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ぼくのエッセイ

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エッセイと日記の違いは、『読んでくれる人が居るか否か』だと思っています。
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2021年4月の記事一覧

【詩?】 僕の愛する『牧野ヶ池緑地』!!

【詩?】 僕の愛する『牧野ヶ池緑地』!!

僕の近所には緑地がある。
江戸時代に灌漑用に作られた人工池と,それを覆い隠すように茂る雑木林から成るその地を,人は『牧野ヶ池緑地』と呼んでいる。

僕の住んでいる名古屋市名東区は都会と言い切るにはやや味気ない部分がある。しかし,容易く喧騒を遠ざけることができるほど慎ましい街でもない。
だからこそ,手っ取り早く自然を感じることが出来るその場所が昔から好きだった。

アスファルトの浮いた遊歩道を歩く。

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ネクラな僕

大学内で高校時代のクラスメイトに会った。
いや、会ったと言うと少し語弊があるか。「見かけた」が正確な表現だろう。

その人はいわゆる「陽キャ」の女子で、カラッとした性格と、知的なユーモア、そして、目を惹く容姿を有しており、「人から好かれる人」の典型のような人だった。冴えない僕から見たら高嶺の花といった感じだが、その人は大学に進学した後も、僕を見かけると(数回しかなかったが)軽く声をかけてくれた。そ

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僕は感受性に乏しい人間か??

何か感動的なVTRや音楽。
悲劇的な映画や小説。

そういったもので涙を流したことが無い。

映画やドラマの謳い文句で,『感動の渦に包まれた名作!!』とかよく聞くが,僕にはその感覚が全く分からない。
そもそも『感動の渦』とは何だ。感動とは自分の体感であって,他人から伝播するものでは無い筈だ。人が涙を流しているからそれに倣って感動している自分を演出しているだけなのだろうか??
しかし,そう捉えるには

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違和感

小学4年生のある朝のホームルーム。
担任の若い男の先生が、目を腫らして入ってきた。普段の爽やかに笑う姿を知っている僕らは、その異様な光景に怯み、言葉を失った。隣のクラスから微かに聞こえる笑い声が急に訪れた静寂を引き立たせた。

「みなさん、席について下さい」

先生はそう呼びかけた。弱く震える声だったが、その声を遮るものは無かった。
誰も何も言わず、席につく。クラスのお調子者だって、涙の理由を聞け

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緩やかな自傷

緩やかな自傷

初めて煙草を吸ったのは二十歳の時だ。成人式の二次会に参加する気になれず、独りでぼんやりと夜の街を闊歩している時にファミリーマートで『LARK extra』を買った。
久々に会った同級生に対し、何か特別な執着心を抱くことが出来なかった自分への失望と、行き場を失った好奇心をどう処理すればいいのか分からなかったのだ。
不完全燃焼な思いを煙草を燃焼させる事で消化(昇華、消火)した。(上手い!!)

中学生

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故郷の香り

 僕の住む街は太陽が沈んだ後でも光を溜めている。「夜は暗くなる」ということが真実かどうかも疑わしいほどだ。
 外に出ると,飲食店は油の混じったような重い空気を延々と吐き続けている。せわしない往来に身を潜めると,何者かの品の無い香水が鼻腔を刺激する。国道を走る車は澱んだ排気をまき散らしながら颯爽と去ってゆく。
 僕は生まれも育ちもこの街だ。しかし,この街の空気に悦楽の情を抱いたことは一度も無い。

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『無傷』というコンプレックス

『無傷』というコンプレックス

深い不幸に襲われた事が無い。

愛していた人が急に死んだとか、家を失ったとか、信用していた人に裏切られたとか。そういった前が見えなくなるような衝撃的な出来事に直面した事が無い。それは本来いい事であり、人はそれを『幸福』と呼んでいるのだと思う。
しかし、僕はその幸福を心から歓迎することが出来ない。

僕を傷つける出来事というのはいくらでもあって、そうした事態に直面する度、自分を『不幸せ』だとか『ツイ

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