■あらすじ 2014年6月5日。イギリス南部の町ホーヴの老人ホームから、一人の入居者が姿を消した。彼の名はバーナード(バーニー)・ジョーダン。彼はノルマンディ上陸70周年の記念式典に参加するため、同室の妻のアイリーン(ルネ)にも内緒でこっそりホームを抜け出し、フランスに向かったのだ。 長年連れ添ったルネは、夫のバーニーがどこに向かったのか察しているが、施設の職員には黙っていた。だが間もなくバーニーの失踪をマスコミが聞きつけ、彼は「偉大な脱走者」として有名人になってしま
■あらすじ 名古屋のホテルでウェディングプランナーをしている秋村梓は、長く付き合っている恋人の澄人と結婚に踏み切れないでいる。仕事柄多くのカップルを見てきたが、両親の離婚で辛い少女時代を送った梓は、結婚する自分の姿をイメージできないのだ。 そんな中で、親友の郷田叶海が事故で死んだ。大きな喪失感の中で、梓は死んだ叶海の携帯に決して返事が来ることのないメッセージを送り続ける。 そのメッセージに気付いたのは、亡くなった叶海の両親だった。「まさかまだ知らないんじゃ」「そう
毎週いろんな教会に通っています。教会通いを本格的にはじめたのはコロナ禍でのことだったので、当時は省略されたり縮小されていた聖餐式が復活し、讃美歌もフルコーラスで歌われるようになったのは、外野から見ていても嬉しいことです。 コロナ禍では多くの教会がオンライン礼拝を開始し、今も続けているところが多いと思います。僕は律儀に各教会まで行って礼拝に「参加」しているわけですが、何が面白くて毎週毎週ほぼ欠かさず礼拝に通っているのだろうかと、ずっと考えていました。 現時点での結論で
毎週いろいろな教会を訪問して礼拝に参加しているのですが、そこでいつも考えるのは、「この教会は10年後、20年後に残っているだろうか?」ということです。定点観測しているわけではないのでその後の本当の実態はわからないのですが、僕の印象では、礼拝出席者の年齢構成にバラツキがある教会は残るような気がしています。 日本は高齢信徒ばかりの教会が多いのですが、これはほぼ間違いなく20年後には消えているでしょう。永遠の命を約束されている信徒も、とりあえず不老不死ではないのです。この世で
■あらすじ 戊辰戦争で日本が二分されている慶応四年(1868年)七月。越後新発田藩の城代家老・溝口内匠は頭を悩ませていた。新発田は新政府軍への参加を決めているが、近隣諸藩は佐幕派の奥羽越列藩同盟を結成し、小藩の新発田もその圧力に飲まれて、同盟に参加せざるをえなかったのだ。 東進する新政府軍は長岡藩を降伏させ、そのまま新発田に向かっている。列藩同盟側は新発田城に兵を入れて、同盟軍に兵を出せと圧力をかける。このまま新政府軍が到着したら、城下が戦場になってしまう。 溝口
■あらすじ 愛媛県松山市の進学校・三津東高校には、年に一度の伝統となっているボート競技クラス対抗戦がある。2年生の村上悦子(悦ネエ)も競技に出たが、レース半ばで最下位が決定すると、オールを漕ぐ手が止まってしまった。一生懸命がんばることに、意味を見出せなかったのだ。 だがこのレースの様子を見て、ぜひボート部に入部したいと願ったのが、転校生の高橋梨衣奈(リー)だ。彼女は学校に女子ボート部がないと知ると、悦子やその幼なじみ佐伯姫(ヒメ)を誘って一緒にボート部を作ってほしいと
■あらすじ 江戸時代後期の文化年間。戯作者曲亭(滝沢)馬琴の自宅兼仕事場を、旧知の絵師葛飾北斎が訪ねていた。馬琴は新作「南総里見八犬伝」の構想を、北斎に語ってみせる。 物語の舞台は室町時代。安房里見家に降りかかった妖怪玉梓の呪いと、玉梓と戦う者たちの物語だ。呪いによって愛犬の花嫁となり城を去った里見家の一人娘伏姫。彼女が命を落とす間際、体内から八つの玉が飛び出して諸国に飛んでいく。やがてこの玉を持つ「八剣士」が終結し、玉梓の呪いから里見家を救うため戦うのだ。 話を
■あらすじ 知り合いの結婚式に出席するため、吉林省延吉にやって来たハオフォンは、上海に戻る前にほんの気まぐれで日帰りの観光バスツアーに参加する。だが戻ってくると、どこかでスマホを紛失していた。困った。今どきスマホがないと、ちょっとした買物もできなくなってしまう。 バスガイドのナナは自分のツアーでスマホをなくしたハオフォンに同情し、彼を夜の延吉市内観光に連れ出す。地元民しか知らない、夜の街の探索だ。これにはナナと親しいシャオも合流した。 しこたま飲んだ三人だったが、
■あらすじ 地球は危機に瀕していた。外宇宙からやってきたボアザン帝国の巨大宇宙船が、世界各地を突然攻撃しはじめたのだ。地球侵略のため強大なボアザン軍を率いているのは、帝国の皇子プリンス・ザルドス。地球の通常武器はボアザンの兵器にまったく歯が立たず、地球が征服され尽くすのも時間の問題に思われた。 だがこの侵略に待ったをかけたのが、地球防衛軍の指揮官オスカー・ロビンソンだった。彼は秘密基地ビッグファルコンに、ボルテス・チームの出動を要請する。ビッグファルコンを飛び立った5
■あらすじ ジョーカーことアーサー・フレックは生放送中にテレビ司会者マレーを射殺するなど5件の殺人事件で逮捕されながら、精神鑑定のため裁判を受けることなくアーカム州立病院に入院していた。向精神薬で発作を抑え、人間らしい感情の起伏を失ったままボンヤリとしているアーサーは、看守や職員にも従順で、他の収容者ともトラブルを起こさない模範囚だ。 だが裁判が近づく中、アーサーはリー・クインゼルという女性収容者に出会う。ジョーカーを信奉するリーはアーサーを挑発し、施設内の映画上映会
■あらすじ 人気霊能者としてテレビ番組「ゴーストハウス」の司会者をしているリディア・ディーツは、最近奇妙な幻覚に悩まされている。霊界の住人であるバイオエクソシスト(人間恐がらせ屋)のビートルジュースが、自分を見ているような気がするのだ。 継母リディアから父が事故死したという連絡を受けたリディアは、娘のアストリッドと共にコネチカットの屋敷に向かった。リディアは母の霊能力を信じておらず、番組はデタラメだと思っている。番組プロデューサーで母の恋人でもあるローリーの軽薄さも、
■あらすじ 長年に渡って警察内部の組織改革に取り組んできた室井慎次は、反対派の巻き返しにあって任を解かれ、退職間近であったにも関わらず警察を辞職。その後は故郷秋田の山間にある小さな集落で、里子として引き取った高校生のタカと、小学生だが不登校になっているリクと共に暮らしている。 長年の宮仕えから完全に離れたいのか、今は畑を耕して野菜を作り、川に行って魚を釣るという、半分自給自足のような浮世離れした暮らし。淡々とした、穏やかな生活だ。 だがその暮らしに、突然不穏な影が
■あらすじ 都内で小さなクラフトビール醸造所を経営している西澤架は、婚活アプリで知り合った坂庭真実と付き合い始める。もちろん結婚前提ではあるのだが、以前付き合っていた彼女にこっぴどく振られたことが心にわだかまりとなっている架は、真実との結婚になかなか踏み切れずにいた。 そんな時、真実の周囲にストーカーの影が浮かび上がる。まだ実家にいたころ見合いを断った相手が、いまだ自分を諦めきれずに付きまとっているらしいというのだ。彼女を守らねばならない。架は彼女と同居することにして
■あらすじ 近未来のアメリカ。合衆国からの独立を宣言したカリフォルニアとテキサス両州に対して、大統領は軍事作戦による制圧を宣言。だが二州による西部連合(WF)に続き、合衆国からは半数近い州が離脱。巨大な勢力を形成した連合軍となって、合衆国の首都ワシントンに向けて進軍していた。 フォトジャーナリストのリー・スミスは、記者仲間のジョエルや、師匠格の大ベテラン記者サミーと共に、ニューヨークから陥落間近のワシントンに向かう。長く取材に応じていない大統領を直撃し、最後のインタビ
■あらすじ アメリカ国土安全保障省の捜査官ティム・バラードの仕事は、違法な児童ポルノの取り締まりだ。国内外で流通する児童ポルノの販売ルートをたどり、小児性愛者を逮捕する。 いつものことだが、押収した証拠品を調査するのは気が滅入る。そこには大人たちから性虐待を受けている子供の姿があるからだ。ティムはその子供たちに、何もしてやることができない。 ティムは逮捕した児童ポルノ業者から、アメリカ国内にも根を張る児童人身売買ルートをたどっていく。児童売買の供給源は中南米だ。テ
■あらすじ 宅配便の配達員をしている丸子夢久郎は、同僚に薦められてWEB小説のサイトを知り、たまたたま読み出した「スパイ転生」という作品に夢中になる。連載が更新されるたび、作者のコミヤチヒロに応援コメントを書くのが丸子の楽しみになった。 クレマチス多摩は、丸子の新しい受け持ち担当エリアにある。丸子はそのマンションの住人・小宮千尋が「スパイ転生」の作者だと知って大興奮。だが彼女の部屋に入ろうとしている不審な男を見つけて、彼女がストーカーにつけ狙われているのではないかと考