正解と間違いの狭間で。LINEの送信ボタン、夜空に問う。
「このLINEを送ったら全部終わってしまうんだ。」
送信ボタンを押すのに1時間かかった。
とにかく苦しかった。
一緒にいて楽しい時間が沢山あって、
これからも沢山あるんだろうなと想像すると、
本当に胸がギューと圧縮して無くなってしまいそうだった。
でも、その一方で一緒にいて、辛いなと思う時もあった。
僕たちは、一度の揉め事が大きくて、
何かをきっかけとして起こってしまったとき、
収拾が着くまでに毎回精神が擦り切れてしまいそうだった。
「これからも、繰り返しになってしまうと思う。」
感謝の言葉を添えて、一番大切な存在だったと添えて、
LINEの送信ボタンを押した。
次の日に返信が来た。
本当に終わってしまった。
でも、これでよかったんだ。
そう思いたいのに、辛さから解放されたはずなのに、
ずっと胸がざわついて、涙が止まらない。
週末に、友人の家に泊まらせてもらい、
全てを投げ出して、友人宅周辺の大自然を堪能した。
森、川、広大な空。
ひたすらにその自然に飲まれた。
琵琶湖に連れていってもらった。
本当に広大で平穏で。真っ青で奥にある雲がかった島々が美しかった。
帰路につき、ふと思い浮かべてしまう。
いま、彼女は何を想っているのだろうか。
その次の週は、行きつけのピザ屋の店長に、
AM4時ごろまで街の色々な飲み屋に連れ回してもらった。
今月末で辞めるらしく、
新しい店の店長に移るらしい。
来月から入る店長も一緒にいて、
色んな話を聞いた。2回結婚と離婚をしているらしく、
永遠なんて無いんだよなとふと思ってしまった。
スナックのままに話を聞いてもらった。
「別れたのが正解だったのか分からなくて。」
「私も色んなお客さんの話を聞いてきて、頑張りなとか、それは彼女さんが辛い思いしてるから寄り添ってあげたら?とか声をかけてきたけど、今回はその判断で正解だったんじゃないかな。と思う。」
うんうん。と話を聞いてくれて、
それだけでも救われた。
元に戻りたいなと思ってしまう感情を、
でもまた同じ繰り返しになってしまうと理性で、
押さえ込んで日々をやり過ごした。
彼女と過ごした日々が宝石みたいだった。眩しすぎるくらいに。
もう戻れなくても、また新しい2人でやり直せないのか。
自分で別れを告げておきながら、そんなことばかり考えてしまう。
一緒にいたら、日々のイベントを2人で楽しく過ごせた。
それを考えたら、別れは間違いだった。
でも僕たちは辛い瞬間を2人で乗り越えられなかった。
現実的な問題に直面した時に、2人で乗り越えられなかった。
それを考えたら、別れは正解であり、
2人の、未来への希望となったのかもしれない。
どこを切り取るかによって、
正解にもなれば、不正解にもなってしまうのかもしれない。
冷静になってそう思うようになった。
それでも、2人の綺麗に残ってしまった思い出ばかりが、
ずっと頭の中で回想して、あの日々に戻りたいと思ってしまう。
夏、名古屋のジブリパークに行った時の暑さ、
春と夏の狭間に、水色の海に行った時の開放感とか、
そういう断片ばかりが回想している。
別れて少し時間が経てば冷静になれると思っていたのに、
綺麗な時間だけが頭をぐるぐる回り続けていて、
もう一回だけでも、2人でどこか知らない場所に
逃避行したいなんて思った。
僕の決断は正解だったんだろうか。ねえ教えてよ。
朝の4時まで街中を振り回してもらっても、
スナックのままに話を聞いてもらっても、
真夜中の空に問いかけても、答えは分からなかった。
それでもまちは変わらず動き続けて、
夜空の星は発光し続けている。
何もなかったかのように、
夜が明けてまた明日がやってくる。
yama.
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