天使の抹茶ラテと悪魔の落書き⑦
【天使とタクロー】
麻布十番駅の四番出口まで歩くと、『クーゼ』の看板が見えた。
タクローは本屋で着ていた服のまま裕也の隣を歩いている。麻布十番という場所柄、街の雰囲気とボロボロの服は当然合っていない。
「まだー? 僕疲れちゃった」
タクローが頬を膨らまして言う。ひげ面のおっさんがそんなことをしても鬱陶しいだけで全然可愛くない。大体、地下の本屋を出てからまだ五分も歩いていないのだ。運動不足にも程がある。
「あの店ですよ」
「どこどこ?」
「あの緑の看板です」
「へーなんか