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消える教会・残る教会

 毎週いろいろな教会を訪問して礼拝に参加しているのですが、そこでいつも考えるのは、「この教会は10年後、20年後に残っているだろうか?」ということです。定点観測しているわけではないのでその後の本当の実態はわからないのですが、僕の印象では、礼拝出席者の年齢構成にバラツキがある教会は残るような気がしています。

 日本は高齢信徒ばかりの教会が多いのですが、これはほぼ間違いなく20年後には消えているでしょう。永遠の命を約束されている信徒も、とりあえず不老不死ではないのです。この世で生きている限り、誰もが年を取り、病気をして、教会に通えなくなり、順に抜けていくでしょう。その後に新しい加入者がない限り、教会は痩せ細っていくばかり。やがて集会は維持できなくなるはずです。

 数は少ないですが、学生や独身の社会人など若い信徒が多い教会もあります。しかしこれも、教会組織の土台は不安定です。若い人たちは進学、就職、転勤、転職、結婚、出産や育児など、生活環境がどんどん変わっていきます。そのことがきっかけで、教会から足が遠のいてしまうことは多いように思うのです。

 若い人が多い教会は、人の入れ替わりが多い教会になるでしょう。牧師の資質もあるでしょうが、それによって教会の雰囲気は短期間に変わり、良くなることもあれば、悪くなることもあるはずです。

 仮に若い信徒が教会に定着したとしても、その信徒は似かよった年齢層の集団としてそのまま持ち上がって行きます。若い信徒はやがて、中年信徒になるでしょう。中年信徒は、そのうち高齢信徒になるでしょう。そしてまた、高齢信徒ばかりの教会ができあがるわけです。

 そもそも現在高齢者ばかりになっている教会も、最初から高齢者が集まっていたわけではありません。そこも今から何十年か前には、若い信徒が集まる教会として運営されていたはずなのです。新しい信徒が入らないまま古い信徒がそのまま年を取って行けば、どんな教会も高齢者だらけになります。

 そしてその先にあるのは、その教会の衰退と消滅でしょう。

 結局どんな教会にも求められているのは、新たな若い信徒の参加なのです。20代か30代、なんなら40代ぐらいでも、今の日本の教会なら若い部類です。

 しかし既に高齢化している多くの教会は、若い信徒を受け入れることができないと思います。既存の信徒たちがどれだけ温かく手厚く若い新来者を迎えても、年齢自体がバリアになって若い人は居心地の悪さを感じるからです。

 新しいブドウ酒は、新しい革袋に入れねばなりません。古い革袋は今ある古いブドウ酒がなくなったところで、用済みとなって消えて行くしかないように思います。

 しかし不思議なことですが、白髪頭の年寄りばかりになった教会が、新しい信徒を増やして若返っていく例がないわけでもありません。何をすればそうしたことが起きるのかはわかりませんが、実際にいくつかの教会で、そうした実例を見聞きして驚くことがありました。

 ですから現状では高齢者ばかりになっている教会も、何年か後には急に若返っていないとは言いきれない。教会も人間の集まりですから、絶対にこうなるとは誰にも断言できません。希望はあるでしょう。

 とはいえ僕は、日本中に無数にある高齢化した教会が、すべて若返るとはとても思えないのですけれどね。ほとんどの教会は消滅すると思います。礼拝ごとに毎週百人以上の信徒が集まる教会であっても、全体が高齢化していれば同じことです。

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