見出し画像

【秋田なればこそ】伝統芸能に新たな動き

鳥海山麓に位置する秋田県にかほ市象潟町の横岡集落に、400年近い歴史があるとされる伝統芸能がある。笛や太鼓の演奏に合わせて踊る「鳥海山日立舞」。担い手の確保が課題となる中、新たな動きが生まれている。
 集落でゲストハウスを営む中山功大さん(27)=東京都出身=が今年、鳥海山日立舞の体験プランを企画したところ、県外の大学生3人が参加。このうち2人は、8月に行われた本番で舞を披露し、大きな拍手を浴びた。集落外の人が舞い手となったのは初めてだった。
 中山さんは都内の大学に通い、観光事業で起業したいと考えていた頃、友人の紹介でにかほ市を訪問。「海と山、棚田。理想とする景観がそろっていた」。ロケーションにほれ込み、卒業後に移住。地域おこし協力隊員を経てゲストハウスを昨年開業した。
 体験プランを企画したのは、鳥海山日立舞の存続が懸念されていることを知ったからだ。「担い手がいなくなってからでは遅い。ファンを増やすために外から人を呼び込もうと思った」
 伝承に取り組む横岡番楽保存会の斎藤朝次郎会長は、体験プランを好意的に受け止めている。「将来は参加者がにかほ市に移り住んでくれるとうれしい」と話す。(秋田魁新報社)

古民家を改装したゲストハウスを運営している中山さん。伝統芸能「鳥海山日立舞」の体験プランを企画した=2024年9月、にかほ市象潟町横岡

いいなと思ったら応援しよう!