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前作から36年ぶりの続編登場 『ビートルジュース ビートルジュース』
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■あらすじ
人気霊能者としてテレビ番組「ゴーストハウス」の司会者をしているリディア・ディーツは、最近奇妙な幻覚に悩まされている。霊界の住人であるバイオエクソシスト(人間恐がらせ屋)のビートルジュースが、自分を見ているような気がするのだ。
継母リディアから父が事故死したという連絡を受けたリディアは、娘のアストリッドと共にコネチカットの屋敷に向かった。リディアは母の霊能力を信じておらず、番組はデタラメだと思っている。番組プロデューサーで母の恋人でもあるローリーの軽薄さも、アストリッドには気に食わない。
渋々田舎に帰ったアストリッドだったが、屋敷の近くに住むジェレミーという青年と親しくなった。自分と趣味も価値観も似ているジェレミーに、魅了されるアストリッド。ひょっとして、これは恋の始まりなのかも。
ハロウィンの夜、アストリッドはジェレミーの部屋で信じられない秘密を聞かされた。彼は何年も前に死んでいたのだ。
■感想・レビュー
前作『ビートルジュース』(1988)から、なんと36年ぶりの続編。ビートルジュースを演じるマイケル・キートン、リディア役のウィノナ・ライダー、デリア・ディーツ役のキャサリン・オハラなど、前作のメンバーが可能な限り再結集しているのがいい。
僕は前作をリアルタイムで観ているはずだ。しかし観たのはその時1回きりなので、正直前作の内容をあまり覚えていない。前作との繋がりやコメディとしてのギャグの切れ味については、コメントのしようがない状態だ。
それでも誰にでもわかる前作と本作との大きな違いは、監督のティム・バートンがこの36年で超大物監督になったことだ。前作『ビートルジュース』はバートンにとって『ピーウィーの大冒険』(1985)に続く監督第2作目。バートンはまだまったく無名の監督だった。ウィノナ・ライダーもまだ無名の若い俳優に過ぎず、キャサリン・オハラも『ホーム・アローン』(1990)に出る前だった。
前作の時点で名前が知られていたのは、タイトルロールを演じたマイケル・キートンだ。彼は出演作の『ラブ IN ニューヨーク』(1982)が日本で公開されていたし、主演映画『ミスター・マム』(1983)なら僕も劇場で観ている。日米自動車摩擦をモチーフにした『ガン・ホー』(1985)は日本未公開だったが本国ではヒット作。要するに、当時の彼は売れっ子のコメディ俳優だった。
若手で売り出し中だったティム・バートンと、やはり当時売り出したばかりの若手実力派俳優たち。それががっちり組み合った若々しくてエネルギッシュな映画が『ビートルジュース』だったわけだが、36年たつとその様子がだいぶ変わっている。確かに物語は『ビートルジュース』だし、登場人物たちも昔のキャラクターのままだが、かつての若々しさや爽やかさは消えて、しっかりと全体に脂が乗って旨味たっぷりの味わいになった。のぼり鰹が戻り鰹になったのだ。
(原題:Beetlejuice Beetlejuice)
ユナイテッド・シネマ豊洲(11スクリーン)にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
2024年|1時間45分|アメリカ|カラー
公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/beetlejuice/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt2049403/