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#小説
【ヒモ男シリーズ(最終話)】さすらいのヒモ男・後編
前編はこちら(これまでのあらすじ付き)
おじさんの葬式から2週間経った週末に、東京でのSMクラブのバイトで俺の家に泊まるはずだったユリが、ルリと同じはやり病にかかり、治るまで自宅謹慎との連絡があったぜ。
ユリのいない穴埋めをどうすっかなとため息をついた時、空いてるときにいつでも連絡をくれと言っていた馴染み客のキュウ子のことを思い出し、早速連絡したぜ。
土曜の夜に指定されたホテルのロビーでキ
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男の帰省、秋
前話「ヒモ男とツワモノ親子」
俺はコンパスヒモ男。ひいばあちゃんの三十三回忌をするから、来週末に帰って来いと、母ちゃんから連絡があったぜ。別に付き合っているというわけではないが、先日家に泊めた地元の女のユリに一応伝えたぜ。
『その週末はSMクラブのバイト入ってる。ヒモ男くんのおうちにまた泊めてもらおうと思ったけど、無理だね』
と返事が来たぜ。
『俺いないけど泊まっていいよ。合鍵送る』
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男トライアングル
前話「ヒモ男の幕開け」
俺はコンパスヒモ男。今日は金銭感覚の狂っているありがたい上客の大学院生のジェイ子との逢瀬だぜ。いつものホテルで1戦交えた後、並んでベッドに横になっていると、電話がかかってきたぜ。高校のときからの友達で、ホストをしているジゴ郎だぜ。
──おっす、ヒモ男。合コンしねえ?
「お前が合コンなんて珍しいじゃん」
──いや、同室の後輩がやってみてえって言うからさ。上京した
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男の幕開け
前話「ヒモ男、寝取られる!?」
俺はコンパスヒモ男。今日は久々のオフだぜ。昨日、夕方から女を3人ハシゴし、帰りは早朝だったので、昼過ぎまで寝てたんだぜ。ぼうっとした寝ぼけ眼でテレビをつけてみると、『踏まれてマンボ』とかいうふざけたタイトルの昼ドラがやってたぜ。見るともなしに見ていると、新婚で夫の実家に同居している若い嫁が、姑や小姑たちからいびられながらも、めげずに生きて行く話のようだぜ。ひとき
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男、寝取られる!?
前話「ヒモ男パーティー」
俺はコンパスヒモ男。今日はデイ子親子の付き添いで、水族館のある遊園地へ1泊の予定でやって来たぜ。片道1時間半もあれば着く場所なのに、暇な金持ちはすぐにホテルを取るんだぜ。
昼前に到着し、水族館をひと回りして昼食をとった後、遊園地へ移動したぜ。今流行りの、親子ともども体を動かすタイプのアトラクションがたくさんあるぜ。デイ子は6歳の双子の子ども、イチ夫とニ子の世話を俺に
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男のとある1日
8:00
アラームで爽やかにお目覚めだぜ。9時にデイ子の家に行くため、シャワーを浴び、ゼリー飲料とプロテインを胃袋に詰め込むぜ。
9:00
バイクで湾岸エリアにある高層マンションの最上階に住むデイ子の家にやって来たぜ。旦那が海外に赴任中で、双子の子どもたちが小学校に行っている間に、時間が許す限り楽しむんだぜ。昼はデイ子の頼んだフードデリバリーのステーキ弁当で、ひと仕事終えた体に活を入れるぜ。
【ヒモ男シリーズ】拝啓、ヒモ男様
あなたとの素晴らしい一夜を過ごした後、またお会いしたら普段の生活に戻ることができないと思い、もう会わないと決めたものの、繋がりは失いたくなくて、ときどきメッセージを送らせていただきましたが、律儀に返ってくるあなたのからのメッセージの一字一句に、心おどらせたり落ち込んだり、一日のうちで何度も躁鬱状態を繰り返し、気も狂わんばかりですが、お返事をくれたタイミングからあなたの行動を想像し、身近に感じ、折
もっとみる【ヒモ男シリーズ】ヒモ男と歌うたい
前話「ヒモ男、役者デビュー?」
俺はコンパスヒモ男。今日は久々に電車に乗り、新宿へやって来たぜ。高校で一緒だったジゴ郎と飲むためだぜ。俺が先に待ち合わせ場所の居酒屋へ来て席に着いて待っていると、
「よお、ヒモ男」
青い花の束を持ったジゴ郎が現れたぜ。
「おっす、ジゴ郎。なに? その花」
ジゴ郎は花束をテーブルに投げ出し、俺の向かいに座ったぜ。
「占い好きの客のババアにもらった。誕
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男、役者デビュー?
前話「ヒモ男とコインランドリー」
俺はコンパスヒモ男。今日は映画プロデューサーのアイ子のお相手でホテルにいるぜ。閉経間近だが性欲の高まる排卵日に合わせての、月1レギュラーのお勤めなんだぜ。
ホテルのベッドで汗を流したあと、アイ子は裸のままベッドのへりに座ってタバコをふかしながら、
「ねえ、あなた役者やってくれない?」
「え? 俺?」
「濡れ場だけの代役。顔出しはなしで部分だけよ」
「
【ヒモ男シリーズ】ヒモ男とコインランドリー
前話「ヒモ男の海水浴」
俺はコンパスヒモ男。家の洗濯機が壊れたんで、修理に出している間は、近所のコインランドリーとお友だちだぜ。
ひと仕事終えて、夜の10時近くに洗濯に来たぜ。他には誰もいないぜ。待っている間、ケータイ片手に椅子に座っていると、東南アジア系のハーフと思しき若い美女が入ってきたぜ。俺に一瞥をくれてから、俺の前のテーブルに家の鍵を投げ出し、乾燥機から服を取り始めたぜ。男の前なのに