気持ちの問題で上手く伝えられないときの考え方
伝えたいことを上手く話せないときがある。
大きく分けるなら、二つの要因が、私の中ではある。
単純に伝え方が下手な場合と心理的な要因で上手く話せない場合である。
私は営業の仕事をしているので、新しい商品の説明をするときに、伝え方が今一だったと感じるときがある。
伝え方の問題の場合、量をこなして、その都度修正していくと改善されることが多い。
一方で、心理的な要因が問題である場合、改善するにはきっかけが必要であったり、あるいは改善できなかったりする。
また心理的な要因があるときは、過去に心理的な要因になる出来事やきっかけとなる原因があることが多い。
しかし、過去の出来事やきっかけとなる原因を深堀ったところで、心理的な要因が改善するわけではないというのが悩ましいところである。
むしろ深堀ることで、そのときの状況を思い出して悪化する場合もある。
つまり、伝え方のスキル不足より、改善するのが厄介である。
そのような心理的な要因を改善するためには、どうしたらよいのか。
結論を言うと、自分の内側ではなく、外側に視点を変えて見てみると改善するきっかけが見つかるときがある。
ただ悩んでいる最中は視点が変えられないので、自分の内側に原因を探さないようにするという意識が必要である。
私が心理的な要因で上手く伝えられなくなった出来事としては、お客様から、「売ろうとされたのが嫌で、買う気が失せた。」と言われたことから、他のお客様からも言われるのではないかと恐れるようになったことがある。
まさに「売ろうとして売れなくなることに恐怖する」という心理的要因で、上手に売り込みができなくなったわけである。
また上手に売り込みができないと、上司に売れなかったことを詰められるというのも恐怖に拍車がかかる原因になっていた。
たぶん、そのときの私の心境は、片思いの相手に告白して玉砕した少女が、すぐ新しく好きな人ができて、また相手に振られるかもしれない中で、
「付き合ってください!」と告白をしたが、自分の背後に、噂をすぐ広める部活の先輩が立って様子を見ていて、相手の返事を聞くのが余計に怖い…というときと同じ心境である。
私はそのような状況になったことはないが、おそらく気持ち的にはその少女と同じ程度には緊迫感を感じていると思う。
私が純情な乙女だったら、白目になってもいい状態なのだが、お産を経験した母であり、娘のごはん代を稼ぐために働いているおばちゃんなので、黒目で相手をじっと見て、返事待ちしないといけないのだから辛い。
さらに、私のお得意の「まあ、いっか!」では、仕事なので済ませられず、悩んだ日もあった。
しかし、私を悩みから抜け出させたのは、やはり「まあ、いっか!」であった。
ある日、お客様と話していて、(恐がっても売れるわけではないし、まあ、いっか!とりあえず提案だけはしよう!)と心の中で決めて営業したら、提案したものを購入していただけたのである。
そのときは、私が売り込むのを怖がったことで、お客様の希望をよく聞いて提案できたから購入していただけたのだと思った。
冷静に考えれば、お客様が違う人であったというのが売れた理由なのだが、
「私が売ることで、お客様が買ってくれなくなるという恐怖」から目を逸らしたことで、私の外側に目を向けることに成功したのである。
仕事だと自分の力量不足を疑う必要はあるが、
「恋愛と同じで、相手が変わるのに、成功率100%の伝え方などない」
と意識しておくことも重要である。
その上で、数%の確率を上げる戦いを地道に経験し続ける。
その先に、私は自分が納得のいく伝え方に辿りつき、気持ちの問題が解消されていくと信じて、今日も上司の売れという圧に耐えている。
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