【秘密基地】キレイにしてくれた幽霊に感謝!【後編】
1994年の夏。
秘密基地を手に入れた小学生時代。
広大な空き地に、
近所の子らと一緒になって秘密基地を作った。
枯れ草を敷いてベッドを作り、ブルーシートを被せて雨を防ぐ。
俺たちだけの場所。
コミックボンボン。炭酸ジュース。夕方に見える月。
画伯ちゃんは秘密基地で毎日を過ごしていた。
完成したことで満足したのか、次第に近所の子らは集まらなくなっていく。
運動神経の無い画伯ちゃん。
前回の記事の通り、空き地に入ろうとフェンスを登り始めたところで、失敗して落下する。
そのとき
自分が"自分"だと認識できたような気がする。
脳の感触が変わった。
それは狂気と呼ばれるものだったのかもしれない。
前回の記事↓↓↓
長編まとめマガジン↓↓↓
あれから10年
それからフェンスに恐怖を覚え、
空き地に近づくことも減っていった。
時間とともに、秘密基地は埋もれて消えしまった。
俺たちのベッドも、コミックボンボンも、みんなとの時間も消えてしまった。
夕方に見える月の姿すらも。
あれから10年。
2004年になると秘密基地のことを忘れ、バンド活動に夢中になっていた画伯ちゃん。
過去記事にも書いたが、この頃に組んでいたのは
『ジャイアントジャンカー』というバンド。
バンドメンバーとは最寄り駅が同じだったので、練習終わりや、用がある時に自然と集まる場所があった。
その中でも一番落ち着く場所があった。
真夜中になっても夢を語り合えるような。
駅近くの路地裏にある、滑り台しかない"小さな公園"。
その"滑り台"の上に座って、
夜の月を見上げながら話し込んでいた。
あの頃のコミックボンボンと炭酸ジュースは、ギターとタバコと酒に変わっていたけれど。
"これって、あの頃の秘密基地みたいだな..."
そう思っていると、流れ星が落ちていった。
バンドメンバーと過ごした秘密基地の時間
先日、その秘密基地の横を通った。
本当に小さな公園だった場所が、綺麗さっぱり消えていた。
夢も音も仲間も消えた今。
"場所"までもが消えていた。
せつないなぁ。悲しいなぁ。
そう感じて写真を撮影。
悲しみを残しておくことにした。
現在の様子↓↓↓
(2020年4月19日)
シートが張られ、"フェンス"で封鎖されていた。
土地に触れることすらできない。
なんのための空き地なのかもわからない。
フェンスから滑り落ちた『1994の空き地』は一軒家群に変わり、
『2004の公園』は空き地帯に変わってしまった。
いつかこの空き地にも何かが建って、
何も思い出せない風景へと変化してしまうかもしれない。
せつないなぁ。悲しいなぁ。
当時。
小さなこの敷地に、ポツンと滑り台だけ置かれていた。
石でできたようなタイプで、滑り台の上は3人くらいが座れるようになっていた。
こんな雰囲気の滑り台↓↓↓
(実際とは違う)
引用:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/2c/2649300b732d8fca8aaf13f5da5bf9de.jpg
もうここに座って、流れ星を見れないのか。
10年以上見ていない気がする。
空を見上げたいと思う場所が無くなってしまった。
この2020年の夏から取り掛かった"過去の日々をnoteに残す作業"
こういうバンド系や、恋愛系のできごと。
記事に使用するために映像を制作をすることもある。
その"素材のうちの1つ"に、この秘密基地を使用している。
"こちらの記事"を制作中に見つけた、過去(滑り台が撤去された後の2012年頃)の写真↓↓↓
素材を使用したYouTube動画↓↓↓
2004年に与えられた脳への感触
バンド練習終わり。
ギターのGODくん(高校時代に画伯ちゃんがバンドを始めるキッカケになった人)と、居心地のいい例の小さな公園にいた。
イキって甘いお酒を飲んで、イキってタバコを吸って、イキって大きな声を出して。
近くの民家の人に1度も怒られなかったことが、今でも不思議。
深夜2時まで4時間くらい話し込んでいたりしたのに。
その日も同じように滑り台の下に機材を置いて、
滑り台の上に座って空を見上げながら話し込んでいた。
視界の隅で、何かが動いてる気配を感じた。
それを追うように視線を移す。
横にある"お店の2階"に人影が見えた。
シルエットだけ。
少し行ったりきたり。
意味もなくうろちょろしてるというより、何か不穏な空気が漏れだしているような危うさを放っていた。
不意に行ったりきたりが止まった。
2階の窓。流れ星の流れていない星空。
オレンジ色の照明に照らされて、はっきりこちらに影が見えている。
(なにしてんねやろ...)
ここから先は、怖すぎて記憶が途切れ途切れになっている。
窓辺に立ったまま、動かなくなった影。
身長が2m以上あるように見えて、怖くなった画伯ちゃん。
横にいたGODくん(ギタリスト)に問いかける。
👦🏻「あれ、なんやろ?」
🎸「なんやろな...なんか大きいな。ジッとしてるし」
と話して、2人の会話に戻りつつ、時折その影を見ていた。
視界の隅で、何かが動いた。
すぐに視線を移す画伯ちゃん。
その人影は急にジャンプしたかと思うと、
元いた位置あたりでグッッと止まったように見えた。
目を見開き、息を呑む画伯ちゃん。
そのまま見ていると
頭のあるであろう位置が少しずつ下がって、ブラブラ揺れだした。
1994年の夏に"緑のフェンス"に立ち向かう前に、前後に揺らして状態を確認していたあの揺れくらい。
👦🏻「え」
👦🏻「あれやばない?警察とか呼ぶ?」
慌てる画伯ちゃん。
横にいるGODくんの方を振り向く。
彼は、深くセブンスターを吸ったかと思うと、「怖いからそっとしとこう」と言った。
👦🏻「まぁ、確かに...」
妙に納得した俺たちは、奇妙にブラブラ揺れる人型のシルエットを見ながら、甘い酒を飲み、タバコを世界で1番ゆっくり吸っていく。
遠くからサイレンが聞こえる。
家の中から大声も聞こえる。
救急車やパトカーが集まってきた。
何かが運ばれていった。
辺りは急に静かになった。
そのまま話し込むことなんてできるはずもない。
今度のライブのために組んでいたセットリストも、2曲目あたりで止まったまま。
もう怖くて動けなかった。
すべては平等に
それでも"尿意"は平等にやってくる。
GODくんが少し緑の残る草むらの奥へ。
ジョボジョボのジョボ〜💦
画伯ちゃんは、
何気なくさっきの2階を見上げた。
👦🏻「え」
👦🏻「またシルエット見えてるくないか...?」
👦🏻「ねぇGOD!ちょっと!」
🎸「いまションベしてるから」
👦🏻「あれだけ見て!ねぇ!」
🎸「見られへん!ションベ中に見ても動けないんやから、まだ気づいてないテイで行かせてくれ」
👦🏻「やばいやばい!また飛びそう!チャイム押してきた方がいいかな?」
🎸「ちょっとションベ終わるまで待ってくれや!1時間以上我慢してたんや!」
👦🏻「うわ〜!!!」
怖すぎて、画伯ちゃんは自転車のスタンドを起こして進み出す。
🎸「おいおい!どこ行くねん!」
👦🏻「ちょっと怖い!そこのTSUTAYAの中に行く!」
🎸「ションベ終わるまで待ってくれや!」
👦🏻「すまん...ほんまに...」
明るい店内。鮮やかな色合い。
TSUTAYAのVHSビデオ、CDの中古コーナーを見ていた画伯ちゃん。
すんげぇのあるやん!芸術系のビデオ(ヤン・シュヴァンクマイエルとか)めっちゃある!
全部買いや!買うしかないんや!
すっかり気持ちを入れ替えた画伯ちゃんは、両腕に中古ビデオを抱えていた。
そこにGODがやってきた。
🎸「お前なんで先に行くねん!怖いやろ!」
彼のジーンズには、恐怖の跡が残っていた。
おしっこの飛沫がついていた。
数週間後。
その影の見えていたお店は閉店。
しかし今も、普通に人が暮らしているように見える。
あの日、見たのはなんだったのか...
"誰かに何か"はあったんだろうけど、
あの2回目のシルエットは霊的現象にしか見えなかったな。
ただ、その日を境に不思議なことが起きた。
GODと画伯ちゃんのギターとベースの音が、信じられないくらい良くなった。
シルエットの見えていたお店は、"汚れを取るようなお仕事"だったから、ちょっとメンテナンスしてくれたんかな?
2人とも平等に音を良くしてくれて、397~👐
(サンキューな!)
あとがき
今じゃ跡形も無い。
俺たちの秘密基地は全て潰れた。
1994も2004も。
2020の今、完全に失われてしまった。
当時よくつるんでいた人達も、すべて忘れてしまうんだろうな。
もう忘れてしまっているのかな。
そんなの悲しいから、画伯ちゃんはnoteに残していくよ。
前編とともに読み返して、あの頃を思いだしてくれ。
何もなかった2020年の夏に、
アバンチュールなこと思い出させてくれて397~!
この夏にハマったポテトチップス、ホイップクリームは我慢して、筋トレとストレッチに精を出していくぜ。
あの時のシルエットをもう一度見れたら、今度は画伯ちゃんのこの身体を綺麗にしてくれないかな...
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