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膠原病 闘病日記 発症~入院~生活の記録

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私の日記を、リカバリーの物語として読む⑪ 入院初期を振り返ってみる(まとめ)

私の日記を、リカバリーの物語として読む⑪ 入院初期を振り返ってみる(まとめ)

この連載のテーマは「私の入院中の日記をリカバリーの物語として読んでみる」です。書いてみると思いのほか材料が多く、入院9日目までで、既に10回になりました。自分で改めて日記を読み返してみますと、入院前から入院初期には、大きなうねりに巻き込まれたような出来事が続いていました。人生にそうそうない出来事、あってほしくない出来事がいくつも起きています。

連載は、ここまでで約50,000字、原稿用紙120枚

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私の日記をリカバリーの物語として読む⑩入院初期(1~9日目) リハビリ

私の日記をリカバリーの物語として読む⑩入院初期(1~9日目) リハビリ

🔷 モチーフ 🔷「リハビリ」

・入院すればすぐに検査で病名がつくと思っていました。でも、一週間経っても病名が付く様子は全くありません。検査の頻度も低くなってきました。見通しを聞くと、医師が嫌な顔で「時間がかかるものなのです」と言います。その様子に、策がなくお手上げ状態になりつつあるのだろうなと感じました。
・入院後三日目くらいまでは全身が重く、途切れながら浅い眠りをずっと続けていました。しか

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私の日記をリカバリーの物語として読む⑨ 入院初期(1~9日目)心の内から外へ

私の日記をリカバリーの物語として読む⑨ 入院初期(1~9日目)心の内から外へ

🔹 モチーフ 🔹「匂い」「五感」

・あれは何の匂いなのでしょうか。病院の中は独特の匂いがしました。薬剤の匂いに混じる、カーペットやシーツのようなかすかな匂い。ベッドの匂いなのかもしれません。決して嫌ではないのですが、気持ちが少し緊張する匂いです。
・検査で外来棟に行くと、空調の暖かい空気の中に流れ込む、浅い春のまだ冷たい外気を感じました。
・入院という初めての環境と、何をするかわからない不安

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私の日記をリカバリーの物語として読む⑧ 入院初期(1~9日目)いい子の患者さん

私の日記をリカバリーの物語として読む⑧ 入院初期(1~9日目)いい子の患者さん

🔷 モチーフ 🔷

「甘えてはいけない」「いい子の患者さん」「自尊心」「傷つくのが怖い」「無意識に不安を抑圧」「気持ちを見ないようにする」

・私は入院中、いつも無意識にこのような気持ちを持ち続けていたのかもしれない、今回書いていて、このことに気づきました。子供の頃から身につけてきた我慢する性格が、入院という特殊な環境の中で、浮き彫りになったのかもしれません。

・病気の進行、未知の治療、医療

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私の日記をリカバリーの物語として読む⑥ 入院が決まった日

私の日記をリカバリーの物語として読む⑥ 入院が決まった日

今回からは、入院後のお話を書こうと思いましたが、入院する直接のきっかとなった、当日の出来事を書いておこうと思います。振り返れば、この日が、私の予後とその後を大きく変えたのだと思います。命を救われた出会いでした。

🔷入院を決めた日のこと 🔷

自宅に寄って、私がかろうじて持って歩ける小さいショルダーバックに、ペン、小さいノート、読み古した

私の日記をリカバリーの物語として読んでみる⑤ どん底の頃の日記(抜粋)

私の日記をリカバリーの物語として読んでみる⑤ どん底の頃の日記(抜粋)

私の闘病日記をリカバリーとしてプロセスを振り返るという連載です。その方法として、まずは病前の私のキャラクター、病前の状況、発症した頃を振り返り、そこからモチーフと筋を見出していこうという試みです。
オリジナルの日記を読み返していたところ、当時の感覚をリアルに思い出してしまう瞬間があって、辛くなってしまいました。当時のことを忘れたようになっていたのは、前だけを見て生きていくために記憶の中に封印する必

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私の日記をリカバリーの物語として読む④ 発症

私の日記をリカバリーの物語として読む④ 発症

3.発症🔷 発症時のだいたいの話 🔷

一番辛かったのは、症状の原因が特定できず、治療が始まらないまま生活していた、この三ヵ月だったと思います。
次々と医療機関から見放されていく中で、このまま最後まで、原因がわからずに命が終わるのかもしれない。そんな恐怖を感じるようになっていました。

🔷 この頃の気持ちの動きと対処 🔷

〇病院へ行けば原因がわかるはずと、当然のように思っていました。しか

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私の日記をリカバリーの物語として読む③ 発症直前

私の日記をリカバリーの物語として読む③ 発症直前

1.発症・入院前~入院~退院後2ヵ月の日記

私がnoteでこれまでに公開しているのは、発症直前の日記(図中ア)、入院中の日記(イ)、そして最近まで連載していた退院後2ヵ月目までの日(ウ)です。
この時期の日記だけで、合計するとA4で100ページを超えますが、それでも発病後の生活全体から見ると、ほんの短い期間なのが改めてわかります。
一方で、この短い期間に、私は自分なりのやり方で、どん底から這い上

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私の日記をリカバリーの物語として読む② まずは「私」というキャラクター

私の日記をリカバリーの物語として読む② まずは「私」というキャラクター

1.「私」のリカバリーのイメージ

私のリカバリー(難病、付随する疾患発症後の、価値観や生き方の立て直し)を振り返るにあたって、まずは私の難病発症から現在までの「気持ちの回復度合い」のイメージを、グラフにしてみました。
発症前の気持ちを100%とした場合に、どの時期にどれくらい下がり、どのくらいの時間をかけて上ったのかのイメージです。発症前が人生のベストだった訳ではありません。その前の人生にも上が

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私の日記をリカバリーの物語として読む① リカバリーとは?(差替掲載)

私の日記をリカバリーの物語として読む① リカバリーとは?(差替掲載)

私が、退院後の日記を整理して、noteに掲載しようと思ったはじめの理由は、「同じような経過をたどる誰かの力になればいいな」でした。
私が発病した時には、インターネットやSNSは今のようには普及しておらず、情報は本から得るしかありませんでした。私の文章が、かつての私が欲しかった「見通し」や、「他の人はどうしているのだろう?」に少しでも答えられれば、そんな気持ちで日記を公開してきました。
でも、やって

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膠原病 気持ちのリハビリ記録 | 退院して二カ月目までの生活【その17】 描く未来「海に潜ってみたい」

膠原病 気持ちのリハビリ記録 | 退院して二カ月目までの生活【その17】 描く未来「海に潜ってみたい」

たまたま入った喫茶店の壁に掛けられていた大きなイラスト。海底から海面を見上げている。水をくぐった光のきらめき。そのイラストをボーっと眺めていて、海に潜ってみたいな…と思った。

海に潜ることは、できなくなったことの一つだと思っていた。
いろいろやってみたいことを思いつく。でも最近の私は、可能性がないと思えば、どんどん簡単に切り捨てるようになっている。「できないのは仕方がない」と。

ずっとやってみ

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膠原病 気持ちのリハビリ記録 | 退院して二カ月までの生活【その16】『どこにでも自由に行きたいなあ…』

膠原病 気持ちのリハビリ記録 | 退院して二カ月までの生活【その16】『どこにでも自由に行きたいなあ…』

🔹乗ってみたい車のイメージを描いてみた日◎ランクル70

私の中にある車の原型はランクル(トヨタ ランドクルーザー)70。免許を取る少し前、初めてかっこいい…と憧れた車がこれだった。将来これに乗りたいなあとイメージしていた。
釣り道具とテントと鍋釜を積んで、砂浜を海際まで入って行きたかった。

頑丈で壊れない。不得手な地形がなくて、どこまでも走れる。飾り気のない機能美。広い窓。四角い車内空間。

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気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その15】 復職後一カ月『求める自由 どこにでも行ける道具がほしい』

気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その15】 復職後一カ月『求める自由 どこにでも行ける道具がほしい』

思うように歩けなくなった。電車に乗るにも、バリアがたくさんある。バイクにも自転車にも乗れなくなった。今、辛うじてできるのは、近距離の車の運転練習くらいだ。
手段がないだけではなく、出かける体力もない。これから先は、いつ悪化するかわからないから、遠出は難しいのかもしれない。

そんな、外出や移動の自由を失ったことが、鬱々とした気持ちの原因のひとつなのだろう。
何だか監禁されているような気分。閉じ込め

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気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その14】 復職後一カ月『うつの日内変動を何とかしたくて、プールに行ってみた』

気持ちのリハビリの記録|膠原病退院後の生活【その14】 復職後一カ月『うつの日内変動を何とかしたくて、プールに行ってみた』

🔹「本物の自転車」に乗ってみた休日入院中から「気分をアップするのに効果的かも。有酸素運動のせいかな?」と思っていた自転車。いよいよ、本物の自転車に乗ってみた。
私は自転車を持っていないので、知人の自転車を借りて、車が来ない道で跨った。サドルに座るのは、久しぶりの感覚。何だか初めて自転車に乗るような気分で新鮮だった。

恐る恐るこぎ出してみる。

足が何度もペダルを踏み外した。
足の位置感覚がマヒ

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