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交差する感情 | つんだら節/唄い継いでいく 2 | 東京から唄う八重山民謡
黒島から石垣島の野底への強制移住を詠っていることは、第2章の7「強制移住とマラリア」で説明したとおりである。野底では毎年、この唄を唄うために「野底つぃんだら祭り」が開催されているそうだ。お祭りのメインに悲しい唄を据えることに意外さを感じてしまうが、地元の歴史と重ねて唄が大事にされていることの表れであることは疑いようがない。
「つぃんだら」には「愛しい」と「不憫な」の両方の意味がある。なまじ「
選曲の基準 | 赤馬節/唄い継いでいく 1 | 東京から唄う八重山民謡
「赤馬節」は八重山民謡を代表する曲であり、喜ばしいことばが幾重にも重ねられた祝儀唄であり、座開きでもよく唄われる。冒頭に引用した歌詞と、その次の歌詞の2句がよく唄われるのだが、じつは引用した句の前に3句ある。
石垣島の宮良村に暮らす大城師番という役人が、ある日、海を泳いで上がってきた馬に出会う。言い伝えにある神が乗る馬ではないかと思い、試しに乗ってみると、予想通りの駿馬だった。この馬がタイト
過酷な人頭税 | 大川布晒節/唄から文化を学ぶ 5 | 東京から唄う八重山民謡
琉球王へ納めるための極上の布は、と唄い出す「大川布晒節」は、第2句以降、織りあがった布を海水や真水で洗い清めて色出しし、干し、貢納して喜ぶさまを詠う。情景を想像すると、清々しさや解放感が湧き立ってくる。
八重山の人々には琉球王府から人頭税が課せられていた。1637年に始まり、1659年には定額人頭税(八重山全体での上納高を、人口の増減や気象に関わらず一定に課す)になった。
対象者は15歳