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【宮城なればこそ】里山で食とエネルギーの地産地消目指す

 蔵王山麓に広がる宮城県川崎町の腹帯地区に移住した若者たちが2020年、株式会社「百(もも)」を起こした。作物を育て、山林を手入れし、食とエネルギーの地産地消に挑む。ちょっとの手間を楽しむ豊かな暮らしを100年先に手渡したいと奔走する。

 社長の朏(みかづき)昌汰さん(32)=京都市出身=は17年、環境に配慮した農林業と生活を実践する移住者を頼って川崎町に転居した。持続可能なライフスタイルを目指し、無農薬無肥料で野菜を栽培。仲間と共にコメを作り、間伐してまきや炭を得る。22年には地元の素材を使って「百のやど」を建てた。活動のシンボルで、大学や企業の研修にも利用される。

 今年5月、木漏れ日の落ちる雑木林で交流会があった。里山の文化を知ってほしいと四季折々にイベントを企画し、県外からの参加者もいる。名の知れた組織関係者も視察に足を運ぶ。

 3人で結成した百のメンバーは10人を超えた。根底にあるのは気候変動への危機感と、経済性や効率を優先する社会への懐疑だ。

 将来構想には「食料、電気、熱の地産地消」を掲げる。遊び心を持ち、本気で取り組む東北発「地球思いの暮らし」。「ノウハウを伝え、主体性を持って独立する『のれん分け』が理想」。朏さんは各地への水平展開を望む。(河北新報社)


百が手入れをする雑木林であった交流会。朏さん(右)たちはイワナの塩焼きなどを楽しんだ=2024年5月、宮城県川崎町

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