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Pさんの目がテン! Vol.82 行きつ戻りつ、この本 ピエール・デュピュイ『ありえないことが現実になるとき』2(Pさん)
(前記事)
ほとんど一年ぶりにこの本に戻ってきて、これを書いている。
改めてこの本のあらすじを書くとこうだ。
日本は、2011年に、自然災害もあるが、何より自分らの作り出した文明そのものによって、壊滅的被害が生じてしまった。壊滅的というのは、何十年という「あっという間」のことではなく、この先、何百年という期間、背負わなければならない負債を負ったということで、しかも、それは全人間に対する被
Pさんの目がテン! Vol.81 ブリコラージュと料理 レヴィ=ストロース『野生の思考』3(Pさん)
前回の流れを余り受けていないかもしれないが、『野生の思考』を最初に読んだ時に感銘を受けたのは、「ブリコラージュ」という工作法と、それの普遍化のくだりである。
「ブリコラージュ」とは、「コラージュ」という語(?)が入っていて似たような意味なのだが、既にそこにある、限られた物を組み合わせて何かを作るという行為のことで、その際、その素材が、たとえばレジン細工におけるレジンとか、工作をする際のナットと
Pさんの目がテン! Vol.80 そも文化人類学とは? レヴィ=ストロース『野生の思考』 2(Pさん)
というわけで、前回、取り上げるといって結局取り上げられずに紹介とイントロだけで終わってしまった、クロード・レヴィ=ストロースの、『野生の思考』について、内容に入っていきたいと思う。
とはいえ、何年か前に、この本に挑戦した時は、真中までも行っていない、四章の「トーテムとカースト」で止まってしまっていて、今回、改めてそこから読み進めようと思って読んでみたが、流れがつかめなくなったから、また最初の第
Pさんの目がテン! Vol.79 見よ、私は帰ってきた レヴィ=ストロース『野生の思考』 1(Pさん)
見よ、私は帰ってきた。久し振りの、おそらく二ヶ月近く振りとなる「目がテン」の更新である。
中身を全く欠いた、大まかな見取りを描いている。正直、この「目がテン」の形式というのも、最近、どこか重たいものを感じてきた。いや形式というものを考えて始めたわけではなく、維持すべき何かを持っているわけでもないのに繰り返すうちにそれはいつの間にか出来上がっていて、それをさらに勝手に重たがっているだけといえば、
Pさんの目がテン! Vol.77 緊急寄稿!二つの「議会占拠」 ピエール・ルジャンドル『ロルティ伍長の犯罪 〈父〉を論じる』(Pさん)
トランプ大統領の信奉者が、大挙して、連邦議会に、ある者は銃を持って押し寄せ、一時占拠し、その機能を停止させたというニュースを、今日未明にツイッターで見掛けた。
事態の背景や、アメリカの現在の状況というものについて、僕がしっかり理解できているかは、はなはだ心もとない。しかし、何となくアメリカの政局を眺めるくらいのことはしていて、これが常態ならざる事態であることは、わかった。
そこで、自分なりに
Pさんの目がテン! Vol.71 別の生と繋がることを夢見た哲学者 岡本源太『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』6(Pさん)
(前記事)
長くなったから、あとは適度に省きつつまとめよう、と思ったけれどもまた興味深い所が出てきたので、省けない。
第六章、アクタイオーン。
たぶん、各章の題材の切り取りは、この著者自身の、岡本源太の並べ方である。だから、それがブルーノの著作の中でこういう並びになっているわけでなく、おそらくもっとこみいっている。
ともかく、アクタイオーンという、ギリシャ神話に詳しい人なら知っている、女
Pさんの目がテン! Vol.70 何度でも処刑される哲学者 岡本源太『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』5(Pさん)
(前記事)
第五章「ヘレネ」。普遍美という考え方がある。ここの題名になっている「ヘレネ」というのは、画家によって描かれた女性で、画家が、五人の、最も美女と思われる人を目の前にもってきて、それぞれを合成して作り上げた、絵画の中の女性なのだという。現代で言う、江口愛実のことだ。何とグロテスクなカリカチュアであろうか。しかし、似たような性向というか願望みたいなものは中世からあった。美女を五人合成すれ