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若さは確信で輝き、大人は迷いで深くなる。
「断定」は生き残り戦術のひとつだった。
まだ何者でもない自分を少しでも大きく見せようと「これが答えです」とか「解決法はこれです」と言い切ることで、自分の居場所を確保しようと必死だった。
強い言葉には力があるから「正解っぽい雰囲気」をまとえば、人は耳を傾けてくれる。少なくともそう信じていた。
30代に入ると少し風向きが変わる。
仕事も板について、自信が芽生え、自己肯定感がじわじわと肌に馴染ん
ウソをウソと見抜く必要はない。
何を信じればいいのかわからない時代だ。
テレビをつければ「物価上昇で経済は好調」と経済学者が笑顔で語り、スマホを開けば「庶民の生活が地獄化」という嘆きが流れる。
同じ社会の話をしているのに、論調はまるで真逆。
大手メディアは中庸を装いながらスポンサーの意向に配慮し、ネットは情報の拡散性ゆえに極端な意見がバズる。この二つが絶妙に乖離している今、嘘を嘘と見抜く能力がなければ生きていくのは本当に厳
闇バイトの帝王vs純粋なヤツ。
ゾフィーはある闇バイト集団の幹部である。それもプロ中のプロ。彼はリスクの高い強盗や直接金を奪うような手口は一切やらない。闇バイトにもいくつか派閥があり、ゾフィーは比較穏健派である。
自分の手は一切汚さず、ターゲットを操ることで犯罪を成立させる。
彼が得意とするのはオレオレ詐欺などの高度な指揮である。もちろん末端メンバーの個人情報や家族情報を先に入手し、彼らを脅しながら詐欺行為をさせる。
ゾフ
闇バイトの帝王ゾフィー。
ゾフィーは冷たい目をした男だった。声は穏やかで丁寧だが、その裏には計算し尽くされた冷酷さが潜んでいる。
ゾフィーの手法はシンプルだが、いつだって絶対的で効果的。どんな人間もゾフィーの指示通りに動けば破滅への道をまっしぐら。
「普通の大学生」
ゾフィーがターゲットにしたのは、都内の大学に通う真面目な学生。生活費を稼ぐために、求人サイトで見つけた「カンタンな運搬作業」に応募してしまった。
ゾフ
闇バイトにひっかかりそうでひっかからない純粋なヤツ。
ある日のこと、ネットで見つけた「高収入・誰でもできる簡単な仕事! 安心のホワイト案件!」にまんまと釣られて応募した純粋くん。
彼の元に、怪しげな人物から早速連絡がくる。少し高圧的なのによどみなく話してくる詐欺師に純粋くんの純粋さが炸裂する。
詐欺師「おっ、応募ありがとう。早速だけど、身分証明書の写真を送ってもらえるかな?」
純粋くん「分かりました! 今撮りますね!」
—しばらくして—
詐
他人の幸せを見たいわけではない人たち。
ネット社会でよく見かけるのは、不倫やクレーム、誰かの失敗談がバズる姿だ。なぜネガティブな情報にはこれほどまで人が群がるのだろうか。
これは人間の持つ「他人の不幸は蜜の味」という心理に由来すると思うのだが、さらに遡れば古代ギリシャの喜劇の舞台や、中世の見世物小屋にも似たものを感じる。
古代ギリシャでは、失敗や滑稽さを演じる役者を観客が嘲笑する「コメディ」が人気を集めた。
人は自分が直面しないリ
誰でも書けるからこそ厄介。
書くことは誰にでもできるからこそ厄介だ。
掃除、洗濯、食べ物を食す。この行為を「すごいね」と褒めてくれる人はだれもいない。なぜなら誰でもできるからだ。こんなこと誰でもできんねん。
たとえば、赤ちゃんが二足歩行をするまでには約1年、言葉を話すまでには1年以上もかかる。反復と失敗を経てようやくできるようになるのに、なぜかこと「文章を書く」ということはクソを漏らすようにカンタンなことに思える。反復な
「シン・ドラえもん」にありそうなこと。
「シン」シリーズを考える。
これ。
このシリーズに「ドラえもん」が加わったらありがちな設定を考えてみる。
[0]ドラえもんの表記がちがう
ドラえもんは「ドラえもん」と書くが、シンシリーズでは「ドラエモン」という表記に変更される。
[1]のび太の将来問題がリアルに描かれる
のび太、42歳。ドラえもんは未来に帰り、のび太は仕事に追われるブラック企業勤め。絶望的な表情。
[2]タケコプターが人
せせりはポン酢で食べる。
札幌の歓楽街すすきのに、とある焼き鳥屋さんがある。
細い路地裏にひっそりとたたずんでおり、店内はカウンター席だけ。よくしゃべる70歳超えのじーさんとその奥さまが2人で切り盛りしており、じーさん店主はお客さんから「マスター」と呼ばれている。お店はもう40年以上になるはずだ。
店の名前を仮に「鳥まる」としよう。
いまから10年前の私は、しょっちゅう「鳥まる」に行った。すすきのの路地裏にあるカウン