両親が亡くなり誰も住まない実家に帰る。電気をつければ明るくはなるが家族と暮らした温かさは微塵もない。築百年は劣化が加速し雨風の浸食で壁天井が崩れ床は土埃に塗れて滅多に訪れず放ったらかしにしている自分に怒り寝泊まりを拒んでいる。それでも暗くして横になると安堵の呼吸が微かに聞こえる。