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建築家、音楽を語る。

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建築家による音楽エッセイです。
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#創作

【紅白歌合戦2024】人類文化の終焉に立ち会う。

【紅白歌合戦2024】人類文化の終焉に立ち会う。

まずはとりあえず、
2024年の紅白出場歌手の一人「tuki.」という方について調べてみた。

16才とのことだ。

全てが想像の範疇に収まり、
何一つ新しいものの無い人工的でキッチュな「プロダクト」であった。

え?16才なんだから、もう少し新しいもの無いの?

と思ったが、無いみたい。

今の16才って辛そうだなあ。

基本的に16才は辛いのがデフォルトだが、
「衰退的な辛さ」をこの方の音楽か

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【巨匠の晩年最高!論】黒澤明、ジャイアント馬場、志ん生、マイルス、ローリングストーンズ。

【巨匠の晩年最高!論】黒澤明、ジャイアント馬場、志ん生、マイルス、ローリングストーンズ。

私はいまだ何歳になっても「次の試合」への準備を行っている。

やはりずっと「現役選手」をやってないと生きていけない体質、というものがある。

人生という競技の現役選手である。

この世界でたった一人でも、私に「期待」している方が居る限り私は現役選手で居続けたい、という願望を持っている。

「続ける」ことが重要なのだ。

その願望の元を辿って行くと、
「巨匠晩年最高!」という世界へとたどり着く。

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小沢健二~人類文化最後の輝き~瓦礫と化した時代。

小沢健二~人類文化最後の輝き~瓦礫と化した時代。

食と同様、人類文化にも「旬」というものがある。

今日は、私たちが過ごした「黄金の1990年代~ミレニアムの時代」の文化貯金から、「時代の旬」の事例を引っ張り出してみたい。

映画ならば、リドリー・スコット監督『ブラック・レイン』(1989年)の時代とのグルーヴは凄かった。

松田優作の遺作となった作品で、この作品での優作は異様なまでの輝きを放っている。

バブル最後の狂騒とワンダーランド大阪、優

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「DJイベント」「夏フェス」「ライブハウス」が大嫌いな方へ。

「DJイベント」「夏フェス」「ライブハウス」が大嫌いな方へ。

昨今、日本中の夜の街で行われている音楽系居酒屋、カフェ、バーの「DJイベント」にずっと違和感を抱いている。

素人DJ呼んで1,500円自動的に徴収したり、
「投げ銭」と称して無料風味だがその実「素人DJが客を呼んでくれる」という、今や日本中に蔓延している風潮だ。

そこに「いつもの顔」、
小太り髭キャップにTシャツにニューバランス、時々セル眼鏡の方々が集い「ヤーマン!」と挨拶を交わしテキーラのシ

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【アイドル新歴史学】 ①アイドルの誕生。

【アイドル新歴史学】 ①アイドルの誕生。

一般的に、日本における「アイドル」の始祖は南沙織と言われている。

大阪で万博が開かれた年、彼女はアメリカの占領下の沖縄の地からパスポートを片手に「日本」へやって来た。
「アイドルの始祖」が「外地」から渡来してきていることは大変興味深い。
仏教伝来〜「和様化」の再現なのである。

彼女のデビュー曲の作曲はもちろん「天才DJ」筒美京平。
筒美京平は、外来文化としての洋楽を「和様化(リミックス)」する

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【アイドル新歴史学】 ②アイドル・ルネサンス。

【アイドル新歴史学】 ②アイドル・ルネサンス。

1970年代に音楽雑誌『ミュージックマガジン』誌上で「日本語ロック論争」というものが勃発した。
簡単に言えば「ロックは英語で歌われるべきか、あるいは日本語で歌ってもロックになるのか?」というテーマであった。

現在の「日本のロック」と呼ばれるものは、かの時代の「論争」を経て確立していったものなのである。

「ロック」という外来文化に対して「元の形式を崩さない」のか、
あるいは「和様化して取り込む」

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【アイドル新歴史学】 ③第二次アイドル・ルネサンス。

【アイドル新歴史学】 ③第二次アイドル・ルネサンス。

1980年代前半~半ばに起こった「第一次アイドル・ルネサンス」とは、
1970年代初頭から1970年代半ばにかけて興隆した南沙織、天地真理、浅田美代子の「古典」に対して、
1980年代初頭から1980年代半ばに、松田聖子を筆頭に、中森明菜、小泉今日子、早見優、石川秀美、堀ちえみ、松本伊代から菊地桃子まで、百花繚乱のアイドル再興の時代が到来した時代を指す。

そしてその後、1990年代半ばから200

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【Juice=Juice沖縄公演】 過去と未来、現在?

【Juice=Juice沖縄公演】 過去と未来、現在?

まず初めに、
私ハロープロジェクトを「純粋なる音楽エンターテイメント」として愛でている。
例えば、マイルス、JB、ジェフ・ミルズの並びに置いているのだ。

その意味で、Juice =Juiceの登場は衝撃的であった。

まずそのデビューにおいて、何と、温存していた宮本佳林ではなく、「ジョーカー」大塚愛菜で勝負に出たのである。

べらんめえ調で切れ味鋭いリズムの大塚愛菜は、あたかもセックス・ピストル

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