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研究施設一般公開レポート

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本マガジンには、医薬基盤・健康・栄養研究所、理化学研究所、および、大学の一般公開に関するレポートが掲載されている。 拙レポートにより、自然科学の最先端研究に興味を抱いてくれれば、…
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#東京都

第2章 列島が育む食材 07-02.すしネタの正体:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その13

第2章 列島が育む食材 07-02.すしネタの正体:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その13

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

巻貝、二枚貝、ならびに、タコとイカなどの軟体動物はすしネタとして欠かせない。イカは外套膜を、タコや巻貝は足のみを、ネタとして利用されるが、二枚貝は種によって利用される部位が異なる。また、すしネタとしての呼び名も標準和名とは異なる場合が多い(図13.0

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第2章 列島が育む食材 07-01.介類(水産無脊椎動物):特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その12

第2章 列島が育む食材 07-01.介類(水産無脊椎動物):特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その12

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

一般的に魚や貝などの水産動物全般を指す際に、魚介類という言葉が用いられる。この介は貝と同義ではなく、エビやウニなども含む水中に棲んでいる無脊椎動物の総称として使われている。

その中では、クラゲ(刺胞動物)、ウニ・ナマコ(棘皮動物)、ホヤ(脊索動物)

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第2章 列島が育む食材 06-02.魚類―マグロの仲間:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その11

第2章 列島が育む食材 06-02.魚類―マグロの仲間:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その11

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

マグロは和食の代名詞とも言える寿司や刺し身のネタとして欠かせない(図11.01)。

マグロは通常サバ科マグロ属の魚のことで、通常、クロマグロ(図11.02,図11.03)、タイセイヨウクロマグロ(図11.04)、ミナミマグロ(図11.05)、メバチ

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第2章 列島が育む食材 06-01.魚類―海水魚、淡水魚、および、サケ科の魚:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その10

第2章 列島が育む食材 06-01.魚類―海水魚、淡水魚、および、サケ科の魚:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その10

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

日本は南北に長く延びる島国で、オホーツク海に面する北海道には冬に流氷が接岸し、琉球列島とその周辺ではマングローブ林やサンゴ礁が発達している。日本列島の周囲には大陸棚が広がり、親潮や黒潮などの寒流や暖流も様々な生物を運んでいる。内陸部には世界有数の古代

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第2章 列島が育む食材 05-03.野菜―和食とダイコン:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その09

第2章 列島が育む食材 05-03.野菜―和食とダイコン:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その09

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

ダイコンは和食に欠かせない食材で、日本は世界で最もダイコンの品種が多く、800種以上が存在する。しかし、1970年代以降は青首大根が市場流通のほとんどを占めるようになった。

近年、各地で在来品種である地ダイコンを保存する動きが盛んになり、一度は栽培

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第2章 列島が育む食材 05-02.野菜―私たちは野菜のどの器官を食べているのだろう?:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その08

第2章 列島が育む食材 05-02.野菜―私たちは野菜のどの器官を食べているのだろう?:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その08

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

野菜は食利用する器官によって、①葉を利用する葉菜類、②根を利用する根菜類、③茎を利用する茎菜類、④花や花の集まり(花序)を利用する花菜類、および、⑤果実を利用する果菜類の5つに分けられる。また、①・③・④をまとめて葉菜類あるいは葉茎菜類とする場合もある([

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第2章 列島が育む食材 05-01.野菜―渡来時期:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その07

第2章 列島が育む食材 05-01.野菜―渡来時期:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その07

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

野菜の渡来時期は種によって異なり、コンニャクとアズキは縄文時代に、ダイコンは弥生時代に、そして、ゴマとショウガは古墳時代以前に渡来した。一方、オクラとカリフラワーは明治時代に、ブロッコリーとモロヘイヤは昭和時代に渡来した(図07.01,[2]のp.46-4

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第2章 列島が育む食材 04.イネ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その06

第2章 列島が育む食材 04.イネ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その06

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

日本で米食と稲作が広まった理由は、日本列島の気候が水田稲作に適していただけでなく、米のもつ栄養価が大きく関係しているものと思われる。米は、相当量のタンパク質と脂質を持つ。玄米またはそれに近い米を多く食べることで、短期的には必要な栄養を摂取できることが分かっ

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第2章 列島が育む食材 03.山菜:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その05

第2章 列島が育む食材 03.山菜:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その05

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

日本には7,500種類(亜種・変種を含む)を超える植物が自生しており、そのうち食べることのできる植物は1,000種類以上にもなる。人類は有史以前からそれらの野生植物を食利用し、日本では縄文時代にはツルボなどの野生植物が食利用されていたと考えられている

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第2章 列島が育む食材 02.キノコ―日本vs西洋の人気キノコ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その04

第2章 列島が育む食材 02.キノコ―日本vs西洋の人気キノコ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その04

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

トリュフ(セイヨウショウロ属)、ポルチーニ(イグチ属)、 モリーユ(アミガサタケ属)などは、欧米において高級食材とされる野生キノコである。 そのいずれの仲間も日本に分布するが、和食の材料としては登場しない。これらは発生する量も多く、昔の日本人がその存

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第2章 列島が育む食材 02.キノコ―食用キノコと毒キノコ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その03

第2章 列島が育む食材 02.キノコ―食用キノコと毒キノコ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その03

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

日本には少なくとも約5000種のキノコがあると言われるが、日本のキノコの分類はまだ十分ではなく正確な数は不明である。

また、日本でとれるキノコのうち、食べられるとされているキノコは約100種類、毒キノコは約200種類とされ、残りの大半は、食べられる

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第2章 列島が育む食材 01.地形・地質と水との関係:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その02

第2章 列島が育む食材 01.地形・地質と水との関係:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その02

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

和食は出汁や調理に水を多用する。 水の硬度は、含まれるカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)の含有量で決まり、少ないものが軟水、多いものが硬水である。生活用水のもとである雨水は、水蒸気が凝結した雲を源とするため硬度はほとんどない。地上に降った雨水が滞留す

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第1章 「和食」とは:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その01

第1章 「和食」とは:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その01

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した(図01.01,[1])。

人類は主に、 糖質を植物性食材から、蛋白質と脂質を動物性食材から摂取してきた。これら栄養素をまかなった食材は地域と時代によって異なるが、概して、植物性食材としては、雑穀 米、小麦、トウモロコシなどの穀物とジャガイモなどの根菜類が、動物性食材と

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4-4.海洋汚染対策、海の生物由来の素材で作る 海洋生分解性材料、持続可能な漁業のための漁獲規制、日本における持続可能な漁業への挑戦、持続的な海洋利用 栄養塩と生産力、海のカーボン ニュートラル、および、[コラム]教えて! 田島先生ビーチ・オーシャン クリーン アップ大作戦!:特別展「海 ―生命のみなもと―」見聞録 その18

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2023年08月12日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「海 ―生命のみなもと―」(以下同展)に参加した([1])。

同展「4-4.海洋汚染対策、海の生物由来の素材で作る 海洋生分解性材料、持続可能な漁業のための漁獲規制、日本における持続可能な漁業への挑戦、持続的な海洋利用 栄養塩と生産力、海のカーボン ニュートラル、および、[コラム]教えて! 田島先生ビーチ・オーシャン クリーン

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