創平 編著:なぜ今の世界で私は芸術に関わろうとするのか

『未来のアートと倫理のために』山田創平 編著:なぜ今の世界で私は芸術に関わろうとするのか

京都精華大学のプロジェクト「芸術実践と人権――マイノリティ、公平性、合意について」で行われた2年間のレクチャーやゼミなどの公開プログラムと、新たな原稿を収録した本。

多彩なアーティストや芸術関係者が登場し、どの話もとても興味深い。

最も感銘を受けたのは、山田創平「芸術が、私と世界を架橋する」。一般的に言われていることなのかもしれないが、人間は世界を直接つかむことはできず、芸術があることで世界と

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『美術館の誕生―美は誰のものか』岩渕潤子著

『美術館の誕生―美は誰のものか』岩渕潤子著

初版が1995年の古い本。昔読んだと思うが、久しぶりに再読。

「はじめに」の冒頭で、日本の美術館・博物館は、行く価値がないからめったに行かない、と宣言している。欧米のミュージアムに行ける立場ならそれでもよいかもしれないが・・・とか、日本美術には興味がないのか?(海外でも日本美術の展示はあるが、日本でしか見られないものも多いだろう)とか、思ってしまった。

ヨーロッパやアメリカの美術館・博物館の成

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『はじめての絵画の歴史』芸術家ホックニーと評論家によるやさしい美術案内

『はじめての絵画の歴史』芸術家ホックニーと評論家によるやさしい美術案内

ディヴィッド・ホックニー、マーティン・ゲイフォード著。 イラスト:ローズ・ブレイク。

「『絵画の歴史 洞窟壁画からiPadまで』のエッセンスを凝縮した、大人から子どもまで楽しめる書き下ろし版」。

ハードカバーの大型本で、絵画などの作品の美しい画像や、イラストが楽しい。ホックニー自身の作品も掲載されている(最近はiPadなどでも絵を描いているらしい)。

読んでいるとわくわくしてきて、絵や写真、

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『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』秋田麻早子著:美術の造形的な見方を解説する本

『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』秋田麻早子著:美術の造形的な見方を解説する本

題名の「名画」が示唆するように、主に西洋美術のいわゆる「オールドマスター」(ある定義では1300~1800年のアーティストを指す)と19世紀の絵画を取り上げている(ほかの時代の絵やイラスト、日本画なども少しあり)。

その時代の絵画は、時代ごとの主流に基づいた描き方をすることが多いため(原題では「伝統的」とされるような描き方)、同じ「見方」で構図などを分析できる、ということで、主に絵画の構図や構造

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『視覚心理学が明かす 名画の秘密』三浦佳世著:科学的視点を取り入れた人間味あふれる美術エッセイ

『視覚心理学が明かす 名画の秘密』三浦佳世著:科学的視点を取り入れた人間味あふれる美術エッセイ

古今東西の絵画を取り上げて、「なぜそう見えるのか」といった不思議を、科学実験や心理実験を紹介しながら、ひも解いていく本。

著者は心理学者、研究者だが、専門的知識がなくても読みやすい。もっと学術的な内容かと予測していたが、もちろん専門的な知見による文章ではあるが、著者の体験が語られるなど、親しみやすい書き方の本だった。

『ヴィジュアルを読みとく技術―グラフからアートまでを言語化する』吉岡友治著

『ヴィジュアルを読みとく技術―グラフからアートまでを言語化する』吉岡友治著

著者は比較文学・演劇理論を専攻して、アメリカ大学院の修士課程を修了し、塾講師を経て、小論文のインターネット講座を主宰。ロースクールやMBA志望者、企業を対象にライティングを教えている。

前半の「I 基礎編」は、グラフや入試問題、アート作品を題材に、ヴィジュアルの言語化の方法や例文を提示。ちょっとつまらないと思った。

後半「II 応用編」では、各章で1つのアート作品を取り上げて、1つのテーマを切

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『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』末永幸歩著

『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』末永幸歩著

20世紀絵画や作品を紹介しながら、従来の美術の捉え方を刷新してきた考え方とその表現法を見ていく本。

どれも一般的な美術史の見方ではあるが、わかりやすく、読んで面白い書き方になっている。

各章で取り上げられている主な作品は次のとおり。

・アンリ・マティス《緑のすじのあるマティス夫人の肖像》(1905年)
・パブロ・ピカソ《アビニヨンの娘たち》(1907年)
・ワシリー・カンディンスキー《コンポ

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