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スマートエデュケーションさん主催 公開保育レポート

本日、スマートエディケーションさんが主催で、向山こども園の公開保育が行われました。
日本全国から定員いっぱいの50名もの保育関係者の方が参加して下さり、保育の現場を見ながら、様々な議論をする中で多くの学びを得られる貴重な機会となりました。
後日、皆様から頂いた質問などにnoteの記事を通してお答えしていこうと思っていますが、今日は、ホットな気持ちの中、感じたことや得た学びについてつらつら書いてみたいと思ます。


公開保育の運営に学ぶプロフェッショナリズム

まず、スマートエディケーションさんが主催した公開保育は、私たちが通常行う公開保育とは少し異なる段取りで進行しました。
関東圏をはじめとする様々なところから集結してくださったスタッフの方々の動きや案内の仕方が非常に丁寧で、参加者一人ひとりを会場まで誘導するなど、細やかな心配りが印象的でした。
これらの姿はイベント運営のプロだな~と感心させられ、私たちが普段の保育で意識するポイントとはまた異なる「働く姿」を見ることができ、勉強になりました。

後に分かったことですが、スタッフの方々は新卒採用はなく、さまざまな業界の経験を持つプロフェッショナルの方々ばかり。
中には私も知る保育に精通する会社出身の方もおり、この会社で行われる、大規模なイベントの運営を行っていたと聞きました。
公開保育の本質では全くないところでしたが、自園で他業種の方と協働する機会はあまりないので、単純に素敵な機会になりました。

シンポジウムでの気づき ~業界外の方の意見って面白い~

鬼のお面のお話

シンポジウムでは、スマートエデュケーション代表の池谷さんが、自身の子育て経験から保育業界に感じた疑問を率直に語ってくださいました。その中で特に印象に残ったのが「子どもの作品は誰のために、何のために作るのか?」という問いでした。

例えられていたのは、池谷さんの3人のお子さんの話。
3人のお子さんを幼稚園に通わせていたそうですが、「幼稚園での教育内容が40年前とほとんど変わっていない」と驚かれたそうです。
鬼のお面作りの話がとても印象的でしたが、池谷さんのご自宅には、3人分として9個の鬼のお面があり、どれも同じようなものだったそうです。

その状況を見て、「この教育で一体何を教えているのだろう」と疑問を抱いたとおっしゃっていました。特に、「アート活動としての意味があるのかどうか分からない」「子どもたちの個性が反映されていない」と感じることがあったそうです。
そんなご経験から、「ただ文句を言うだけでは解決しない」と考え、教育を変えたいという想いからスマートエデュケーションという会社を立ち上げるに至ったとのことです。

外部の視点から園を見ることの重要性

池谷さんの話は、保育の内部にいると見えにくい問題を外部から鋭く指摘するものだなと感じました。
同じ学年で同じ活動をすることの価値を考え直す機会であると同時に、業界内では、他園の保育内容について、とやかく言うのは、なかなか難しいものです。
もちろん向山の保育は、子ども主体の保育なので、鬼のお面が毎年同じなどということがあったとしたら大問題になります。
しかし、それを他園がやっていたとして、批判することはとても難しい部分があります。
公開保育や研修では、他の園や保育者と意見を交わす機会がありますが、その中で「相手の保育に踏み込みすぎない」という暗黙のルールも感じることがあります。
対立を避けるための配慮である一方、子どものためを考えたとき、時代に即した保育を模索する必要性も感じています。

今回のように外部の視点を取り入れることで、従来の保育方法を再考するきっかけが得られたので、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。

シンポジウムでの気づき ~上には上がいる~

公開保育の中では、ICTの活用についてのディスカッションも行われました。スマートエディケーションさんが開発するアプリのように、子どもが自分の思いや考えを表現するためのツールとして、デジタル技術を活用することの可能性や課題が整理されました。

「ICTは道具であり、目的ではない」という考え方は非常に重要で、スマートエデュケーションさんと対話を重ねるたびに、再認識させられます。
今回は、横山先生が、向山でも使っているスマートエデュケーションさんのアプリの活用実践事例を紹介してくださいました。
恐竜のコマ撮りムービーやお買い物ごっこでのアプリの活用は、ちょうど最近教えていただいた手法の先を行き、子どもたちが遊びの道具として使いこなしている姿が紹介され、私にとって新しい発見の連続でした。

少しずつですが、デジタル技術を使ってみてる私たちですが、上には上がいるなと思いました。(ついでに、プレゼン能力や会場を沸かせる話術もまったく歯が立たず、こちらの面でも、また一人、目標にしたい人が増えてしまいました。)

特に印象に残った「言葉の順番」

横山先生の話の中で、「○○のための運動会」という言葉は、私の心をぎゅっとつかみました。
保育を改革していく中で、「運動会のための○○」という活動が多かったそうです。しかしこれは本来違う!ということで、「○○のための運動会」となるべきだとお話しくださいました。
運動会があるから特別に練習するのではなく、子どもたちの興味や遊びから活動を広げ、その延長として運動会を行うという考え方です。

この、言葉の順番だけで、全く意味が変わってくる面白さを感じましたし、これは題材を変えるといろいろなことに当てはまります。
「ICT技術に触れるのために、森の中で音を探す」のではなく、「音に興味を持っているから、デジタル技術を使って録音する」など、何にでもあてはめられるシンプルですが強力な考え方だと思ました。
手段の目的化ということが言われますが、よくこんがらがってしまうので、保育者と話をするときにわかりやすく話せそうな「言葉の順番」の話を、今度、使ってみたいなと思いました。

公開保育を通じて得たもの

公開保育は、外部の目や頭をお借りして、自分たちの保育を見直し、より良い方向へ進める大きなチャンスだと思っています。
今回いただいた多くの質問を一つ一つ考えながら、これからの保育をさらに深めていきたいと思っています。

また来年、新しい園舎が完成し、さらに多くのチャレンジが可能になります。今後も、外部の方々と連携しながら、子どもたちのための保育を追求していきたいと考えています。

ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

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