マガジンのカバー画像

読書感想と本について

45
小説の感想と本についてのお話。
運営しているクリエイター

記事一覧

第21回読書会報告書

第21回読書会報告書

 晴天に恵まれた当日、前回同様暖房いらずの暖かい気温になりました。お出かけしている人たちの足取りはどこか軽く、街の方では人も車も賑わい、こちらも陽の気を浴びるようでした。そんななか、読書会を選んで足をお運びいただきありがとうございました。
 第21回目の課題本は「悪童日記」アゴタ・クリストフ です。

 戦争によって人の生が狂わされていく、過去も現代も……。言わずとしれた不朽の名作です。
 戦争が

もっとみる
「菜食主義者」ハン・ガン 感想

「菜食主義者」ハン・ガン 感想

  「菜食主義者」ハン・ガン/きむ ふな(訳)

 凄い吸引力。物語、文体、思念が素晴らしい。夢中になって読みました。
 彼女の歪み、夫の歪み、父母の歪み、兄弟姉妹の歪み、日常がどんどん瓦解していく、ズレていく。
 そもそもこちら側な何故歪んでいないといえるのだろうか。
 本当の意味の理解とは真逆に突き進んでいく彼らの一貫した主張に、読み手は知りたくて文字を追うことをやめられなくなる。まるで闇鍋の

もっとみる
第20回読書会報告書

第20回読書会報告書

 冬の寒さが少し和らいだかのような陽気、大きな窓から陽光が差し込み、当日の天候は冬の行楽日和といえる日でした。会場となる室内は暖房のスイッチを入れることなくぽかぽかとしていて、まさに談話室ならぬ、暖和室。
 2025年1月19日(日)、記念すべき第20回目の読書会は、冬の時期にぴったりの 川端康成「雪国」です。

 少人数参加でしたが、その分たっぷりお話しできてよかったです。
 冒頭の『国境の長い

もっとみる
福袋は買うより作った方が楽しい

福袋は買うより作った方が楽しい

 新春のお喜びを申し上げます。
 本年もどうぞよろしくお願い致します。

 noteを活用して1年が経ちました。初投稿は2024年1月9日でした。
 振り返ると2024年は体調を崩すことが多く、コロナ禍5年目にして初めて罹患しました。喉の痛みと発熱からの咳が一番辛かったですね。なんとか1ヶ月かけてやっと元にもどったかな?という具合です。
 そういうわけで2025年の目標は、『健康』を第一に過ごして

もっとみる
自由律俳句のたのしさ

自由律俳句のたのしさ

 せきしろ自由律俳句集刊行イベントin仙台
『そんな言葉があることを忘れていた』トークライブ に行ってきました。ゲストは 又吉直樹 さんです。

 場所は 誰も知らない劇場 というユニークな名前の会場で、昔から仙台のアーケードを歩いたことがある人なら知っている今は無き映画館のセントラル劇場があったところです。
 トークライブを見に行くのは初めてでしたが、アットホームな雰囲気で劇場もお洒落で素敵な空

もっとみる
第19回読書会報告書

第19回読書会報告書

 11月4日(月祝)、第19回いわぬま読書会が開催されました。
 清々しい秋晴れに恵まれ、すじ雲が青空に広がり、近場の方は、歩いて会場まで来られた人もいました。風がほどよく吹いているので、日和に誘われてお出かけしたくなります。また読書の秋にぴったりの気持ちのいい季節です。東北の秋はほんとうに短いので、この時季が長ければいいのになぁといつも思います。
 本日の課題本は「82年生まれ、キム・ジヨン」チ

もっとみる