#西部邁
西部邁『蜃気楼の中へ』読んだ
友人に勧められていた西部邁のエッセイを読んだのである。
西部邁を勧めてくる友人がいるなんてのは本当にありがたいことである。
本書は1977年から1978年の2年間、西部がUCバークリーおよびケンブリッジに留学していたさいのエッセイだ。ちょうど私ども団塊ジュニア世代が生まれたころだね。
また西部は30代終盤であり、まだ自裁なんてことは考えていなかったころだと思われる。
アメリカに市海岸といえ
2021年読んで良かった本
今年読んで良かった本をさくっと紹介。意識高い系、英語教材、アメリカ史、疫病についてはすでにとりあげたので省略。
仏教関連の本は年初はけっこう読んでいたのだけど、『自由の国と感染症』の翻訳作業が始まってからは全く読めていない。来年はもっと読みたいね。
仏教の入門書は昨年からかなり読んでいたので、宮元啓一先生の『仏教誕生』でいったん打ち止め。
宮元先生はインド哲学がご専門であり、仏教についても面
富岡幸一郎編『西部邁 自死について』
今日はこの本のご紹介である。
文芸評論家の富岡幸一郎氏が、2018年に自裁した西部邁の書き残したもののうち死生観に関わるものをまとめて出版したものである。
驚くことに、1994年西部が55歳のときに出版された『死生論』から、考えていることがほぼ変わっていないのである。ちなみにマジック・ジョンソンを思いっきりdisっている箇所は割愛されている。
そしてそれはあくまで死生観の域を出ていないことに
『死ぬ作法 死ぬ技術』読んだ
なんとなく西部邁の本を読まなくてはならない気がして
そこで手に取ったのがこれである。
2009年の出版である。
西部だけでなく、久坂部羊、鎌田実などなどがエッセイを寄せている。ちなみに完全自殺マニュアル的な死ぬ技術は書いていない。心構えのようなものが書かれている。
西部のエッセイでは、いつものように、人間が地球上で我が物顔で振る舞うことを許されているのは、精神を持つからということになってい
碇シンジくんdisってゴメン
先日の記事で『鬼滅の刃』の煉獄さんは、英雄をやろうとする側の人間が作ったキャラではないと書いた。
英雄を称える側、もっとわかりやすく言うと、誰かに英雄をやらせて自分はのうのうと生き延びたい人間が心情を仮託できるようなキャラ造形である。
そして、英雄をやろうとするなら『ザ・ボーイズ』みたいになるはずだとも。
先日、友人らとそういう話をしているときに、エヴァンゲリオンの碇シンジではないかという意
西部邁『保守の遺言』読んだ
西部邁『死生論』を読んでから、あと何冊か読まないといけないなあと思っていたので、最後の著作であるこれをお買い上げ。
2017年10月22日に西部は自殺するつもりだったらしいが、急遽、衆議院総選挙をやることになったので遠慮したという記述から始まる。
西部が処決したのは2018年1月21日であり、本書はその短い間に書かれて死後に出版された。あとがきは辞世の句といった感じで、人間は最後はひとりで死ん
西部邁『死生論』を読んで。伝統を規定するのは未来である
西部邁の本を読んだ。
これを選んだ理由のひとつは、自分が死を意識する年齢になってしまったことである。
そしてもう一点。私は西部が自死を選んだ理由については理解していたが、側近に自殺幇助の罪(下手したら殺人罪までありえた)をかぶるリスクを負わせることはなかったのではないか、もっとましなやり方があったのではないかと思っていた。しかしよく考えれば、西部ほどの人物がそのリスクを熟慮していなかったはずが