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おれらの更衣室

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#日常

仕事を辞め損なう

仕事を辞め損なう

ほとんど無職みたいな身の上でありながら、生活が成り立つだけの給金を辛うじて得られているのは吾が事ながら不可思議である。

ちょうど1年前などは、長時間の残業もこなしていたし、古本その他の娯楽も制限されていたため、それなりの貯金ができていたのだからありがたい話と言えばその通りだった。

が、どうも昨年末あたりから体調が芳しくなく、出勤日数を減らすことにした。給料的には額面でだいたい従来の3分の2くら

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だらだらの語学学習

だらだらの語学学習

一度でも齧った語学のある人なら、「〇〇って××語でなんて言うんだろう」とか、逆に外国語を聞いているなかで「"△△"ってどういう意味だろう」といった疑問が、日常の中でふと首をもたげることがあるだろう。

少し極端な言い方をすれば、そうした好奇心を常に持ち続けることが勉学における成果の強い後ろ盾となってくるので、常に辞書にアクセスできる環境は整えておくべきだと思う。

僕の書斎の机には、電子辞書「EX

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快適なPC環境(当社比)

快適なPC環境(当社比)

仕事に使っているわけでもないのに、4年くらい前からデスクトップPCを導入している。そこまで高スペックというわけではないけれども、やはりノートと比べると馬力が違うし、画面も大きくてよいものだ。

ただこのごろ、どうも家でPCを使うときにつらくなってくることが増えた。

第一にはディスプレイが椅子に対してやや低く、肩が疲れる点、これはけっこうよくある悩みではないか。

ディスプレイを買ったときに付属さ

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そして己に嘘をつく

そして己に嘘をつく

万愚節とかエイプリルフールとか、言い方は何にしても、よりによって4月1日という日にそれらしい嘘をつく文化が僕は嫌いだ。

会計年度の初日であるがゆえに、人の異動や制度の変更、そのほか4月1日になったからこそ解禁できる情報だってたくさんあるだろう。

そんな日であるにもかかわらず、企業やインフルエンサーまでもが罪のない――いや、罪がないからこそタチが悪いのだが――嘘を発信しているのは嘆かわしいことで

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いつか僕らも強い大人になって

いつか僕らも強い大人になって

母から突然ラインが入った。

僕が卒園した幼稚園の閉園の取り壊しが始まったのだという。

僕の本籍地は大都会世田谷なのだが、実際に住んでいたのは確か2歳になるかならないかの頃までで、そのあとは今現在住んでいる市に住み続けている。

だから卒園から20年以上が経つとはいえ、この幼稚園は言わば「地元の景色」として非常に馴染みのあるスポットだったわけだ。

加えて、小学校の頃に通っていた剣道クラブの会場

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春~夏に向けての支度

春~夏に向けての支度

大掃除というと年末と相場が決まっているが、正月休みと無縁の僕にとってみれば「思い立った日」がいちばん掃除に向いた日である。

2年弱前に引っ越しして以来、ほとんど掃除をしていなかったのは偏に怠惰の成せる業である。書斎の隅に山積した段ボール類を一斉にツブし、ビニール袋やら紙袋やらをきちんと畳んだら随分とすっきりした。

「思い立った」とは書いたけれども、天啓的になんとなく始めたわけでは実を言うとなく

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Pixel 4aを買った

Pixel 4aを買った

スマホを新調した。

僕は物持ちがいい、というより、使い慣れたものを手放すのが好きじゃないので、スマホについても必要に駆られるまでは買うつもりがなかったのだった。

前回替えたのは4年前。
フィリピンへ行くに際してSIMフリーのスマホを持っといたほうがいいだろうということで、Huawei P9 liteを選び、帰国後も格安SIMでHuaweiを使い続けることとした。
(それまで使っていたキャリアの

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院生の弟と僕と

院生の弟と僕と

別に気遣ったとか自粛したとかそういうわけではないのだが、余りの忙しさから2ヶ月ばかり実家に帰ることができていなかった。その間にも色々と僕宛の荷物が届いていて、弟と共有の部屋が横溢されつつあると苦情が入っていたのである。

部屋に入ると、「会ギ中!」と書かれた手作りの立て看板が目についた。

聞けば大学院2年目の彼も多聞に漏れず、オンラインでの会議に追われているとのことで、この日など5時間を会議に費

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官給品不敬罪

官給品不敬罪

あまりデカい声で言うことではないが、僕の母は手作り界隈でちょっと知られたマスク屋をやっている。

昔はいろいろな型のものを作ってたけれども、いわゆる立体型のものは、布製だと各々の顔の大きさ・容に合わせなければ用をなさないので、この頃はもっぱらプリーツ型ばかりを生産しているようだ。

身内びいきながら、使い勝手はかなり良いと思う。

わざわざ問屋からいろんな柄のガーゼを仕入れてきていて、僕など外で使

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伏字の身の上

伏字の身の上

ナントカ事態宣言の影響を受け、仕事場の営業時間が大きく変わった。

ほぼ「看板通り」の時間となった、と言えばお分かりいただけるだろう。なにぶんインフラみたいな性質を持った仕事だから、ちょっとやそっとで店を閉めるわけにはゆかないのである。

僕の就業時間としては、夜から朝までだったものが、夕方から深夜までというかたちにシフトした。相変わらず法外な労働時間であるのは慣れたものだし、生活リズムそのものに

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同じ映画を何度楽しめるか

同じ映画を何度楽しめるか

博物館も美術館も、軒並み閉館やら会期延期、または早期終了の憂き目を見ているのが大変にやるせなく、他にやることのない僕こと下等遊民は何をしているかというと、映画を観るようになった。

ちょうどアマゾンプライムには加入していたから、家で引き籠るのはどれだけ続いても全く苦にならないところだったが、折しも好きなアニメの劇場版が2月末に公開されたので、3月の中旬に観に行ってきた。

映画としての出来はすごく

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なんだかんだと1年

なんだかんだと1年

独り暮らしを始めて1年が経った。

そもそも実家を出た理由として一番大きなところが、本を置くスペースがなくなったためだというのだから始末に負えない。一般に「独り暮らしを始める」と言えば、独立≒自立した大人への一歩を示すことが多いように思うし、現に不動産屋に提出する書類の動機欄にも「独立」と書いた。

にもかかわらず、この1年で僕がしてきたことといえば、いかに「生活」なるものをミニマムに押し込め、趣

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Barbershopを聴きながら

Barbershopを聴きながら

僕は出先で音楽を聴くのが苦手で、つまるところ、移動中にイヤホンで耳を塞ぐということを一切しない。
まあ安全面での問題もあるわけだけど、街歩きをするときは周りの景色を見回しながら歩を進めることもあって、音楽は必然的に邪魔となってくるのだ。

けれども、たとえばこの原稿を書いているときなんかは、バックで何かしらの音楽を流している。
そのチョイスは、オタクらしくネットラジオだったりアニメ動画だったりアニ

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反ガストロノミー主義

反ガストロノミー主義

先日のこと。

例によって徹夜で活動のち、一睡もしないままに都心へ出かけた。東京ステーションギャラリーおよび貨幣博物館で開催中だった、辰野金吾関連の展示を見に行ったのである。

見終わった段階で時刻は昼過ぎ、すでに疲労と眠気で朦朧とする意識の中、わけあって神保町へ向かった。

平日真っただ中で古書展もなく、お目当ては老舗洋食店「ランチョン」だ。

靖国通り沿いにある同店は、創業が明治42年の名店な

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