三島由紀夫『不道徳教育講座』に学ぶ本当のモテ方
晩秋の一日、三島由紀夫の『不道徳教育講座』を手に取り、その逆説的な題名に目を奪われた。「不道徳」とうたいながらも、実は読者の道徳観を揺さぶり、深い思索を促す仕掛けが随所に凝らされているのである。
特に印象に残ったのは「モテるとは何ぞ」という短編である。三島によれば、世間でいう「モテる」とは、ただ周囲からチヤホヤされるだけに過ぎない。
多くの人が少しの称賛で舞い上がりがちだが、三島はそれを「一体それが何だ」と一蹴する。
チヤホヤとは、さながら「ウナギ屋の前でウナギの焼けた匂い