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おやつの攻防戦:3歳娘と私の愛おしい日常

私は今、3歳の娘と暮らしている。
娘は食べることが大好きだ。

母親としては非常に助かっているが、彼女の食べることへの凄まじい意欲には、同じく食い意地の張っている私でさえ目を見張るほどである。

娘に3時のおやつとして子供用のお菓子をあげると、自分の席にちょこんと座って食べ始める。

しかし、私が自分もおやつを食べようと袋を開けると、その音を聞きつけて、娘は毎回「ガタッ」と席を急いで立ち、走って私のところにやってくる。

そして、「ママ〜」と抱きついて、「何食べてるの?それはママの?」と上目遣いで言いながら、私に自分を抱きあげさせる。

そして耳元で「ねえ、ちょうだい」と小声でささやき、私に微笑みかけてくるのだ。

どうしたらおねだりが可愛く見えるか、また成功しやすいかを娘は分かっているのである。

ちなみに、夫には100%の確率で成功する。

夫は娘からおやつをねだられたら、必ずおやつをもぎとられるわけだが、満面の笑みで渡している。

その様子を見て、思わず「娘…恐ろしい子!」と『ガラスの仮面』の月影先生のような台詞が口から出てしまうほどの演技力だ。

しかし、演技と分かりつつ、私も「はい、どうぞ」と、ついつい自分のおやつを渡してしまう。

そしてこのおやつのおねだりは、5分の間に5〜6回は繰り返される。

この頻繁さの理由は、私のおやつを手に入れた娘が、しれっと私の隣に移動し、私のおやつが減るペースを確認しては再びねだってくるからだ。

そして、最後の一個になったことを確認すると、さっとそれを手に取ってキープする。

そういう時、私は「えっ、ママのおやつなんですけど…」と抗議してみたり、「さっき、ママの分をあげたよね?食べたよね?」と問いかけたりしてみるが、

娘は聞こえないフリをして、最後の一個を口に入れる。

そして、自分用に出されたおやつの残りを食べるために、振り返りもせず、足早に元いた娘の席に戻っていくのだ。

「もう、用無しってことね…」とつぶやいてみるが、これも娘に無視される。

「親なんてそんなもんだろう」という私の心の中の声が返事をしてきて、まあ、そうだなと思い直す日々である。

また、普段、娘は保育園に通っているが、彼女が発熱するなど体調を崩すと、保育園から私の職場に連絡がくる。

急いで保育園にお迎えに行くと、しんどそうな顔をした娘を先生が連れてきて、娘の状態を説明してくださる。そして、大体こんな風に言われる。

「いつも給食の準備は真っ先に手伝いに来るのに、今日は一番に来なくて…おかしいなと思ったら、娘ちゃんが給食のお味噌汁を残していて!これはおかしいと思い、熱を測ったら39℃近くのお熱がありました。娘ちゃんがごはんを残すなんて心配です…病院を受診してくださいね。」

笑い事ではないが、毎回、娘が発熱したことよりも、食事を残したことを心配されるので、つい口角が上がってしまう。

「それは心配ですね。病院は必ず受診します。明日はお休みをさせていただきます」と私が返事をすると、先生はさらにこう言うのだ。

「そうですね。娘ちゃん、お熱があったので、食事の途中でしたが、横になる?と聞いたのですが、席に座ったまま食べようとずっとスプーンを握っていました。それでも残したので、明日はお休みさせてあげてくださいね。」

これが、毎回、娘が体調不良で保育園に迎えに行く際のやり取りである。

我が娘ながら、食に対するガッツが凄まじいと思う。

ぜひこのまま食べることが好きなままで、すくすく成長して欲しい。



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