鉄の顎を持つ女かも知れないと悩む夜
私は洗面台で立ち尽くしていた
ある物体を見つめ続ける
しかし見つめ続けても現状は変わらない
私はどうも顎の力と歯ぎしりで
マウスピースを壊してしまったみたいだ
愛先生が寝てる間の歯ぎしりの為に
歯がすり減ってきている私に
プラスチック製だと思われる
マウスピースを作ってくれた
歯型を取りできたマウスピース
私専用のマウスピースである
しかしある日の晩に
歯磨きの後にマウスピースを
はめようと見ていると
どうもヒビが入っている
おかしいなあ？！と思いながら
触っていると割れが酷くなってしまった
このまま入れて寝ると
顎の力と歯ぎしりで割ってしまうだろう
そう判断した私は
次の日に電話をし緊急で予約を入れた
次の金曜日の午後は
２か月ぶりに愛先生に会う日だ
割ってしまったマウスピースを
持って行く日である
修理になるのか？
作りなおしになるのか？
それはまだ分からない
しかし割ってしまったのは事実だ
私の顎はどうなっているのだろう？
くるみ割り人形ならぬ
マウスピース破壊人間である
愛先生の呆れ顔が目に浮かぶ
しかしこのままではいられない
マウスピースを入れて寝ないと
私は顎の力と歯ぎしりで
そう遠くない未来に
奥歯を砕いてしまうらしい
私の歯を守る為には
マウスピースは必要不可欠である
愛先生の呆れ顔が目に浮かび
苦笑いを噛み殺しながらふて寝をした