10℃、流星、変わらないもの。
白い息って10℃以下になると見えるみたいだよ。
え、ほんと?
調べてみて笑
んー、8℃とか13℃とか出てきたよ。
間をとって10℃でいいじゃん。笑
2月の終わり。彼女がつけ麺を食べたいというので、
寒いなか外で行列に並び、白息を浮かべながら、そんな会話をしていた。
解散した次の日、過去一番の喧嘩をした。
もうお互い大嫌いになるくらいの。
価値観どうこうではなく方向性が違う。
人生の根本的な思想が違うのが垣間見えてしまったのである。
LINEではいつも通りのメッセージを交わしているが、
次会った時に別れを切り出そうと決めた。お互いの未来のために。
「ずっと一緒にいたいね。」
「うん。」
夜寝る前にそんな言葉を何度も交わして、
本当にそうなると思っていた。
でもその一方で、どこかで、
永遠なんてないんだろうなとも思っていた。
東京。当時彼女が住んでいたマンションで、
タイタニックを投影機で壁に映して、夜観ていた。
「永遠がなくても、永遠以上の一瞬があるかもしれないよね。そう信じたい。」
「そうだね。きっとあるよ。でも振り返った時にしか気付けないのかもしれない。」
どこかで気付いていたのかもしれない。
変わらないものなんてないんだろうか。
白息が数秒で大気に透過していくように、
すべてが変わりゆく世界。
そのなかで変わらないものなんてあるのだろうか。
大学生最後の冬、僕の地元の灯台で、
彼女と夜空を見にいった。
「あ、流れ星!」
2人で同時に見えた流れ星はとても巨大だった。
あのわずか数秒の刹那的な時間で、
彼女は何を願ったのだろう。
街明かりに浮かび上がる彼女の後ろ姿と、
視野を超える広大な夜空に、無数に散りばめられた星々が、
今もなお変わらず残像として残り続けている。
yama
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