とうほく未来Genkiプロジェクト

東北6県7つの地方新聞社が連携し、東北の課題克服や活力ある「とうほくの未来」を目指して活動しています。 noteでは東北各県の人・もの・ことを発信します! 【今年のテーマ】「奏でる東北」:東北内外の人々の想いや知見が交わり合うことで、新たな東北の価値が育まれること

とうほく未来Genkiプロジェクト

東北6県7つの地方新聞社が連携し、東北の課題克服や活力ある「とうほくの未来」を目指して活動しています。 noteでは東北各県の人・もの・ことを発信します! 【今年のテーマ】「奏でる東北」:東北内外の人々の想いや知見が交わり合うことで、新たな東北の価値が育まれること

最近の記事

【宮城なればこそ】里山で食とエネルギーの地産地消目指す

 蔵王山麓に広がる宮城県川崎町の腹帯地区に移住した若者たちが2020年、株式会社「百(もも)」を起こした。作物を育て、山林を手入れし、食とエネルギーの地産地消に挑む。ちょっとの手間を楽しむ豊かな暮らしを100年先に手渡したいと奔走する。  社長の朏(みかづき)昌汰さん(32)=京都市出身=は17年、環境に配慮した農林業と生活を実践する移住者を頼って川崎町に転居した。持続可能なライフスタイルを目指し、無農薬無肥料で野菜を栽培。仲間と共にコメを作り、間伐してまきや炭を得る。22

    • 【青森なればこそ】稼げる水産業 発信

      「青森の水産資源はダイヤの原石。もっと磨いて水産業を盛り上げたい」。4月、後継者不足や魚離れ、販路開拓などの課題を打開しようと、現役若手漁業者ら7人が一般社団法人・あおもりウォーズ(青森県六ケ所村)を設立した。代表理事の中田創(はじめ)さん(38)らはイベントなどを通じて県内外に漁業、水産物の魅力を発信している。  法人の名称は魚の「ウオ」と、戦うことを意味する「war」を組み合わせた造語。中田さんは茨城県龍ケ崎市出身で、コンサルティング業界での勤務などを経て、現在は青森県

      • 【福島なればこそ】県産米粉の麺、海外へ発信

         電子機器製造・組み立てのアルファ電子(福島県天栄村)は、東日本大震災後の経営再建を進める中で異業種に挑戦し、県産米粉を使った麺「う米(まい)めん」を2022年に商品化した。  米粉作りから製麺まで全て自社で手がけ、社長の樽川千香子さん(44)は「通信販売から始まり、県内や関東圏の学校給食に活用されるまでになった。知名度や売り上げは毎年、確実に伸びている」と手応えを語る。  う米めんは小麦粉を使わない「グルテンフリー」の麺だ。原材料はコメとでんぷんのみで、防腐剤や増粘剤は一切

        • 【福島なればこそ】県産木材の消費拡大へ

          一般社団法人「モクティ倶楽部(くらぶ)」は、福島県内の木工業や林業関係団体、小売業などの有志が2021年に設立した。県内の森林保全と県産木材の消費拡大を目指している。  発案者で代表理事の根本昌明さん(67)は、木製品製造・販売業を営んでいる。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で風評被害に直面した。海外で通用するためには山林の植栽、伐採、加工、流通で一貫した体制が必要だと痛感した。  法人では県産木材を使った製品を企画して製造販売する際、伐採、製材、加工、販売など各

          【秋田なればこそ】伝統芸能に新たな動き

          鳥海山麓に位置する秋田県にかほ市象潟町の横岡集落に、400年近い歴史があるとされる伝統芸能がある。笛や太鼓の演奏に合わせて踊る「鳥海山日立舞」。担い手の確保が課題となる中、新たな動きが生まれている。  集落でゲストハウスを営む中山功大さん(27)=東京都出身=が今年、鳥海山日立舞の体験プランを企画したところ、県外の大学生3人が参加。このうち2人は、8月に行われた本番で舞を披露し、大きな拍手を浴びた。集落外の人が舞い手となったのは初めてだった。  中山さんは都内の大学に通い、観

          【秋田なればこそ】伝統芸能に新たな動き

          【岩手なればこそ】南部鉄瓶 現代風に

           盛岡市本宮のタヤマスタジオ(田山貴紘社長)は、若手職人が製造工程の全てを担う南部鉄瓶「あかいりんご」を売り出している。「革新的」な職人の育成を進め、現代のライフスタイルに合う鉄瓶を発信している。  南部鉄瓶では珍しい、表面がつるんとして丸いフォルムが目を引くあかいりんご。高い技術が求められる、表面に模様を施す作業をなくすことで、先輩職人に指導を受けて若手が作ることができる環境を整えた。  価格を抑え、現代の生活になじむシンプルなデザインで、2019年に発売して以降、好評を博

          【岩手なればこそ】南部鉄瓶 現代風に

          【山形なればこそ】ヤマガタエクスペリエンス

           春の増水期にだけ現れる「水没林」を巡るカヌー、巨大な氷瀑(ひょうばく)を望むスノートレッキング、雲海に覆われた置賜盆地を見下ろす熱気球体験|。山形県の四季の豊かさや自然風土に着目した体験型観光ツアーが近年、次々と誕生している。  手がけるのは、山形県飯豊町の「ヤマガタエクスペリエンス」。代表の堀江守弘さん(43)は、北欧留学や民間企業勤務を経て、2017年に同町にUターンし、18年に水没林ガイドを担う前身団体を引き継いだ。  水没林は雪解け水で増水し、立木の下部がダム湖に沈

          【山形なればこそ】ヤマガタエクスペリエンス

          JR東日本・沢登正行氏に聞く/地域と連携、「宝」を掘り起こす

           JR東日本グループは2023年7月から、東北地方の観光資源を「宝」と位置付け、交流人口と関係人口の創出を図る「東北の宝ものプロジェクト」に取り組む。新たなブランド「TOHOKU Relax」では、モデルエリアの魅力を地域とともに掘り起こし、国内外に情報を発信する。JR東日本の沢登正行部門長にプロジェクトの意義を聞いた。   ―TOHOKU Relaxの概念とは。  東北には自然や食、温泉などの観光資源がたくさんある。現地を訪れ、五感で楽しむことで自分自身を取り戻すことも

          JR東日本・沢登正行氏に聞く/地域と連携、「宝」を掘り起こす

          【青森の味わい】黒ニンニク 農薬に頼らず

          積雪生かし熟成 甘み強く青 森 市 の 松 山 ハ ー ブ 農 園 は 、 農 薬 や 化 学 肥 料 に 極 力 頼 ら ず 、 青 森 県 の 自 然 を 生 か し て 作 る 「 黒 ニ ン ニ ク 」 を 県 内 外 に 発 信 し て い る 。 土 に こ だ わ り 、 雪 の 力 を 生 か し 、 熟 成 さ せ て 仕 上 げ る 独 自 製 法 が 他 社 製 品 と の 差 別 化 に つ な が っ て い る 。 社 長 の 松 山 法 明 さ

          【青森の味わい】黒ニンニク 農薬に頼らず

          【福島の味わい】菜種油搾りの技術引き継ぐ/CFで1351万円

           2022年末に廃業した平出油屋(福島県会津若松市)の伝統的な菜種油搾りの技術を引き継ごうと、とうふ屋おはら(同県喜多方市)店主の小原直樹さん(65)は設備を譲り受け、喜多方市内の空き蔵で来秋にも油搾りを本格稼働させる。小原さんは「限りなく平出油屋と同じ品質の油を作り、後世につないでいきたい」と意気込む。  1841年創業の平出油屋は、全国でも珍しい「玉締め圧搾法」という伝統的な製法で菜種油とごま油を作り続けてきた。しかし、6代目の平出祐一さん(77)には「第二の人生を歩み

          【福島の味わい】菜種油搾りの技術引き継ぐ/CFで1351万円

          【福島の味わい】タコシウマイで漁業復興を発信

          福島県新地町のJR新地駅近くに8月、アンテナショップ「浜福」がオープンした。弁当やコーヒー、地場産品などを販売している。イートインコーナーでは、地域住民らが飲食を楽しむ。主力商品は「タコシウマイ」だ。地域の特産品にしようと2022年3月に発売した。  タコシウマイは浜福代表の日下智子さん(52)らが開発した。日下さんは事務用品卸売りなどの仕事の傍ら、サークルやNPOの活動を通して町の振興に力を注いできた。  東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の発生後、新地町をはじめ、福島

          【福島の味わい】タコシウマイで漁業復興を発信

          【秋田の味わい】リンゴのおいしさ お酒で発信

          お酒を通じて、地元の果物のおいしさを伝えたい―。秋田県横手市十文字町でゲストハウスと醸造所を運営する阿部円香さん(34)はそんな思いを胸に、リンゴを発酵させて造るアルコール飲料「ハードサイダー」を販売している。  横手市は県内有数の果樹産地。ハードサイダーの原料となるリンゴは地元農家から仕入れている。主力商品には「やたか」という品種を使用。「甘みと酸味のバランスが良く、食事にも合うすっきりとした味わいです」  実家はこうじ屋を営み、子どものころから発酵食は身近な存在だった。大

          【秋田の味わい】リンゴのおいしさ お酒で発信

          JA全農東北プロジェクト・阿部浩人事務局長に聞く/産地と消費地近づける

           JA全農は2015年から東北6県を一つの産地として捉え、農畜産物のPRや販売力強化を図りながら、生産地と消費地を近づける「全農東北プロジェクト」に取り組んでいる。阿部浩人事務局長に10年目を迎えたプロジェクトの成果や、今後の展望を聞いた。 ―プロジェクトの狙いは。 「東北6県の垣根を越えて連携し、『食と農』を活性化させたい。マルシェイベントの開催などプロモーション事業や、オリジナル商品の開発、交流サイト(SNS)を活用したブランディングを進めてきた」 ―これまでの成果

          JA全農東北プロジェクト・阿部浩人事務局長に聞く/産地と消費地近づける

          【宮城の味わい】放置竹林の孟宗竹からメンマ/里山の「厄介者」を特産品に

           緑濃い丘陵が広がる宮城県村田町で、放置竹林からメンマが生まれた。しゃきしゃきとした食感、ぴりりと香る香辛料。土地の恵みと人々の創意工夫が詰まった逸品だ。  企画したのは同町の元地域おこし協力隊員、河合謙次さん(44)=東京都出身=。今年6月末まで3年間の任期中、住民の高齢化などで手入れが行き届かない竹林の解消に取り組んできた。  地域の厄介者を資源に変えようと、障害者の自立を支援する町内の一般社団法人「ふくのね」と連携。今春、メンマ作りに乗り出した。  5月、1メート

          【宮城の味わい】放置竹林の孟宗竹からメンマ/里山の「厄介者」を特産品に

          【山形の味わい】新たな県産酒育成へ、連携して品質向上図る

          山形県のクラフトビール文化普及を目指し、県内7醸造所が今年4月、「県クラフトビール普及協会」を設立した。品質と認知度の向上に努め、県産ビールに親しんでもらう狙いがある。ビールを日本酒やワインに並ぶ県産酒に育てるため、さまざまな活動を計画している。  ビール類の日本市場は縮小傾向だが、クラフトビール市場は右肩上がりで、県内でも醸造所の増加とともに生産量が増えている。7醸造所はそれぞれ個性豊かな商品を造り、クラフトビール人気を追い風に存在感を高めている。協会を組織して切磋琢磨(せ

          【山形の味わい】新たな県産酒育成へ、連携して品質向上図る

          【岩手の味わい】雪室で熟成カフェラテ

           雪深いからこそ、生み出せる味がある。東北地方屈指の豪雪地帯、岩手県西和賀町の地域ブランド「ユキノチカラ」。この夏、地元の西和賀高と企画した雪室熟成コーヒー豆を使った「カフェラテベース」が誕生した。町内事業者らが2015年に立ち上げた活動は広がりを見せている。  緑に囲まれた焼地台(やきちだい)公園にあるカフェ、111COFFEE(佐藤義=ただし=代表)。町を代表する湯田牛乳と割った同校3年の平沢美鈴さんは「牛乳とコーヒー、どちらの良さも引き立つ」と話し、金田一ひかりさんも「

          【岩手の味わい】雪室で熟成カフェラテ