マガジンのカバー画像

遠州産地の記事

15
運営しているクリエイター

記事一覧

涼しげな「夏の仕立て屋さん」 綿織物の遠州産地、浜松を訪ねて

涼しげな「夏の仕立て屋さん」 綿織物の遠州産地、浜松を訪ねて

気になっていたオリジナルガーゼ生地の展示販売会「夏の仕立て屋さん」を見るため、浜松に行った。静岡からは電車で約1時間。本を読むのを楽しみにしていたのに、ボックス席が心地良く眠ってしまった。

浜松駅からバスで尾張町に向かう。展示会場はみかわやコトバコさん。今まで浜松に行く機会はあっても、ずっと寄る時間が作れなかった。外観から味のある雰囲気でうれしくなる。

もともと雑貨屋だった建物を再生し、今は食

もっとみる
紡績工場跡地で伝える、“遠州織物の本質” -entranceショップのOPEN-

紡績工場跡地で伝える、“遠州織物の本質” -entranceショップのOPEN-

遠州産地の課題に取り組む、entranceの活動

これまでにもお伝えしてきたように、高級アパレル生地を生産している遠州産地ですが、かつては1000軒以上あった機屋さんも現在は数十軒。
今も毎年、廃業する機屋さんは後をたたず、残っている機屋さんの数も年々減少しています。

もちろん、課題はたくさんあるのですが、僕が考えている大きな課題はストレートに2つです。

その2つの課題に集中して取り組んでい

もっとみる
日本の繊維産地の今と、未来(ほぼ日さん企画展を終えて)

日本の繊維産地の今と、未来(ほぼ日さん企画展を終えて)

2024年も本当にあっという間に半分が過ぎてしまいましたが、怒涛のイベントラッシュも終えて、7月に入ってからは自分自身のスケジュールもやっと少し落ち着いてきました。

今年は、書籍「HUIS.の服づくり」の発売(主婦と生活社)や、渋谷ショールームのOPEN、画家・山口一郎さんとのコラボレーション、10周年を記念した「HUISマルシェ」など、とにかく春に大きな出来事が目白押しだったのですが、【ほぼ日

もっとみる
vol.3 理想と現実のはざまで

vol.3 理想と現実のはざまで

編集長不在のまま進む企画

内定をもらってから慌ただしく移住準備を進め、東京でお世話になった人たちへの挨拶も十分にできないまま新しい生活が始まった。初出社したときは彼も一緒だった。青空が広がり、太陽の日差しが照りつける中、青々と雑草の茂る川沿いの道を、私たちは能天気に徒歩で出勤した。7月だというのに。だいたい25分くらいだろうか。会社に到着したときには、リュックを背負った背中が汗で滲んでいた。

もっとみる
vol.2 ローカルの会社で編集者として働く

vol.2 ローカルの会社で編集者として働く

もう一度編集者として働きたい

浜松駅から車で10分ほど、住宅街の一角にある小さな事務所が私の新しい就職先だった。事務所の1階は駐車場となっており、階段をのぼった2階がオフィス。建築資材を企画販売したり、全国の工務店を支援したりする会社だ。私はこの会社でインハウスの編集者として働くことになった。

会社を訪問するため浜松をはじめて訪れたのは、浜松に引っ越す2か月前のこと。当時務めていた会社の契約期

もっとみる
vol.1 浜松の「らしさ」を求めて

vol.1 浜松の「らしさ」を求めて

私が浜松に越してきたのは、2017年の夏のこと。自身の転職がきっかけだった。大学進学から15年間東京で暮らしてきた私は、33歳を迎えようとしていた。結婚適齢期の中にあっても、人生のキャリアステップを考えた時、以前から憧れていた地方で働くことにチャレンジしてみたいと考えていた。転職活動を始めてまもなく、長らく連絡をとっていなかった知人から、浜松の会社の紹介があった。まさに渡りに舟。これはまたとないチ

もっとみる
第2講 糸のこと、織りのこと、加工のこと

第2講 糸のこと、織りのこと、加工のこと

遠州産地の学校、事務局です。
第2講の様子をお届けします!

今回は座学です。
織物を学ぶにあたり、欠かせない知識を古橋織布有限会社の浜田さんと武藤染工株式会社の永田工場長から教えていただきました。

前半は浜田さんの織物基礎講座。
まずは、糸について。
撚り合わせる本数、方向、強さなど…糸により出来上がる生地の風合いも変わってきます。

紡績の工程を理解するために、ウールを使って糸を紡いでみまし

もっとみる
第3講   生地の表情を一変する「加工」を学ぶ

第3講   生地の表情を一変する「加工」を学ぶ

こんにちは。
遠州産地の学校事務局です。

第3講は、武藤染工株式会社にご協力いただき、工場見学と手捺染のワークショップを行いました。
前回の講義で学んだプリント加工。「加工によって生地の表情は大きく変わる」「加工のことを知っていれば表現の幅が広がる」と語る永田工場長ご指導の下、実際の工程を目で見て、手を動かして理解を深めるという回です。

まずは、小幅の捺染の現場見学。

この日は、絵羽浴衣(え

もっとみる
第4講(前編) 織物の基礎

第4講(前編) 織物の基礎

こんにちは。遠州産地の学校事務局です。
遠州産地の学校第4講は、高密度でありながらふっくらとした風合いの生地を得意とする古橋織布有限会社にて、シャトル織機について学びました。
今回、レポートを担当したのは2019年4月に古橋織布有限会社に入社し、もっと遠州産地のことを知りたいと産地の学校に参加した斎藤さん。講義の様子だけでなく、実際に働くからこその思いなども綴ってくださいました。前編・後編の2つに

もっとみる
第4講(後編) シャトルが打つ1回1回の重み

第4講(後編) シャトルが打つ1回1回の重み

こんにちは。遠州産地の学校事務局です。
遠州産地の学校 第4講レポート(後編)です。
高密度でありながらふっくらとした風合いの生地を得意とする古橋織布有限会社にて、シャトル織機について学びました。今回、レポートを担当したのは4月に古橋織布有限会社に入社し、もっと遠州産地のことを知りたいと産地の学校に参加した斎藤さん。講義の様子だけでなく、実際に働くからこその思いなども綴ってくださいました。前編・後

もっとみる
第6講 まるで理科の授業!プリント・加工を学ぶ

第6講 まるで理科の授業!プリント・加工を学ぶ

こんにちは。遠州産地の学校事務局です。
遠州産地の学校第6講は、主に天然繊維のプリント及び無地染め加工を手掛け、120年以上の歴史・伝統を守りながら、新しいことにも積極的に挑戦する日本形染株式会社にて、プリント・加工について学びました。
レポートを担当したのは東京でテキスタイルデザイナーとして働く坂本さん。今回のご縁が実際のお仕事にもつながったとのこと。今後が楽しみです。
------------

もっとみる
第7講 一本糊付け・サイジング

第7講 一本糊付け・サイジング

こんにちは。遠州産地の学校事務局です。
遠州産地の学校第7講は、生地を織る際に欠かせない一本糊付け・サイジングに特化した株式会社和田糊付工場にて学びました。
レポートを担当したのは、繊維産業についての知識を深めるために産地の学校に参加した小栗さん。遠州・浜松で小巾・広巾織物の製造販売に携わる期待の若手です!
---------------------------------------------

もっとみる
遠州産地には、余白と魅力がある。

遠州産地には、余白と魅力がある。

今回は「産地の方をお招きする会」として、浜松市の産業振興課より、杉浦さんにお越しいただきました。

「繊維産地の方をお招きする会」
産地の学校の受講生・修了生向けに始めた企画。産地全体の歴史や産地内で起きている動きを知ることで、産地との関わり方のヒントを探る会です。今後、さまざまな産地の方をお招きしたいと考えています。

杉浦さんより遠州の歴史と特徴、生産量の推移などをご紹介いただきました。実

もっとみる
遠州産地の学校2期 スタート!

遠州産地の学校2期 スタート!

6月1日(土)にスタートした遠州産地の学校2期。
このマガジンでは、講義の様子をお届けしていきます!

まず、はじめに「遠州産地の学校」について。
「遠州」は、浜松市を中心とした静岡県西部を中心とする地域で、綿花の生産から始まり、綿織物の生産を中心に発展してきました。最近では、綿織物で培ったノウハウを生かし、麻の取り扱いも増えています。

「遠州産地の学校」では、産地全体を教室とし、職人が先生とな

もっとみる