中島光信/ブッダアス!(Buddhist in residence)

僧侶・ファシリテーター/毎週水曜コラム更新/WORKSHOP AID「世界三大宗教から見た映画評論」ライブ配信etc./各種ワークショップ告知

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ZORN「My Life at 日本武道館」レポート

去る1月24日(日)、ラッパー・ZORNによるワンマンライブ「My Life at 日本武道館」に足を運んだ。ライブから半月近く経った今でも、その余韻が消えない。そんな当日の模様を、ここに記録しておきたい。   *  *  * 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下の東京。そうした厳しい環境でも、開催の決断を下してくれた全ての関係者に敬意を表し、呼応するかのように、当日の武道館はヘッズで溢れた。雪の予報は小雨に変わったが、吐息は白い。後ろに並んでいた男性は福岡から参加とい

    • 映画レビュー:24年10月の16本

      ・アンダーグラウンド (1995年/フランス、ドイツ、ハンガリー/エミール・クストリッツァ監督) 2h51m、すさまじい。。。2024年年間ベスト。風刺もユーモアも愛憎も反戦もすべて詰め込んで骨太なスペクタクルで仕上げる。予告編からはこのスケール感まったく想像してなかった。飽きずに観られる、というか、途中から時間の感覚が歪む。大傑作。 ・Cloud クラウド (2024年/日本/黒沢清監督) 銃口を人に向けるのはマジでよくない。ヒリヒリする。ポスターとはいえこちらに向け

      • 4/5(金)RPR SOUNDSYSTEM @ LIQUIDROOMレビュー

        近年の来日には欠かさず参加しているRPR SOUNDSYSTEMの来日公演@LIQUIDROOM。なんだろうね、自分でも何がいいのか、名言できないし解明できないけれど、抜群に、メチャクチャ良いんだよなぁ。 2024年4月5日(金)の来日公演、当日のレビュー。 というか以下、踊りながら、スマホにメモしたもの。 ・場内が暗いのが良い。 ・重心が低くなったり高くなったりするものの常に丹田キープ ・華美ではない、職人気質BPM ・音がいい。耳栓、サングラス不要 ・ルーマニアの内向

        • 映画レビュー:24年9月の12本

          ・Chime (2024年/日本/黒沢清監督) みんな狂気・凶気を必死に堪えながら、薄くガス抜きしながら、なんとか日常を維持している、という現代のタイトロープ感の表現が巧い。弁舌ふるう料理教室の先生が自宅では家族3人で大皿のうどんをつつく質素な食卓だったり、電車の通過時の影だったり、うっすら聞かせるチャイムだったり、「間」だったり、演出があざとくなくて巧いんだな。日常がホラー要素たっぷりに仕上げられている。渡邊琢磨氏の音楽が、妙を添えて、良い。 ・めくらやなぎと眠る女 (

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        ZORN「My Life at 日本武道館」レポート

          永田町地下にて

          地下鉄が永田町駅に到着した時、乗客の携帯電話がいっせいにけたたましく音を立てた。 なにかのアラートが発せられたのだ。地震か? 身体が強張った、のが、判る。 とっさに「この電車から降りたほうが良いのではないか?」と内側からのシグナルが聞こえる。 このまま電車に乗っていて、駅と駅の中間、都心の地下深くで電車が緊急停止したら?助かる見込みはないのではないか? 鞄にはいつも水分とおやつ(多少の軽食)を常備しているが、今日に限って「もう、あとは帰宅するだし。自宅の最寄り駅まで

          銭湯巡礼記14~神奈川県川崎市「ヘルスよしの (よしの湯)」(24年9月)

          市内にも訪れたことのない銭湯が無数にあって、そのうちの1つ「よしの湯」さん。小田急線よみうりランド駅を降り、商店の並ぶゆったりとした上り坂を歩くこと4,5分。 なかなか年季の入った館内で、先客は数人。 洗面台の鏡をひたすら磨き続け、納得がいったら隣に移動し、その鏡をまたひたすら研磨し続ける客。 水風呂だけに延々と入っておられる客。 洗い場で地蔵になっていて微動だにしない客。 個性的な客層と、他の方もレビューで書いておられるように、今にも剥落してきそうな天井など館内の

          銭湯巡礼記14~神奈川県川崎市「ヘルスよしの (よしの湯)」(24年9月)

          銭湯巡礼記13~東京都世田谷区「月見湯温泉」(24年9月)

          若いパパがケータイ見ながら待ってるところに自転車でママと子供が「おまたせー」と登場、こどもが「おんせんー」と降り、「そうだねー」と駐輪して入っていく、ここ東京都世田谷区の「月見湯温泉」。 前回の訪問が何年前かも思い出せないけれど、ずっと、ここにある有難さ。 館内は、犯罪とは無縁そうな人懐っこいおっちゃんたちの社交場。どうも~と声をかけあっている。 「明日法事なんだよ」「そりゃ大変だ」 「オイAさん、番頭さん花がねぇから帰ろう」 すると下駄箱で妙齢の女性と鉢合わせに。

          銭湯巡礼記13~東京都世田谷区「月見湯温泉」(24年9月)

          銭湯巡礼記12~栃木県足利市「足利鹿島園温泉」(24年8月)

          北関東を車で回る機会があって、たまたま宿のそばに見つけ、日が落ちてから伺ったこちら「足利鹿島園温泉」さん。源泉井戸を掘削して100%天然温泉だという。 あとから確認すると、大勢の方が 「昭和にタイムスリップ出来る」 「レトロ感がすごい」 「廃れた健康ランド」 「昭和のノスタルジー」 などと書いておられる、まさにそのとおりで、訪問時は知らずに迷い込んだようなかたちだったので、正直、趣に食らった。 浴室は地下階と屋上階に分かれていて、脱衣室は地下階にしかない。まず地下階の

          銭湯巡礼記12~栃木県足利市「足利鹿島園温泉」(24年8月)

          台風の日の朝焼け

          深夜の地震は、眠気の中で聞いた。 夢と混濁していて、身体が動かない。 意識の片隅で「地震だ、大きいぞ」という声がする。 揺れ続けているけれど一方で睡魔が「大丈夫だろう」と覚醒を妨げ、しばらくたって揺れが治まると、ほらね、と、安心してまた気絶していく。 ときには「これは大きいぞ、いつもと違う揺れだ」という時もあるけれど、大概はやり過ごし、朝を迎える。するとケロッとしていて、家族に「昨晩の地震大きかったね」などと言われると、あぁそういえば地震あったな、とその時になって思い出し

          映画レビュー:24年8月の1本

          ・壁は語る (2022年/スペイン/カルロス・サウラ監督) 3万年前の洞窟壁画と現代のストリートのグラフィティを並列にし、それぞれ当事者(考古学者とグラフィティライター)にインタビューするという、旨み溢れるドキュメンタリー。劇中「(古代人は)見えるものは描かなくてもわかるから、描かなかった」というくだりや、「自然が語りかけてくると、そこにはじめて物語が生まれる」くだりなど、示唆に富んでいて、鑑賞中にあるアイデアが閃いた。観てよかった。てか知らない洞窟壁画いっぱいあるんだな。

          映画レビュー:24年7月の4本

          ・ルックバック (2024年/日本/押山清高監督) あー泣いた泣いた。クズはクズなりにやってこう。やり続けるしかない。音楽がharuka nakamuraでびっくり。 ・マッドマックス:フュリオサ (2024年/アメリカ/ジョージ・ミラー監督) ずっと高密度でハイテンション、気づいたらずっと座席前のめりで超集中。疲れた。。けど面白かった。通奏低音のドラムロール心地良いし、ラストのつながりも良。憎しみの連鎖はどこかで柔和していかなければ、という、お諭しも。 ・フェラーリ

          映画レビュー:24年5月の7本

          ・クイーン・オブ・ダイヤモンド (1991年/アメリカ/ニナ・メンケス監督) パトカー鳴ってても群集の騒ぎの中にいても無音(サイレント)にして静けさのコントロール。聞かせたい音だけフォーカスして拾ったり、静けを操る手法が巧み。セリフはごくわずか。寝た。 ・リバー・オブ・グラス (1994年/アメリカ/ケリー・ライカート監督) 「ロードのないロードムービー、愛のないラブ・ストーリー、犯罪のない犯罪映画」という宣伝文が言い得て妙。ラスト、助手席の男を撃ち殺して旅に出ちゃうけ

          掃除機でぶいん

          本堂の掃除をしていたら、スズメバチが死んでいた。 妻は「本堂で死ぬなんて、徳の高いやつだ。来世は人間だな。」と死骸に言葉をかけ、掃除機でぶいんと吸った。 特に特別のことではなく、日常の動作といった感じで、掃除機がけを続けていく。 なにげない言動だけれど、妻が「お寺の奥さん」っぽいなぁと思うのだった。 私は声に出して「なんまんだぶ、なんまんだぶ」とつぶやき、そして護摩壇の掃除を続ける。

          寝相で家族

          夜、家族が並んで寝ている布団の隙間に、そっと潜り込む。1日の中でもっとも幸せな瞬間だ。 この安らぎも長くは続かない。そんな諦念があるから、このときを掛け値なしに愛おしく思う。 一番遠くで寝ている娘の規則的な寝息が聞こえる。ときおり不意に話し始めると、心底嬉しそうな声でけたけた笑う。学友と遊ぶ夢でも見ているのだろうか。毎日の学校生活がたまらなく楽しいのだろう。日々の学びの様子を誇らしげに語ってくれる彼女の姿を見ると、学びとは能動的で知的好奇心の探求だったはずだと思い改める。

          映画レビュー:24年4月の7本

          ・DUNE 砂の惑星 PART2 (2024年/アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督) 古今東西繰り返されてきたサーガっちゃサーガだろうが、いやぁまったく、違う惑星のSFと思うからマダ見ていられるけどさぁ。現在の世界情勢と無縁で観らんねーだろこんなんよ(呆)脳みそ戦争のマッスル映画ですよ。計略と政略と火炎放射して切り札が核って。核の扱いが幼稚すぎるアメリカ映画どうにかならないんすかね。 ・ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅 (2022年/アメリカ/エリアン・アンリ監督)

          映画レビュー:24年3月の11本

          ・ミレニアム・マンボ (2001年/台湾、フランス/ホウ・シャオシェン監督) 光の色合いがまだまだアナログの頃で、全然違うんだよなぁ。目にやさしいし温かみがある。女も男も(小道具として)タバコ吸いすぎ。てか夕張ロケのくだり、脈絡なさすぎる。どんな力が働いてこの捻じ込みシーンがあるのか。。 ・ロッタちゃん はじめてのおつかい (1993年/スウェーデン/ヨハンナ・ハルド監督) よくねた。劇場にロッタちゃんみたいな年頃の子供いっぱい来てたけど、つまんなかったんじゃないかな。