歳をとるということ。大人になるということ。
高い場所から見える夜景が好きだった。
あるいは深夜の高速道路、郊外から見る幾つかのビル群が。
綺麗で、優美で、その瞬間だけは、そこだけが世界の全てて、
そこに何もかもが集まっているような気がして。
歳をとると、その灯りは、
夜遅くまで目をこすりながら働く大人たちの、
オフィスから放たれた灯りであることを知った。
その灯りの1つである住宅の中には、
光と影の両面を持つ一世帯が暮らしていることを知った。
光ある場所には必ず影が生まれる。
光が大きくなればなるほど、影も大き