【岩手なればこそ】南部鉄瓶 現代風に
盛岡市本宮のタヤマスタジオ(田山貴紘社長)は、若手職人が製造工程の全てを担う南部鉄瓶「あかいりんご」を売り出している。「革新的」な職人の育成を進め、現代のライフスタイルに合う鉄瓶を発信している。
南部鉄瓶では珍しい、表面がつるんとして丸いフォルムが目を引くあかいりんご。高い技術が求められる、表面に模様を施す作業をなくすことで、先輩職人に指導を受けて若手が作ることができる環境を整えた。
価格を抑え、現代の生活になじむシンプルなデザインで、2019年に発売して以降、好評を博している。注文が増えることで、若手が製造できる機会が増える―。需要と供給がかみ合い、そんな好循環が生まれている。
南部鉄瓶の作業工程は約100におよび、1人で作るには約10年の下積みが必要とされる。入社7年目の長坂海翔さん(25)は、月に10個のあかいりんごを担当する。「いつかは自分でこだわった鉄瓶も作りたい」と意欲を高める。
田山社長(41)は「全工程に携わることで技術が底上げされ、早い段階で一定のレベルに到達する。20代の職人も育っている」と話す。地域に根ざした文化継承へ、挑戦を続ける。(岩手日報社)
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