スマホで調べてみたらいいじゃん?という4歳児
今日、お風呂の中で子どもと色々な話をしているときに、飼っているカナヘビの餌をどうするかという話題になりました。
すると、年少の娘が、「スマホで調べてみたらいいじゃん」と言いました。
私自身、ほとんどのことをスマホで調べたりしているくせに、なぜだかドキッとしました。
ということで、この「ドキッ」を自分なりに分析してみようと思います。
子どもとカナヘビの出会い
ちょうど10日ほど前、年少になる我が子がカナヘビを捕まえてきました。
妻から第一報が送られてきて、家に帰ると、カナヘビのしっぽを持ちながら、自分がどれだけの偉業を成し遂げたのかを、嬉しそうに何度も何度も話してくれる娘。
年少なのにカナヘビをつかまえられるなんて!と驚いた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は晩秋のこの時期、寒さでカナヘビが動きが鈍くなるので、正直アリをつかまえられる子ならだれでも捕まえられます。
特段、うちの子が天才ではないわけなのですが、娘にとっては大収穫となり、家族で大騒ぎしながら、簡単な飼育環境を整えました。土や石を用意し、餌には、とりあえず家にあった煮干しを置いて、家族が1匹増えました。
ところが、煮干しが底をつき、鰹節もあまり食べない感じなので、そろそろちゃんと調べてみよう!ということで、ミルワームの乾燥したものを分けてもらって、あげてみていたのですが、思うように食べてくれず、「どうしたらいいだろう」と毎日観察していたところから、お風呂の中での会話につながっていきます。
「スマホで調べてみたら?」と言われた瞬間
子どもとお風呂でカナヘビの餌について話していた時、冒頭の「スマホで調べてみたらいいじゃん」と言われました。
その瞬間、私はなぜかドキッとしました。
自分では日常的にスマートフォンをフル活用しているのに、子どもの口からその提案が出ると何か違和感を覚えたのです。
その違和感の正体を考えてみると、いくつかの要因があるように思いました。
プロセスの出会い
私たちが子どもの頃、情報を得るには大人に聞いたり、本や図鑑を通じて調べることが主でした。
手間をかけて得た情報は記憶に残りやすく、そのプロセスの中でいろいろな出会いもあるので、それ自体に価値があると感じていました。
一方で、デジタル技術の発展によって、私たちは瞬時に答えにアクセスできる時代を生きています。この便利さは素晴らしいものの、その分、情報を探し当てる過程で得られる「プロセスでの出会い」が失われているのではないかと感じます。
余白の発見
図鑑でカナヘビを調べる際には、関連する他の生物や種類や分類についても目にすることができます。これが思考を広げ、概念を深めるきっかけとなります。
しかし、スマートフォンで検索すると、必要な情報だけがピンポイントで得られ、それ以上の探求を生む余地や余白が少ないように感じます。
情報の正確さ
単純に答えだけを得られるインターネットは楽しているような気もしますし、玉石混合の情報ということもあり、紙媒体の方が信頼度が高く、質の高い情報のような気がします。
情報との向き合い方を考える
子どもにとっての学びは、単に答えを得ることだけではなく、試行錯誤そのものにあります。
紙媒体の強み
紙媒体では、いろいろな情報に触れながら、情報の階層をページをめくるという動作と合わせて感じたり、本の厚みや重さから、知識量を体感的に学んでいくこともできます。
様々な情報に視覚情報だけでなくアクセスすることができるのが、紙媒体の大きなメリットだと思っています。
紙媒体も不要な場面も
しかし、体験的に探究をしていきたいのであれば、デジタルはもちろんのこと、本や図鑑というメディアも、こどもから遠ざける必要がある場合もあります。
カナヘビを例にすると、子どもが実際にエサとなるクモや虫を捕まえ、何を食べるかを自分で試しながら学ぶことで、成功や失敗を通じて、粘り強さや好奇心が育まれます。
デジタル技術や本という誰かの知識を借りるのではなく、自分でつかみ取った情報や知識や知恵は、子どもの成長に不可欠なものとなります。
つまり、紙媒体であれ、人媒体であれ、デジタル媒体であれ、情報という観点で見れば、状況により善し悪しの基準は変わるということです。
デジタル技術には効率的な情報収集というメリットがあります。一方で、紙媒体には信頼性の高さや情報を体系的に学べる良さがあります。それぞれを適切に活用し、子どもが興味を持った事柄に対して最適な方法を提供することが大切だと私は思っています。
結局どうしたの?
それでは、今回はどうしたのかというと、今回は、スマートフォンの出番でした。
というのは、体験的な探求をしようにも、虫はおろかクモもどこかに消えてしまっていますし、餌をお店に買いに行って、店員さんとの交流をしたいと思っても、明日は公開保育、明後日は認定こども園協会の地域活性化研修会という東北大会のスタッフで1日動けず、日曜日は子育て支援の講座の講師をさせていただくので、とても、一緒にペットショップに行くことはできそうにないからです。
そんな時、生成AIに描いてもらったカナヘビが食べるものの絵を見ながら、あーでもないこーでもないと持論を展開し、Amazonの画面を一緒に覗き込みながら、コオロギや乾燥ミルワームなどいろいろな写真付きの餌を見て、どれが一番おいしそうかを考え、最終的に、生きたハニーワームを購入することにしました。
ハニーは何かを聞かれたので、はちみつで、この蛾の幼虫ははちみつを食べて育つらしいということを伝えると、自分の大好きなはちみつというキーワードが刺さったようなのですが、果たしてどうなるのでしょう?
デジタル技術はただの道具に過ぎない
情報との向き合い方について考えることは、子育てだけではなく、保育の現場でも重要なテーマです。
デジタル技術は便利な道具として保育や子育てに取り入れるべきですが、子どもたちが実体験を通して学ぶ機会も大切にする必要があります。
自分の幼少期を否定したくない気持ちも相まって、感覚的に紙媒体の方がいいように感じますが、どちらも単なる道具・単なるメディアでしかないと考えると、うまくバランスさせながら、良いとこ取りをしていけるといいのかなと思っています。
ちょうど明日、スマートエデュケーションさんが主催する公開保育が向山であります。
全国から定員いっぱいの50名が参加し、ICT技術をどのように活用するかについて話し合う機会となる予定です。デジタルとアナログの良いバランスを見つけるため、議論を深めていきたいと思います。