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#詩

【詩】 ルリビタキの森

【詩】 ルリビタキの森

白い紙に

心を空にして走らせる色

虚空にただ浮かぶだけだった小鳥に 奥行きが加えられてゆく

じっと死んでいた光景に
生命が少しずつ宿っていく

塗り損ねもまた愛嬌と
無心に塗り進めていく

無心になることこそが
目的のように

ルリビタキは喜んでくれるかな
そう思いながら 色を重ねていく

大自然に発露した
小さな命

次第に濃くなりつつある
アルゴンとフィトンチッド

君をもっともっと

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【詩】 たまゆら

【詩】 たまゆら

空に浮かぶ風船のような

言葉の端をつかまえて

ゆらゆら ゆらゆらと

漂わせていた

真っ青な虚空に浮かぶ言葉たちは

いかにも儚く 頼りなく

手を離してしまえば すぐに弾けて消えてしまいそうで

つかまえたままのこの手のいのち

刹那と言うには長過ぎて

悠久と呼ぶには足りなくて

それと呼ぶにふさわしい言葉は見つからず

せめて

美しい言葉で

呼んでみたくて

【詩】 ひとりになりたい

【詩】 ひとりになりたい

ひとりになりたいなんて、ひとりじゃないから言えることなんだ

ある人が言った

その言葉は 時間をかけて 心に染み込んでいった

ひとりになりたいと思うのは

ごちゃごちゃした邪魔な考えを整理したり

こんがらがってしまった気持ちの糸の結び目をほどこうとしたり

そんな 自分だけにしか出来ない作業をやりたいと思うから

そしてそれをやりたいと思うのは

戻ってくる場所 還れる人が

いるからなんだ

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【詩】 さやけき月に誓う

【詩】 さやけき月に誓う

その夜 月はまっすぐこちらを見ていた

弱り切って伏せるわたしを試すように

お前いったいどうしたのと 月は言わなかった

ただ 冷ややかな視線を投げて

こちらを眺めていた

思えば 力みなぎるときも 息せき切って走るときにも

月は 同じようにこちらを見ていた

感情を込めず 何を語りかけるでもなく

そう いまこのときのように 

だから この冷ややかな月に向かって誓う

負けないよと

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【詩】 フィット

【詩】 フィット

色んな意味で、良くなっているのだとは思う

長い、薄暗いトンネルを ようやく抜けたような気分

身の周りの 色々も、段々整っていくだろう

そしていつかは、この心の状態も……

そうすれば、少しずつ軽くなって、柔らかくなって、

自分が自分の体の中にいることを もう少し心地良く

感じられるようになるのかもしれない

自分が自分の見るもの、触れるもの、感じること、書くこと、描くこと、表すものに こ

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【詩】 泉

【詩】 泉

とろとろと 流れ出る思念

肝で炙られ 煎られ やがて細い煙となって

彼方むこう岸へ旅立つ

つくり手の泉は 日照りのせいで乾きぎみ

目を閉じて たゆたう想いに身を任せよう

とろとろと 流れ出る思念を汲み上げて

つくり手の泉が満たされるまで

いまはしばし 

【詩】 闇 浮遊

【詩】 闇 浮遊

ずいぶん細くなっていた光の糸が

とうとう ぷつんと切れた

当然といえば 当然のこと

こちらから光を送らなくなって

相当 久しいのだから

けれど いざ光の供給と循環が無くなってみると 思いがけなく
重い闇が訪れた

知らなかった こんなに重い闇があるのだということを

わたしは一日 地の底を這い回った

もうどうでもいい この体から抜け出して  魂だけになって 何処かへ飛んで行ってしまいた

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【詩】 アルケミスト

【詩】 アルケミスト

昔はもっと手ごたえのある文字を書いていただろ

ごまかしの無い 少なくとも自分の心には

それが いつからか変な風になっちゃった

あなたは あなたでない人になりたがり

書く言葉や文字-―そう、文字までも!――は変わった

あなたは別の人のように外の世界を見、

誰か知らない人のように話し、振る舞った

誰かのような言葉を使い、借りものの思考法で 全ての人とつきあった

そして今 この通りだ

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【詩】 ディストピア

【詩】 ディストピア

いったい どうなってしまうんだ
この世界は

鈍重な緞帳

放縦な訪問

笑い椅子の公開処刑

閉ざされつつある居住空間

はやく逃げださなきゃ

はやく行動を起こさないと

もうとっくに手遅れだよ

だれひとりとして篩にかけられず

散り散りになる 蜘蛛の子たち

ただ対岸に 目を据えて

来るべき日に 震えている

【詩】 炎

【詩】 炎

さあ ダンスを見せてくれ

よくないものを燃やしながら

自在に踊る炎

何も残らないほど 擦りつけ合った

日常を残して ここに来た

日頃は禁止されてる火遊びを

思う存分 するために

頬を炙るぬくもりは きっといま

世界中でいちばん身近く 親密だ

これまでの出来事や 歩んできた道のりを

いっそ こんな風に燃やしてしまえたら

どんなに楽になれるだろうか

燃えろ燃えろ もっと見せてお

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【詩】 断捨離

【詩】 断捨離

古い思い出を引っ掻き回して

歩んできた道程の上の

ひとつひとつの標に触れた

かつて達成したと喜んでいた
それらの低い山々は

見るも無残な姿になり果てていた

ボロボロに欠けてしまって 
何だったのか判別も出来ないもの

風化してしまって 土台しか残らないもの

見るたびに 脳の中が蒼ざめた

けれど 古い思い出は 

少しずつ 話しかけてもきた

気に入らないものは 捨ててもいいよ

そし

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【詩】 孤独な馬場

【詩】 孤独な馬場

霧のなかをひとり

前も見えずに疾走する

そのなよやかな身体をたくましき獣にあずけ

どこへ辿り着くのかもわからぬまま

ただ ただ 前へ

顔を打つミスト 匂い立つ風

獣との絆を

全部力にして

前も見えぬ 霧のなかを

全力で走り抜ける

【詩】 夏の終わり

【詩】 夏の終わり

どこかに行ってよと 
あんなに願ったはずなのに 
いなくなってしまったら
とたんに寂しくなった

わかってたはずなのに
止められなかった

素直じゃない
わたしの目には

まぶしすぎたの 
あなたのきらめき 

【詩】 ねこ

【詩】 ねこ

何を発しているの

きみの周りは柔らかい気でいっぱい

まるっきり 小春日和の縁側だ

天国のようなお腹は柔らかい毛でいっぱい

そこは〝蚤の高天ヶ原〟

もちろんきみのお腹に蚤なんていないけど

蚤たちはきっと 死んだらそんなところに

行きたいんだよ 極楽浄土だ

そう言って笑う僕らを横目で見ながら

きみはいつもの通り 

クールにキメているんだ

笑わないのに ものも言わないのに

何を発

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