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2022年12月の記事一覧
ハードボイルド書店員日記【116】
「これ、クリスマスプレゼントにしたいんだけど」
イブ。朝から絵本のラッピングが延々と続く。形状がバラバラな複数冊を一緒に。10冊以上をひとつずつ。「東京卍リベンジャーズ」の既刊30冊をまとめて、なんて猛者もいた。最終巻が来月17日に出ることを伝えるべきか迷う。だが大渋滞のレジで悩まれても困るので流してしまった。
親身な接客をしたい。しかし余裕がない。慢性的な人手不足なのだ。
「これが入る袋あ
ハードボイルド書店員日記【115】
「ウソでしょ」
朝礼が終わった日曜の朝。クリスマスが間近に迫っている。他店の社員が辞めたことに伴う異動にバイトの離職が重なり、まさかの3人体制。13時半に遅番が来るまでどうにか凌ぐしかない。
「さすがにムリでしょ」真ん中のレジに入ったパートの女性がつぶやく。気持ちはわかる。店長に「電話は出なくていい」と言われたが、鳴り続けていたら習慣で取ってしまう。その時点でレジはふたり。問い合わせがひとり来
ハードボイルド書店員日記【114】
「勝てると思ったんだけどねえ」
メカニックな小雨と冷徹なビル風に乾燥肌をなぶられる平日の昼。繁忙期にもかかわらずお客さんの出足が鈍い。普段なら朝のうちに週刊誌を買いに来る常連さんもまだ姿を見せない。おかげでレジ時間内にカバーを全種類折れた。なくなりかけている雑誌の補充分へ付録を挟み込むこともできた。
年配の男性がふらりと現れた。今日発売された「Sports Graphic Number 臨時増
ハードボイルド書店員日記【113】
「箱、は間違いないんだよ」
クリスマス商戦が始まった週末。シェイクスピアの語彙を借りると、施設全体がテンペストに覆われている。書店内の暴風域は疑いなく児童書コーナーだ。目に見える部分は台風真っ只中のゴミ捨て場。下のストックは大幅に遅延した帰宅電車の車内。依頼を受けた本のサルベージが普段の百倍難しい。
レジから離れた時間は棚整理と万引き防止の巡回、そしてお問い合わせへの対応でほぼ消える。平積みの