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こんな小春日和の穏やかな日は【自転車と歩んだ4000日】
秋が来た。御堂は震えていた。
2024年の鈴鹿エンデューロは11月2日。泣いても笑っても、無事でも落車しても、その決戦の日は近づいてくる。
秋の足音とはすなわち御堂にとって、鈴鹿の足音でもある。
涼花の足音ではない。いくら森田涼花が好きでも、彼女の出身地が近くても、出会うことのない2人なのだから。
もとい…。
秋は自転車を楽しむのがどうしても遅くなる。鈴鹿エンデューロまでは、どうしても
グルメライドの魔力【自転車と歩んだ4000日】
健康診断で血糖値が上限を超え、御堂は自転車を始めた。だから御堂は、自転車中に食事を摂ることをしなかった。
初めて限界チャレンジした時は、プロテインの粉末を持っていき、現地作成して飲んだほどだった。
自転車とは忍耐力のスポーツ。食事も忍耐で乗り越えるものだと、御堂は思っていた。
しかし間違いに気がつくのはそう遅くなかった。
自転車の運動強度は強い。しかし体への負担は小さい。どういう事か?
レース前の追い込み【自転車と歩んだ4000日】
健康診断で血糖値がひっかかり、自転車に乗り始めた男がひとり。その名を御堂彰という。
ロードバイクを買って半年もしないうちに、今度は便潜血でひっかかり、大腸ポリープを取った男がいる。その名を御堂彰という。
良性か悪性か。僕は死ぬのか…?御堂は震えていた。
結果は良性。御堂は人生を見直すことに決めた。このまま何もしないで死にたくない。
SNSでつぶやいたのは、死ぬまでにやっておきたい事だっ
目標を立てる【自転車と歩んだ4000日】
ロードバイクを買って半年もしない頃、御堂は試練のど真ん中にいた。
便潜血陽性。大腸カメラを受けることになった。
御堂の家族歴は親族みんな癌で喪うレベルで、生きてる家族も癌サバイバー。自分も当然癌になると思っていた。
そして誰よりもその治療成績を見てきた御堂は自身が癌になった時のビジョンがすでに決められていたのだ。
治療はしない。
治療して自分らしく生きられないくらいなら、治療せずに自分
あなた本当に自転車乗ってるの?【自転車と歩んだ4000日】
御堂の趣味が自転車である事を誰かに話すと、かなりの高頻度で返される言葉がある。
「本当に自転車乗ってるの?」
御堂は色白だった。
色は青が好きで、ウェアも普段の服装も青。そんな彼の顔色は青白い。
そしてそれを話のネタとしても使っている。もちろん人間なので日焼けはする。
しかし御堂は焼けない。それはなぜか?
紫外線対策を怠らないからだ。
幼少の頃、御堂はその白い肌にコンプレックスを抱
Stravaとの出会い【自転車と歩んだ4000日】
健康診断で血糖値が引っかかった!これは30代の入口で迎えた人生の岐路だった。
何かしら運動習慣をつけないと。そう思って彼が選んだのは自転車だった。
あれから10年。人見知りでコミュ障の中年が、自転車という媒体により仲間を得て、人生を取り戻していく物語の、本当の始まりは案外つまらないものだった。
PCの表計算ソフトとにらめっこしながら、御堂は今日の走行距離を記録している。
自転車での努力
自転車との出会い【自転車と歩んだ4000日】
ある日事件は起こった。
健康診断結果が返ってきたのだ。御堂彰の頭をよぎったのは、
「ヤバいヤバイヤバイヤバイヤバイ」
語彙力を失った「ヤバい」の3文字。血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値が正常域を突き抜けていた。
御歳30歳。いや、あと2ヶ月で31歳。いやいや、1歳変わったところでまだ若い。
死んだな…。そんな一言が頭をかすめていく。直ちに命に別状はない。しかし確実に体を蝕む数値