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涼しげな「夏の仕立て屋さん」 綿織物の遠州産地、浜松を訪ねて
気になっていたオリジナルガーゼ生地の展示販売会「夏の仕立て屋さん」を見るため、浜松に行った。静岡からは電車で約1時間。本を読むのを楽しみにしていたのに、ボックス席が心地良く眠ってしまった。
浜松駅からバスで尾張町に向かう。展示会場はみかわやコトバコさん。今まで浜松に行く機会はあっても、ずっと寄る時間が作れなかった。外観から味のある雰囲気でうれしくなる。
もともと雑貨屋だった建物を再生し、今は食堂、製本所、オンライン英会話事業などが入っている。交差点の角にあり、スタッフ、お客さんが自由に出入りする感じが良い。展示に合わせ、涼しげな色合い、楽しい柄のテキスタイルが天井から吊るされている。
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浜松は綿織物の遠州産地としても知られる。浜松に移住してきたテキスタイルアーティストの桂川美帆さんは「コロナ禍でマスク用に織られたダブルガーゼの大量の在庫を何かに使えないかとの思いが、夏の仕立て屋さんにつながった」と話してくれた。デザイナーによるプリント生地を使ったパジャマ、ガーゼケット、クッション、エプロンなどをセミオーダーで注文できる。織り、染め、デザイン、縫製まで浜松で行っているそう。
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近くのカフェ、grammeではガーゼ生地にわたを詰めるクッション作りのワークショップの真っ最中。子供たちも針の使い方を教わりながら楽しそうに参加していた。
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みかわやに戻り、KIZUKIの食堂で日替わりのランチをいただく。この日のメインはポッサム。ポッサムが好きなのでうれしい。副菜に使われていた醤油麹や山のするめ大根が美味しくお土産に購入した。
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桂川さんは「はままつ BABY BOX」プロジェクトの主催者でもある。遠州織物の魅力を若い世代に伝えたいと考え、遠州織物で作ったベビー用品を詰め合わせたボックスを開発、販売している。
展示を見て、浜松にはアイデアを話し合い、しなやかに実現していく人たちが集まっているんだなとうらやましくなった。遠州産地の伝統技術を次世代につなごうとするのは、緩やかな横のつながり。みかわやで感じた風通しの良さはそのまま今の浜松の魅力だと思う。街に密着した物作り、交流の拠点を訪ねて大きな発見があった1日だった。