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#父
遊びにきた父と、早く帰りたい母
あったかくて、庭の緑が濃い。
3月末なのに、5月のような陽気の昼下がりだ。
玄関先の植木鉢に視線を向けると、干からびて丸まったホースがチラッと見えた。
あれ?って思ってよく見たら、濃いグレーに少し緑が混じったみたいな色の蛇だった。
2階にいる息子に「へび〜、来て〜。」と大声で叫んだ。
息子は嬉しそうに降りてきて、蛇の近くまで行き、じっと観察している。
「アオダイショウだな。悪いことする子じゃ
じいちゃん、俺、いつでも駆けつけるから
「酸素の機械がおかしくて、アラームが鳴るんやけど、どうしたらいいかわからんのやわ。」
夜の7時過ぎに、母から電話があった。
父が使っている酸素濃縮器の調子が悪いらしい。
その日の夕方に父の呼吸状態が悪くなり、訪問の医師を呼んで診ていただいたばかりだった。
使っていた5リットルの容量の機械では酸素量がもう足りない、という医師の判断で、7リットルまで流せる大きなものに交換してもらったらしい。