マガジンのカバー画像

エッセイとか手記とか

28
エッセイをまとめたものです。
運営しているクリエイター

#スキしてみて

先輩の後ろ姿に、物語を重ねる。

先輩の後ろ姿に、物語を重ねる。

「若かりし頃は」なんていう歳でもないが

私にはふと思い返す思い出がある。

私が今こうやって、文章を投稿するようになった

そのきっかけの思い出だ。

もともと、文章は得意ではなかった。

字が下手だった私は、文章そのものを書くことが

少なく、国語も苦手で読解力もなかった。

そんな私が文章を書き始めたのは、手紙だ。

そんな手紙の物語は以前エッセイで好評を得た。

今日話すのは、私が物語を書

もっとみる
右を見ても左を見ても、同じ人なんて誰もいないんだよ

右を見ても左を見ても、同じ人なんて誰もいないんだよ

「みんな持ってるもん」

この言葉で、私は何回親を困らせただろうか。
「よそはよそ、うちはうち」と一掃され、何度も悔しい思いをしたことを未だに覚えている。

気づけば、その言葉をいつの間にか言わなくなった自分がいる。
ようやく、「よそはよそ、うちはうち」という言葉の意味を理解したのかもしれない。

子供のうちはまだ可愛い駄々こねで済んだかもしれないが、大人になると大変である。

「みんなが言うなら

もっとみる
エッセイ『彷徨えるオリジナリティ』

エッセイ『彷徨えるオリジナリティ』

物語を書いていると、ふと思うことがある。

「本当にこれは私が考えた物語なの?」と。

もう、何百年も前から物語は存在する。

歴史上のありとあらゆる人物が、筆に手を取り、数千万、数億万という物語を書いている。

世に出ていないだけで、ノートの切れ端に書いた落書きの物語も含めれば、それはもう数え切れないほどの膨大な数だろう。

文化は発展し、価値観も多様化した現代。

あろうことか、物語は飽和し、

もっとみる
才能なんて何一つない僕が、ライブステージに立ったあの日。

才能なんて何一つない僕が、ライブステージに立ったあの日。

才能なんてもの、僕にはなかった。

頭もそんなに良くはないし、運動も出来ない。
人前には出ることも出来なければ、根暗であった。
何をやっても上手くはいかない。それが僕だった。

苦い思い出なら、数えられないほど持っている。
そんな僕が、ライブステージに立ったあの日までを書いていく。
少しでも、今頑張っている人の力になれれば、それだけで僕は嬉しい。

①学生時代いじめの経験学生時代、それはもうとこと

もっとみる
渋谷・宮益坂の美しき隠れ家。珈琲店『茶亭 羽當』

渋谷・宮益坂の美しき隠れ家。珈琲店『茶亭 羽當』

健康診断の帰り道。
渋谷駅から少しばかり離れた場所に足を進める。
喧噪の街並みの音が次第に消えていき、古い民家を吹き抜ける風の音が、昔ながらの趣の音を心地よく鳴らしている。

そんな宮益坂の路地裏にひっそりと佇むのが、珈琲店『茶亭 羽當』である。

①茶亭 羽當1989年9月に渋谷の宮益坂下に誕生した『茶亭 羽當』は、30年以上営む老舗の珈琲店だ。
昔ながらの趣をそのまま閉じ込めたようなお店からは

もっとみる
それはまるで、アリエッティの住むお菓子箱のような

それはまるで、アリエッティの住むお菓子箱のような

こんばんわキリイチです!

オリンピックも始まり、家でごろごろとする時間が増える夏場ではございますが、みなさんはお家のお菓子をどう選んでいるでしょうか?

さて先日、大切な人のバレエの発表会のプレゼントを探していたところ、ずっと買いたかったお洒落なお菓子が見つかりましたので、それをご紹介させていただきます!

洋菓子店Atelier UKAIの『フールセック 小缶』です。

Atelier UKA

もっとみる
銀のお菓子缶に、四季のふきよせを飾って。

銀のお菓子缶に、四季のふきよせを飾って。

こんばんは!
昼間の日照りが増し、局地的な豪雨の降る季節になりかけている今日この頃。
皆さんはどうお過ごしでしょうか?

さて先日、大切な友人よりとても小洒落たお菓子缶を頂き、それが非常に美しいものだったのでご紹介させて頂きます!

和のモダンスイーツを展開するtamayose(たまよせ)の甘じょっぱい缶です。

ふきよせとは?ふきよせとは、茶席で振舞われる干菓子・焼き菓子のことで、秋風で吹き寄せ

もっとみる
私は檸檬タルトに恋をした。

私は檸檬タルトに恋をした。

檸檬の甘酸っぱい香りが漂う。
私はどうも、恋をしたようであった。



とある平日の午後のこと。
ふらりと外を散歩していると、洋菓子屋の前に行きついた。

こんなお店、前からあっただろうか。
私はおぼろげな記憶を思い返してみる。

確か、ここには定食屋があった。
老夫婦が営む、古い定食屋。

居ぬき物件ということもあり、店外の様子は、ぼんやりとであるがあの定食屋の残像がある。
私は、その懐かしさ

もっとみる
僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。

僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。

僕らの価値は、いずれ消滅へと向かっていく。
気づかぬ間に、声もなく、音もなく。

僕らの価値は、目に見えぬ形で出現する。
それは蝉を捕まえて喜ぶ少年の心だったり、目と目が合っただけでドキリと揺れてしまう初心な恋心であったり、変声期の前の透き通った少年の声であったり。

僕らの価値は、宝石にも劣らない輝きを持ち、様々な可能性の光を反射させているのにも関わらず、当の本人はそれに気づくことが出来ない。

もっとみる
生き方をデザインする。

生き方をデザインする。

子供の頃、1度はこんな妄想に耽ったことはないだろうか。

「もし、魔法が使えたのなら」
「もし、私に秘められた才能があったなら」
「もし、白馬の王子様に求愛されたなら」

恥ずかしながら、私も幾度となくそんな事を妄想していた時期はある。
そんな思春期を乗り越え、一旦落ち着いたかと思いきや、社会人になって大多数の大人がこの妄想病を再発させるのだ。

自分の思い描いた理想とは程遠い生活、淡々と過ぎてい

もっとみる
「書く」を捨てた人たちへ。

「書く」を捨てた人たちへ。

「文字は人格を表す」
そんな言葉を久しく感じるほどに、私たちは文字を打つことに慣れすぎてしまった。
誰かに向けたメッセージさえ、私たちは無表情で文字を打つ。
ビックリマークやはてなマーク、絵文字やスタンプと、文字を装飾する煌びやかな表現は発展しつつあるが、画面に映る顔は果たしてその装飾と釣り合う表情をしているのだろうか。

私はテクノロジーの発展による筆記の利便性向上には大いに賛成である。
第一に

もっとみる
【創刊号】静 霧一が独断で選ぶ、小説に惹かれたnote記事5選

【創刊号】静 霧一が独断で選ぶ、小説に惹かれたnote記事5選

こんばんわ、静 霧一です。
最近、見る情景の全てが言葉に変換される病気にかかってしまっているのか、脳が言葉の波で爆発しそうです。

小説ばかり書いている私ですが、noteには言葉を巧みに使う方々が非常に多いので、一時筆をおかせて頂き、少しばかり勉強させて頂いたnote記事を紹介させて頂きます。

①原井 浮世 さん無駄のない、洗練された日本語の言い回しが非常に上手いです。
言葉によって生み出された

もっとみる