会話の主役を譲れば、面白い話を語り合える
人の話を聞いて、「へぇ、面白い」と思う瞬間が好きだ。
noteなどで、面白い文章と出会えたときもスキだ。
しかし、「面白い」と一言でいっても、その感覚は様々である。
例えば、私は3歳になる娘の「プゥーー」というお尻からの鳴き声を聞いたときは、愉快で面白いと感じる。
一方で、人の話を聞いて、「へぇ、面白い」と思うときは、意外だったり、知らない話であったりと興味をそそられて面白いと思う。
また、面白いの種類が異なると、笑い方も変わる。
馬鹿らしくて面白いと感じたときはげらげら笑う。
ちょっと頭をひねって面白いと思ったときはにやっと笑う。
このように無意識に笑い方に変化をつけている気がする。
私は人の話を聞いて、「へぇ、面白い」というときは、にやっと笑うことのほうが圧倒的に多い。
なぜなら、あまり過剰に笑ってしまうと、会話の主導権が話し手側から笑った側に渡ってしまうからである。
そうすると、話の続きが聞きたいのに、会話のテンポが悪くなってしまう。
過剰な笑いが会話の主役を奪ってしまうのはなぜか。
それは話し手の声より、笑った側が高い音を使ってしまうからだと思う。
高い笑い声といえば、明石家さんまさんの特徴的な引き笑いを私は思い出す。
さんまさんの引き笑いの声の高さだが、アホウドリの求愛の声の波形と酷似しているらしい。
それを知ったとき、思わずアホウドリの求愛の動画を見たが、相当高音だった。
高い声は、相手の気を引くのに効果的なのかもしれない。
たしかに、さんまさんの引き笑いは、テレビ越しでも人を惹きつける。
しかし、それでもさんまさんと相手の会話のテンポが乱れないのは、さんまさんに卓越した話術があるからなのだろう。
だから、一般人には真似できない。
アホウドリの声も凡人には出せないだろうが。
また、ポピュラーソングでも、サビは一番高い音を使うのが盛り上がりを作るシンプルな方法の一つだ。
そのため、私は人の話を聞いて、「へぇ、面白い」と言うときの音程には特に気をつけている。
心からの「へぇ、面白い」の場合、相手の話を促したいので、普段の私の話し声より少し低い音程で落ち着いた調子で話すようにしている。
そのときに私は、上品なマダムになったつもりになる。
テンポはゆっくりで、低めの声で「へぇ、面白い」と言う。
すると、私が上品なマダムを装えているかどうかは別として、相手の話の邪魔にはならないので、話がテンポ良く続く。
一方で、相手の話を切り上げたいときは、早口気味に高めの声で「へぇ、面白い」と言う。
カジュアルな場だったら、同時に手を叩くような仕草もする。
そうすると、相手は会話のリズムを崩されるのか、一瞬隙ができることが多い。
こちらが口を挟む時間を作ることができたら、切り上げられる確率が上がる。
しかし、好感度は下がるのでおすすめしない。
それに、切り上げずに相手の話を聞いているうちに、「へぇ、面白い」という瞬間が訪れる時もある。稀なことだが。
それでも、面白いを追い求めるには、忍耐力と好感度の維持が必要である。
人間の心理的に、好ましく思わない人に、面白い話をしようとは思い辛いからである。
だから、相手から面白い話をしてもらうには、相手の話を促すようなテンポや声の高さに注意して、会話の主役を奪わないことが求められる。
またそのような好ましい聞き手の態度を維持し続けることが重要である。
そうすれば、会話の主役は相手に譲ることになるが、こちらが主体的に会話を展開させることができる。
そして、面白い話を語り合えたと思える相手と巡り逢える瞬間が訪れるだろう。
私はそういうひと時もこのうえなく好きだ。
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