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地域活性化研修会を通じて考える、これまでと、これからの10年

本日、全国認定こども園協会東北地区主催の地域活性化研修会が行われました。
東北のこども園関係者が一堂に会する大会で、「これまでの10年とこれからの10年」をテーマに、こども園の歴史と未来について深い議論が交わされました。
今回は宮城県支部の副支部長として、企画運営にかかわらせていただきながら、私自身も多くの学びを得ることができました。
研修会では、現場の保育者向けの講演会や事例発表、保育で使えるパフォーマンス披露が行われる一方、経営者向けのセミナーも併催され、内容は非常に多岐にわたっていました。
飲食ブースも多数出展し、マルシェという新しい研修の形が誕生しつつあります。

熱気に包まれるメイン会場
アーカイブは後日配信予定!


私はメイン会場で配信と収録をしていたので、子ども園の成り立ちや今後の展望について考えを巡らせる時間となりました。
せっかくなので、私にとってのこども園の過去と未来について書いてみたいと思います。


こども園の過去を振り返る

幼稚園と保育園の融合への挑戦と共に

私は20年ほど前、幼稚園と保育園が合体したモデル園として新設された「ゆうゆうのもり幼保園」に就職し、5年間勉強させていただきました。
当時、幼稚園と保育園は文化や考え方、働き方、保護者対応に至るまで異なる部分が多く、融合には大きな困難が伴いました。
私自身は、就職してから様々な問題が周りで起こっていましたが、それが日常だったので、「そんなもんだ」と思いながら、自分なりにがむしゃらに5年間を走り抜けました。
その中で、さんざんいろいろなことをやらかし(水を流しすぎて園庭の斜面が削れて配管が出てきてしまったり、毎週のように先輩を泣かせたり…)、迷惑ばかりかけましたが、師匠である渡邉英則先生の指導を受けながら、日々育てていただきました。

子ども園制度の黎明期を支えた先輩方

メインエリアのトップバッターとして、こども園協会代表の王寺先生、そして、子ども園制度の構築に尽力され、東北地区のこども園を先導してこられた岡村先生と、宮城県支部の頭脳の工藤先生との鼎談が行われました。
鼎談では、子ども園制度が始まった背景やその整備の過程について多くを学び、大変有意義な時間となりました。

当時の話を聞けば聞くほど、、制度の設計や現場の運営、政府との調整など、多岐にわたる課題に直面しながらも、子ども園の基盤を築き上げてくださった先輩方の努力に、ただただ感服するばかりでした。
そして、私が自分の成長するのに精いっぱいだった時期に、こんなに大変なことにチャレンジしてくださっていた方々(私の師匠も含めて)がいたんだといことに、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

宮城で走り始めて

そんな苦労の末に築かれた土台があったからこそ、私は向山幼稚園に赴任しある程度混乱が収まった後、すぐにこども園化に取り組むことができました。
約10年前、保育園の設立とこども園の認定を同時進行で進めていた頃の私は、土日、スターバックスで書類作成に没頭する日々を過ごしていました。そして、仙台でも早い段階でこども園へ移行し、向山こども園として運営を開始することができました。

そんな折、岡村先生をはじめとする多くの方々に支えていただき、現在の支部長である小島先生らとともに宮城県支部の創設にも関わらせていただきました。
当時、私は東京の玉川大学で学び、横浜のゆうゆうのもり幼保園で勉強させていただいていたため、宮城県にはほとんど人脈がありませんでした。それだけに、宮城県支部で多くの先生方とつながりを持つことができたことは、大変ありがたい経験でした。

宮城県支部の先生方とともに、こども園で直面する様々な課題について考え、学ぶ機会を重ねる中で、皆さんの支えがあったからこそ、ここまで歩んで来られたのだと実感しています。
これまでの10年を振り返ると、自分なりに頑張ってきたつもりではありましたが、多くの方々がすでに作ってくださった道の上を、皆さんに支えられたながら歩んできたのだなと感じました。

これからの10年に向けて

登壇された先生方は、これからの10年に向けて、様々な提言や全国規模で重要な取り組みについてお話しくださいました。
もちろん、私も自分にできることを考えて挑戦してきたいと思っていますが、あえて向山こども園の保育者として何ができるのかを考えてみました。

一人ひとりに最適化された保育の実現

これからの10年で目指したいのは、子ども一人ひとりに最適化された保育を提供することです。
現在の保育は、保育者の努力と記憶と経験を頼りに進められる部分が多くあります。
これはとても大切なことではありますが、こどもの育ちを証明するにはエビデンスが不足しており、成果が見えにくくなっているため、結果的に保育者の地位が低くなってしまっていると思っています。

保育者が人間として子どもたちと深く関わり、一人ひとりの思いや成長を丁寧に受け止めることを大切にしながらも、データやAIなどの技術を活用することで、子どもたちの「今」を的確に捉えたいと考えています。直観と客観を融合させた新しい保育の形を目指し、より豊かな保育を進めていきたいと思います。
そのために、子どもたちの主体性を最大限尊重し、保育者間の対話やをより重視するとともに、学術的な知見や企業との連携を促進する10年になればと思っています。

地域社会のハブとしての役割

新しい園舎の完成を機に、向山こども園が地域社会のハブとなるような取り組みも進めたいと思っています。
卒園後の子どもたちが気軽に戻ってこれる居場所や、地域の大人たちとの交流の場を提供し、子どもから大人までがハッピーになれる新しいコミュニティの基盤を確立していきたいと思っています。

災害に強いネットワークの構築

また、10数年前に経験した東日本大震災を思い返し、災害時にも役立つネットワーク作りを目指したいと思います。
災害が起きないことを願う一方で、備えとして地域全体を超え、全国で支え合う仕組みを構築することも、チャレンジしていきたいと考えています。

保育者として、そして経営者として

私自身がこども園という制度の下でキャリアを積んできたように、これからもすべての子どもたちの最善の利益を第一に考えながら、園の経営や地域社会との連携を進めていきたいと思います。
そして、保育者の地位向上や専門性の確立を目指しながら、これからの10年を前向きに歩んでいきたいと考えています。

この研修会で得た多くの気づきや学びを胸に、これからも仲間とともに新たな挑戦をしていきたいと思います。

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