木村創

保育歴20年、子どもの主体性を大切に保育に取り組んでいる向山こども園の副園長です。AI…

木村創

保育歴20年、子どもの主体性を大切に保育に取り組んでいる向山こども園の副園長です。AI時代に必要な課題解決力・非認知能力を育む保育を行うチーム作りに取り組みつつ、2児の父親としての経験も共有します。

最近の記事

ちょっとは父親らしいこと、できたなか?

普段は「役に立たない父親」だと感じることが多いですが、少しはこどもたちの役に立てたかな?とおもった瞬間があったので、忘れないうちに書いておこうと思います。 ベビーカーのダンボールから始まったお家 子どもたちが歩けるようになってから、ベビーカーが入っていた丈夫なダンボールを利用して小さなお家を作りました。 当初は暫定的な遊び場のつもりでしたが、思った以上に子どもたちはこの「お家」を気に入り、よく中で遊んでくれました。 ある日、上の子が突然いなくなって家中を探し回り、焦っ

    • 音楽生成AIと保育

      最近、AIを使った保育の可能性について考える機会が増えてきました。 今日は、音楽生成AIの活用について考えたことを書きます。 向山のYouTubeチャンネルの番組 先日は、園で行われた「お魚祭り」の様子を保護者の方々に共有するため、YouTube用の動画を制作していました。 向山こども園では、保育者との対談番組のほかに、Vlog形式のヤマログ、保育者がレポーターとして活動を紹介するプレイレポート、子どもたちの様子を記録したドキュメンタリームービーなど、さまざまな限定配信の

      • 保育の美談と現実のギャップ~子どもは育った力を全方位に使う~

        今日は、保育者と話していた時や事例検討会で語られる素晴らしい話について、ちょっと考えることがあったので書いてみたいと思います。 保育を語るときに登場する美談 保育の現場では、子どもたちの成長に関する「美談」を耳にすることがよくあります。 例えば、子どもが問題に直面した後、友達と協力して解決していった!という話や、動物への接し方について反省し、自ら改善の方向性を導き出したりするという類の話です。こうしたエピソードは大人にとって心温まるもので、私自身も「素敵だな」と感じること

        • 私の仕事の意味

          今日は職員の結婚式に参列させていただきました。 素敵なお二人やご家族にと和やかな時間を過ごす中で考えたことを書きたいと思います。 アットホームな結婚式と初めての体験 秋晴れの快晴で、素晴らしい日曜日の朝。 早めに動物たちのお世話を済ませ、羊と干し草の匂いでは参列できないため、しっかりとシャワーを浴び、家事を片付けてから会場へ向かいました。披露宴は、親しい親族の皆様に囲まれたアットホームで少人数の雰囲気の中、初めての乾杯の挨拶ということで緊張しましたが、和やかな空気に助けら

        ちょっとは父親らしいこと、できたなか?

          死角か遊角か?

          向山こども園の環境は、子どもたちが楽しく過ごせる場所として工夫されていますが、大人から見ると「見えにくい場所」があり、時に心配されることがあります。 今日は、この「死角」について考えてみたいと思います。死角には2種類あり、物理的死角と心理的死角があります。それぞれについて掘り下げてみまます。 物理的死角 物理的死角とは、文字通り「視界を遮る」ことで見えにくくなる範囲のことです。これは、子どもたちが安心して遊べる拠点となるため、時に意図的に作られることもあります。 向山こ

          死角か遊角か?

          しきたりって悪くないのかも?

          今日は、向山こども園で行われた新しいホールの上棟式が行われました。 今回の上棟式の企画に至る経緯や、上棟式を通して感じたことをお伝えしたいと思います。 地域と子どもたちをつなぐホールの設計 向山こども園は、現在、年少棟とホールの建設真っ最中です。 少子化が進む中で、子どもたちだけでなく地域全体の人々に活用していただける場を提供することが大切だと考え、新しいホールの設計を進めてきました。 このホールは単に園の施設という機能だけではなく、地域のハブとして多くの人が集い、交流で

          しきたりって悪くないのかも?

          記録の音声入力とAI導入による効率化で保育の質向上を!

          近年、AI技術の発展は目覚ましいものがあります。その中で、向山こども園がどのようにAIを活用しているのか、いくつかに分けてお伝えしていきたいと思います。今回は「記録の要約」に焦点を当ててお話します。 記録のICT化とAI活用 向山こども園では、数年前に手書きの記録からGoogleフォームを活用したICT化へとシフトしました。 これにより、記録がGoogleスプレッドシートに自動で集約されるようになり、記録の検索や並び替えが容易になりました。 これまでの紙ベースの記録では、

          記録の音声入力とAI導入による効率化で保育の質向上を!

          向山こども園の自然遊び~保育者の工夫が育む発見と成長~

          向山こども園は、自然豊かな環境があり、子どもたちは日々その自然と触れ合いながら過ごしています。 今日は、このこども園での自然との関わりについてお話しします。 豊かな自然環境とその工夫向山こども園は約2万m²の広大な敷地を持ち、その中にはさまざまな自然の要素が取り入れられています。 子どもたちが生活する園舎は全棟平屋となっており、その園舎の周りには、地形がシーズンごとに変化する園庭や、。草原や虫たちが集る場所、そして「オランウータンの森」と呼ばれる雑木林など、多様な地形や環境

          向山こども園の自然遊び~保育者の工夫が育む発見と成長~

          職員室の「お茶出し文化」って、いる?

          職員室には長年続いている「当たり前」の文化がありますが、必ずしも必要とは言えないものも多く存在しています。 今回は、その中でも職員間の「お茶出し文化」について焦点を当ててお話しします。 若手保育者の「お茶当番」の実態 私が向山こども園(当時の向山幼稚園)に教頭として就任した頃、若手の保育者が毎日行っていた重要な業務の一つが、保育終了後に職員室で先輩の保育者にお茶を出すことでした。 保育者ごとにコーヒーに入れるミルクや砂糖の分量、もしくは、コーヒーではなく紅茶なのかを覚えな

          職員室の「お茶出し文化」って、いる?

          シリーズ 保育者の成長~中堅が次につなげるための改善~

          今日は、現場で日々成長を続ける保育者について考えてみたいと思います。 特に今回は、園の中で重要な役割を担いながらも、まだ成長途中にある中堅の男性保育者に焦点を当ててお話しします。 このシリーズでは、さまざまな職員の成長を段階的に見つめ、どのように成長していくのかを、私の試行錯誤も含めてお伝えしたいと思います。 重要な役割と大きな責任 この中堅の保育者は、年長クラスのリトルオリンピックの際、フロアマネージャーを任されました。このフロアマネージャーの役割は、配信チームと現場の

          シリーズ 保育者の成長~中堅が次につなげるための改善~

          ある親子を見て思ったこと

          今日は下の子が熱を出したため、妻が家で看病することになり、上の子と私で遊びに行くことにしました。 その時に目にした、ある親子の風景が心に残り、今回はその出来事を通して感じたことを書いてみたいと思います。 水族館でのラーメン 以前、私と子どもたちの3人で水族館に行った時、フードコートでラーメンを食べたことがありました。上の子はその時のラーメンをとても気に入り、今回は妻がお弁当を作ろうとすると「ラーメン食べるから作らないで!」と丁重に断っていました(笑) そこで、12時前に終

          ある親子を見て思ったこと

          こどもってやっぱりいいな

          今日は年中・年長の子どもたちが待ちに待ったリトルオリンピックが行われ、朝から保育者や保護者も加わりながら、笑顔と感動に包まれた一日となりました。 イベント準備から本番、片付けに至るまでの長くてあっという間の一日を振り返り、子どもたちや支えてくれた仲間たちへ感謝を込めて、子どもたちの姿から思ったことを書きたいと思います。 雨上がりの早朝準備と園庭の整備 べっとりと靴の裏につく粘土質の土を見ながら、「果たしてこの状態でリトルオリンピックは無事に開催できるのか?」と不安が募った

          こどもってやっぱりいいな

          行事にある2つの側面

          明日はいよいよリトルオリンピック。 年中と年長の子どもたちが、午前と午後に分かれてこれまでの成長を見せ合う、子どもにとってドキドキワクワクのイベントです。 今回は、行事の持つ2つの側面――子どもから見た側面と、大人から見た側面――について考えてみたいと思います。 子どもにとってのリトルオリンピック まず、子どもたちの視点から見ると、最も大切なのは「この日が楽しかった!」と心から思えることです。 もしかすると、朝は緊張や不安から「行きたくないな」という子もいるかもしれません

          行事にある2つの側面

          子どもたちと楽しむ自由な音楽の形

          向山こども園には、多彩な才能を持つ保育者がいます。 例えば、走ったり体を動かすのが好きで鬼ごっこなどを思いりき楽しめる保育者や絵を描くのが上手な保育者、子どもと丁寧に関わることが得意な保育者、そして保護者対応が非常に上手な保育者まで、各自が持つ個性と特技が光っています。 今回は、その中で、音楽が大好きな男性保育者のお話を紹介します。 この保育者は、入職前からピアノが非常に上手だと聞いていましたが、それだけでなく、ドラムやギター、ベースなど多様な楽器をプロ級に演奏でき、さらに

          子どもたちと楽しむ自由な音楽の形

          学生さんに聞かれて、改めて考えたこと

          先日、就職活動のために見学に来た学生さんと話す機会があり、その中で「向山こども園の良さは何ですか?」という質問を受けました。 この質問は、まるで私が面接されているかのような気分で笑いそうになりましたが、非常に大切な問いだと思い、この記事にまとめることにしました。 向山こども園の良さとは?「向山こども園の良さ」とは、私たちが学生に面接の際に尋ねることもあれば、保護者からのフィードバックとしていただくこともあります。 しかし、最も大切なのは、日々こども園で生活している子どもたち

          学生さんに聞かれて、改めて考えたこと

          保育の質を支える教材作家さん

          保育者に対する一般的なイメージとして、「ピアノが得意で絵や工作が上手」と思われる方が多いかもしれません。しかし、現実には全員がそうであるわけではありません。何を隠そう私は、絵も描けなければば、ピアノもバイエル終了したくらいで保育者になったものだから、とても苦労したうちの一人です。 近年、働き方改革が進む中、保育者がどんな業務を担っているかを分析し、分業を進めてきました。今日は、保育における分業の一環として、教材やおもちゃの制作を担う「教材作家さん」についてお話しします。 保

          保育の質を支える教材作家さん