和製ロボットアニメをフィリピンで実写化 『ボルテスV レガシー』
■あらすじ
地球は危機に瀕していた。外宇宙からやってきたボアザン帝国の巨大宇宙船が、世界各地を突然攻撃しはじめたのだ。地球侵略のため強大なボアザン軍を率いているのは、帝国の皇子プリンス・ザルドス。地球の通常武器はボアザンの兵器にまったく歯が立たず、地球が征服され尽くすのも時間の問題に思われた。
だがこの侵略に待ったをかけたのが、地球防衛軍の指揮官オスカー・ロビンソンだった。彼は秘密基地ビッグファルコンに、ボルテス・チームの出動を要請する。ビッグファルコンを飛び立った5機のボルトマシーンは、ボアザンの戦闘機を次々に撃破する。
思わぬ地球人の反撃に、プリンス・ザルドスは巨大兵器ビーストファイターを投入。これに打ち勝つには、5機のボルトマシーンが力を合わせるしかない。
「レッツ・ボルトイン!」
5機のマシーンは合体して、巨大ロボットのボルテスVに変形。必殺の天空剣でビーストファイターを撃破するのだった……。
■感想・レビュー
1977年から翌年まで全40話で放送されていた日本の巨大ロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)」を、フィリピンで90話のドラマ「Voltes V: Legacy」(2023)として実写化。その序盤のエピソードを編集した映画版「Voltes V: Legacy - The Cinematic Experience」も作られたが、その映画をさらに再編集したのが、本作『ボルテスV レガシー』だ。
フィリピン版の映画は、IMDbによれば1時間45分。今回の日本公開版は1時間37分だから、結構短くなっている。
僕はオリジナルのテレビアニメ版を見ているような気がするのだが、この頃は同様の巨大ロボットアニメが山ほど作られていたため、「ボルテスV」だけに何かしらの思い入れがあるわけではない。ロボットアニメ史としては、1972年の「マジンガーZ」から1979年の「機動戦士ガンダム」を結んだ線上にある、多くのロボットアニメのなかのひとつぐらいの印象しかない。
しかしこのアニメは、フィリピンに輸出して大人気になった。あまりにも人気が高すぎて社会的な批判も浴び、最初の放送はエピソードの途中で放送中止になってしまったらしい。だがその後は何度も再放送が繰り返されて、国民的な人気アニメになったという。堀江美都子が歌う日本語主題歌も、意味がわからないままそのまま日本語で歌えるフィリピン人が多いのだとか。
そんなこともあって今回の『ボルテスV レガシー』でも、マシーンが合体して巨大ロボットになる場面では、堀江美都子の「ボルテスVの歌」がそのま日本語で流れる。これは日本人にはちょっと違和感があるのだが、フィリピン人には胸熱展開なのかもしれない。
基本的にはテレビの総集編なので、画質はテレビ品質で音もあまり良くない。構成もいかにも総集編だが、スクリーンで巨大ロボットが戦う姿は一見の価値ありだ。
(原題:Voltes V: Legacy)
109シネマズ木場(シアター1)にて
配給:東映
2024年|1時間37分|フィリピン|カラー
公式HP:https://voltes-v-legacy.jp/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt27384374/