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第4講(前編) 織物の基礎
こんにちは。遠州産地の学校事務局です。
遠州産地の学校第4講は、高密度でありながらふっくらとした風合いの生地を得意とする古橋織布有限会社にて、シャトル織機について学びました。
今回、レポートを担当したのは2019年4月に古橋織布有限会社に入社し、もっと遠州産地のことを知りたいと産地の学校に参加した斎藤さん。講義の様子だけでなく、実際に働くからこその思いなども綴ってくださいました。前編・後編の2つに分けてお送りします。
前編:座学と実技
後編:工場見学
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今回は古橋織布有限会社へ訪問。
前半は座学と実技の講座を行いました。
はじめに古橋敏明社長からの会社の歴史などを教えていただきました。
創業は昭和3年(1928年)。現社長の祖父が小幅織物(36cm巾)の製造をスタート、今年で91年目になるそうです。時代のあゆみとともに様々な生地を生産して来られたのですね。
現在の従業員数は9名。
高齢化が大きな問題となっている繊維業界ですが、20〜30代の若手が多いのが古橋織布の特徴です。一方で、織機(しょっき)のメンテナンスに来てくださっている男性はなんと70代。機械のことを知り尽くしたスペシャリストです。30代の男性メンテナンス部員が、その技術を引き継ぎ、いつも楽しそうに話し合いながら作業をされています。
古橋織布で保有している織機は
阪本式シャトル織機が20台(56インチ 16台、66インチ4台)
津田駒レピア織機が1台の計21台
主にシャトル織機を使用し布を織っています。
最新式の早く織ることのできる織機に切り替える企業が増えているなか、なぜシャトル織機を選ぶのか?
それは、シャトルで織れる生地の風合いを大切にしているから。これが他社との差別化にもつながります。
また、古橋社長がシャトル織機のことを好きというのも理由の一つだそうです。
昔からあるものを大切に守りつつ、オリジナルの生地企画や自社ブランドなど新しいことにも挑戦する姿勢がとてもかっこいいですよね。
会社のあゆみについて教えていただいたところで、次は織機の種類について、古橋織布有限会社の先輩である浜田さんよりお話がありました。
織機の種類は、開口装置と緯(よこ)入れの組み合わせで分類され、織機によって織ることのできる生地の種類も変わってくるとのこと。
古橋織布のシャトル織機はタペット織機と有杼(ゆうひ)織機の組み合わせでできています。
タペットとは、カムに接触してその力を伝え、綜絖枠(そうこうわく)を上下させる装置で織機の下の方についています。タペットによって開口された通り道をシャトルという道具が左右に往復することで、生地が織られてゆきます。そのため、生地に耳を作ることができ、その耳をうまくいかしたデザインの生地もあるそう。
耳ありの生地ってとってもきれいだなと私は思います。
その他の組み合わせの織機についても教えていただきました。
生地のことだけでなく織機のことにも詳しい浜田さん。繊維業界のモノシリ博士です。
休憩を挟んで次は実技です。
受講生みなさんで機結び(はたむすび)の練習をしました。
機結びは、織機にかかる糸が切れたときに、糸をつなぐための結び方で、できるだけ結び目を小さくする必要があります。
簡単そうに見えてなかなか難しい機結び、皆さん首をかしげつつも挑戦していました。これができないと機場(はたば)に入ることができないので、私も入社当時は何度も練習しました。
だんだんと機結びができるようになってきたところで、シャトル織機の仕組みを理解するためにオリジナルコースター作りに挑戦です。
布を細く裂いたものをよこ糸に使い、2人1組になって腰機(こしばた)という技法を用いてつくってゆきます。
皆さん談笑しながら楽しそうに作っていました。よこ糸を入れる際の引っ張る力と筬(おさ)をトントンする強さにコツが必要でした。
このコースター作り体験があったことで織物の仕組みが少し理解出来たのではないでしょうか。
前半はここまで。後半のレポートでは、工場見学の様子をお届けします。
古橋織布有限会社 齋藤